2007年03月30日

続大番 風雲篇


今日の映画は『続大番 風雲篇』という映画です。
1年位前に『大番』という作品をお届けしたのですが、その続編
です。主演は加東大介。『七人の侍』などでおなじみの名脇役の
数少ない主演作品で、当時は人気シリーズとなり、加東大介はこ
のシリーズの役名のギューちゃんという名で呼ばれることも多かっ
たとか。
そのギューちゃんというのは兜町で株の仲買人をやっています。
今では仲買人なんて人はいなくなり、みな証券会社ということで
すが、50年前の兜町の風景というのも観ているとなかなか興味深
いものです。

今も空前の株ブームですが、皆さんは株などやりますでしょうか?
私はまったくやりませんが、こういう↓広告は多いです。


自分でしっかりと考えれば儲かるのかもしれませんねぇ…
でもはっきり言って面倒くさい…


-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 続大番 風雲篇

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − 続大番 風雲篇


--cinema1937-----------

 続大番 風雲篇

 1957年,日本,121

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<キャスト&クルー>

監督 千葉泰樹
原作 獅子文六
脚色 笠原良三
撮影 西垣六郎
音楽 佐藤勝


キャスト 加東大介
     仲代達矢
     淡島千景
     谷晃
     沢村貞子
     原節子
     青山京子
     
<評価>

☆☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 大きな借金を作って兜町にいられなくなったギューちゃんこと赤
羽丑之助はほとぼりが冷めるまで実家で過ごすことにする。彼の仕
送りで家を新築した実家では彼を下に置かない扱いで、町の人々を
彼を名士扱い、つい気が大きくなって散在してしまう。7ヶ月が過
ぎた後、おまきから百円の為替が届き、ほとぼりが冷めたから帰っ
て来いといわれる…
 加東大介主演の『大番』シリーズの第2作。時代はいよいよ戦争
に突入し、ギューちゃんも株式市場もてんやわんやの大騒ぎ。


<レビュー>

 前作で相場に失敗し都落ちしたギューちゃんが再び兜町で奮闘す
るという話で、基本的には人情話である。しかし、昭和七年から十
年くらい時代設定から、2.26事件などの歴史的な事件が株式相場と
絡めて語られており、日本の経済史を垣間見ることもできる。
 ただ、物語の基本はあくまでもギューちゃんという主人公の浮き
沈みと周囲の人との関係である。とくにこの第2作で中心となるの
はギューちゃんと淡島千景演じるおまきの関係である。ギューちゃ
んは郷里に居た頃からの憧れの女性“可奈子お嬢さん”(原節子)
への想いから「結婚はしない」と断言するが、郷里に帰っては浮気
をし、その浮気をした芸者を東京に呼んでみたり、また景気がよく
なると違う芸者に入れ込んでみたりと、ギューちゃんに尽くすおま
きをないがしろにしてたびたび怒らせる。この浮気やら何やらを巡っ
てふたりがくっついたりはなれたりする展開がこの作品の中心にあ
る。
 そのためギューちゃんの立身出世の物語なのか、日本の経済史を
描いた話なのか、恋愛を描いた話なのか焦点がぼけてしまっている
ような気もするが、しかしそのどれもがこのギューちゃんという魅
力的なキャラクターを描く上では不可欠なものなのだから、これで
いいのだろうという気もする。日本の経済が下がり調子ならばギュー
ちゃんの調子も下がり、お調子者の彼はしっぺ返しを食う。その浮
沈は彼だけではなく、多くの日本人が経験した浮沈であり、彼はい
わばそれを極端な形で経験する人間なのだろう。金が儲かれば豪邸
も買い、女も囲む、しかしすってんてんになれば友達に頼り、昔か
らの女の人情を知る。そんなだから観客は彼に同情したり、応援し
たりできるのだ。主役然としていない加東大介だからこんな風な作
品になり、よくわからないけど面白い作品になっているのだと思う。
 決して歴史に残る傑作ではないけれど、どの時代に見ても気楽に
楽しめるいい作品だと思う。
 このシリーズは全4作が作られている。次はいよいよ日本が本格
的に戦争へと入って行く時代。お調子者のギューちゃんは軍需産業
に登記して大成功するのか、それとも戦場に行かざるを得ないのか、
生まれぬ時代のことだけれど「ガンバレギューちゃん」とついつい
応援してしまう。




□ DVD今日の買い!

<今日の作品:続大番 風雲篇>

 『大番』シリーズはDVD化されていません。


<今日のお勧め>

 加東大介といえば?

価格:¥ 6,571(定価:¥ 8,400)
おすすめ度:


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価格:¥ 7,980(定価:¥ 8,400)
おすすめ度:


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2007年03月29日

モロッコ


暖かいです。
花見日和です。
上野公園などは昨日から大変な人出で歩くのも大変なようで、
週末の花見の場所取りなどももうしているんでしょうね。
昨年は有料で場所取りをしていた人がつかまったりしていま
したが、それだけ花見ってのは集中するってことですな。
私のお勧めは砧公園です。用賀駅から徒歩10分と交通の便が
いまいちですが、広い公園に巨大な桜が点在していてすいて
います。しかも芝生なのでねっころがったり遊んだりも自由
自在、夜も照明は少ないですが入れます。
東京でお花見場所にお悩みの方はぜひどうぞ。


-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 モロッコ

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − モロッコ


--cinema1936-----------

 モロッコ

 Morocco
 1930年,アメリカ,92分

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<キャスト&クルー>

監督 ジョセフ・フォン・スタンバーグ
原作 ベノ・ヴィグニー
脚本 ジュールス・ファースマン
撮影 リー・ガームス
音楽 

キャスト ゲイリー・クーパー
     マレーネ・ディートリッヒ
     アドルフ・マンジョー
     ウルリッヒ・ハウプト
     
<評価>

☆☆☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 モロッコで外人部隊に所属するトムは街に何人も女が居た。しか
し、その街に歌手としてやってきたアミーは簡単にトムの手には落
ちなかった。徐々にアミーのことを本当に好きになって行くトム。
そしてアミーも…
 『嘆きの天使』でスタンバーグに見出されたマレーネ・ディート
リッヒがアメリカに渡って撮った第1作。日本では字幕スーパーが
ついたはじめての作品としても知られている。


<レビュー>

 モロッコが舞台といいながら、背景は書割で街はあからさまにセッ
トであることは見え見えだが、モロッコが部隊の映画だからと言っ
てモロッコで撮影しなければならないわけではなく、本当のモロッ
コ人を出す必要があるわけでもないということをこの映画は強固に
主張しているようだ。
 映画というのが作り物であることをこの映画は冒頭から暴露する。
もちろんわざとそうしているわけではないだろうが、当時のハリウッ
ドの製作の仕方ではそれが作り物であることは明らかなのだ。しか
し、その中で長身の美男子ゲイリー・クーパーが登場し、さらにマ
レーネ・ディートリッヒが現れ、そして彼女が舞台に立つとそれが
作り物であるということはどうでもよくなるのだ。
 そのモロッコが作り物であろうとなかろうと、銀幕の上に映った
世界はそもそも作り物である。作り物であることを知った上で、そ
こに登場する美男美女に酔い、その物語に酔って、別世界に行った
かのような夢を見る。それが映画というモノなのだ。
 マレーネ・ディートリッヒは初めて酒場の舞台に上がるとき、ま
ずは男装で歌を歌って観客の心をつかみ、次には自慢の脚線美を露
わにしてして現れる。観客はその酒場の客と同じように彼女の脚線
美に感嘆し、その世界に入り込むのだ。いくら作り物じみていても
そのようにして銀幕の世界に観客を引き込んでしまう、それこそが
映画的快楽なのであり、この作品は単純にその映画的快楽を生み出
す。
 それは今見ても変わらない。ディートリッヒが客席を廻ってリン
ゴを売るときの魅惑的なまなざしと仕草を観ていると、すーっとそ
の世界に引き込まれるような感覚に襲われるのだ。

 ジョセフ・フォン・スタンバーグはサイレント期から活躍し、ハ
リウッド映画の黄金時代にも(主にマレーネ・ディートリッヒ主演
で)多くの作品を生み出し、代表的な監督のひとりと言ってもいい
存在になっている。しかし、彼の作品にいわゆる芸術的なものはまっ
たくと行っていいほどない。彼の作品はあくまでも娯楽映画であり、
ただただ観客を楽しませる作品なのだ。そんな彼がハリウッドの黄
金時代といわれる30年代を代表する監督のひとりであるというのは、
この黄金時代のハリウッドがまず娯楽映画によって、映画の娯楽と
しての側面によって成り立っていたということを端的に表す。
 そして、この作品はその代表的な作品と言ってもいい。この物語
ではすべての行動がメロドラマ的な結末に向けて組み立てられ、す
べてのシーン、すべての人間の心理はラストのカタルシスに向けた
伏線となっているのだ。有名なディートリッヒがハイヒールを脱い
で砂漠を駆け出すシーンで感じられるカタルシスに向けて、すべて
の要素が組み立てられているのだ。
 これこそが娯楽映画、これこそが映画的快楽である。声を手にし
た映画は、サイレント映画が作り上げてきた物語り方を利用しなが
ら、観客に語りかけることで更なるカタルシスを生み出すことに成
功した。あまりに単純なプロットは今見ると退屈ではあるけれど、
現在の娯楽映画のほとんどはこの作品に観られるようなカタルシス
に向けた単純な物語の構築に様々な肉付きを与えただけのものであ
る。この作品にはこの時すでに完成されていた娯楽映画のパターン
というものがはっきりと見える。



□ DVD今日の買い!

<今日の作品:モロッコ>

 『モロッコ』
  http://tinyurl.com/3d9s96


<今日のお勧め>

 1930年の映画

 『キートンのエキストラ』
  http://tinyurl.com/2y785d

 『けだもの組合』
  http://tinyurl.com/23e6bw

 『嘆きの天使』
  http://tinyurl.com/24hlvp

 『西部戦線異状なし』
  http://tinyurl.com/272z7w

 『巴里の屋根の下』
  http://tinyurl.com/2fnyah

 『犯罪王リコ』
  http://tinyurl.com/2zbzvk

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2007年03月28日

親切なクムジャさん


桜もすっかり咲きまして、春らしく花の香りなんてのがあちこち
から漂ってきますが、最近は飲むアロマなどと言って飲むと体か
らバラの香りがしてくるなんてサプリもあるそうですね↓

一説によると、日本人というのは無臭文化を持つ民族で、欧米人
のように露骨に香水の匂いがするのは逆に魅力的には感じないそ
うです。それよりもシャンプーの香りなんかがほのかに香るほう
がひきつけられるんだそうですね。それでこのサプリもヒットし
ているのかもしれません。
匂いというのはその人の記憶と密接に結びついているものですか
ら、記憶がバラの香りと結びついていたらイメージがとてもいい
のかもしれませんね…



-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 親切なクムジャさん

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − 親切なクムジャさん


--cinema1935-----------

 親切なクムジャさん

 
Chinjeolhan geumjassi
 2005年,韓国,114分


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<キャスト&クルー>

監督 パク・チャヌク
脚本 パク・チャヌク
撮影 チョン・ジョンフン
音楽 チョ・ヨンウク

キャスト イ・ヨンエ
     チェ・ミンシク
     クォン・イェヨン
     オ・ダルス
     キム・シフ
     カン・へジョン
     ユ・ジテ
     ソン・ガンホ
     シン・ハギュン
     
<評価>

☆☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 13年半の刑期を終えて出所したクムジャは、刑務所では“親切な
クムジャさん”と呼ばれ慕われていたが、彼女は誘拐殺人を犯して
投獄されていたのだ。出所したクムジャは彼女を陥れた男に復讐す
るため刑務所仲間たちを1人ずつ訪ね歩く…
 『復讐者に憐れみを』『オールド・ボーイ』に続くパク・チャヌ
クの“復讐三部作”完結編。『チャングムの誓い』で日本でも大人
気となったイ・ヨンエが汚れ役に挑戦した。


<レビュー>

 パク・チャヌクはやはり現代の韓国でもおそらくトップの映画作
家だろう。この作品は“復讐三部作”の前2作とは異なり自身によ
るオリジナル脚本で、ストーリーに関しては少しインパクトが弱まっ
たという気がしないではないが、それでも十分に観客を引き込むプ
ロットであり、十分に「面白い」といえる。
 そして、なんと言ってもうまいのが映像の作り方である。この監
督の映像を一言で表現するなら“変幻自在”であろう。古の巨匠は
例えば小津のローアングルのようにトレードマークとでもいうべき
特徴があったが、現代の巨匠になるであろうパク・チャヌクにはそ
れがない。しかし彼は固定でも、移動でも、ロングでもアップでも
素晴らしい画作りをし、それを見事に構成する。それは映像による
話法であり、言葉によらない語りである。
 特に印象に残っているシーンがある。それは作品の中盤過ぎ、ク
ムジャが襲われるシーンである。まず何者かが電線を切断し、街頭
が一つ一つぽつぽつと消えるロングショットからはじまるのだが、
そこからロングショット、バストショット、アップが短くつながれ、
別の場所への場面転換を挟んで、さらに手持ちの主観ショット、横
へのパンと続き、襲われるシーンはまずロングで、それからアップ
とめまぐるしく視点が変わる。この視点の変化のめまぐるしさに観
客は酔う。そしてその酔いはトリップというほどのものではないに
してもある種の忘我を誘うものなのだ。この短いテンポでつながれ
た映像からは「語り」が生まれ、物語が生まれる。このシーンはセ
リフは一切なかったはずだが、この映像は言葉以上に能弁に物語を
語るのだ。
 このシーンを見て、パク・チャヌクという監督はやはりすごいと
思った。韓国映画は玉石混交だが、やはりこれだけ圧倒的な数が作
られれば、その中から世界に通用する作家なり役者が現れるものだ。
メジャーな映画祭ではカンヌで『オールドボーイ』が審査員特別賞
を取ったくらいだが、北野武よりはるかに力のある作家だと私には
見える。娯楽映画色が強い部分が映画賞には受けが悪いのかもしれ
ないが、このまま撮り続ければいつかは批評家にも評価されると私
は思う。

 この作品の話題といえばやはり“チャングム”のイ・ヨンエでさ
すがにキレイだし、演技でも力のあるところを見せているが、どう
してもチャングムのイメージを拭いきれないようにも見える。チャ
ングムのイメージを引きずっているのが彼女なのか、見る側なのか
はわからないが、演技の中に躊躇のようなものを感じなくもない。
あるいは設定として“美人”ということがあまり強調されすぎてい
るのもこの役をやる上では障害になってしまったのかもしれないと
も思う。
 それでも終盤に彼女の顔に浮かぶ邪悪な表情はすごかった。アッ
プで正面から捉えられた彼女は泣きながら笑っているが、その中で
何度かぞっとするような邪悪な表情が浮かぶ。この作品は一人の人
間の中にある善と悪について描いた作品だと思うが、この短いカッ
トでイ・ヨンエは見事にそれを表現している。
 「復讐は蜜の味」というけれど、それは本当にそうなのか、むし
ろ復讐は苦いものなのではないか。復讐するということは懸命に押
さえ込んだ自分の痛みを再び浮上させるということである。もし他
人の復讐を代わりにやるだけならばそれは蜜の味だろうけれど、自
分自身のために復讐をするというのは苦々しいものなのかもしれな
い。パク・チャヌクの“復讐三部作”を見て思うのはそういうこと
だ。復讐を誓い、そのために準備をすることは生きる希望を与える
が、実際に復讐をするその瞬間には悦びよりむしろ苦しみがあるの
かもしれない。復讐が無意味だというわけではないが、復讐は復讐
そのものよりも、そこに至る過程により大きな意味があるのではな
いか。復讐とはある意味では人間が抱く欲望の典型であり、その最
も暴力的なものなのかもしれない。欲望に向けて突き進もうとする
とき、人間は生の悦びを感じる。
 復讐を描くことは、つまり人間の欲望を描くことである。そして、
欲望とは現代の人々を突き動かす原動力に他ならない。パク・チャ
ヌクがここまでしつこく復讐を描いたのは、それが現代の人々を最
もよく語りうるテーマだからなのかもしれない。その点でも彼はす
ごい映画作家だと思う。





□ DVD今日の買い!

<今日の作品:親切なクムジャさん>

価格:¥ 3,130(定価:¥ 4,179)
おすすめ度:



<今日のお勧め>

 やはりこれ!!

価格:¥ 8,747(定価:¥ 10,290)
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2007年03月26日

ヴェラ・ドレイク


私は何を隠そう(別に隠していませんが)「水曜どうでしょう」
好きでして、今年の新作もP2Pでいち早くゲットしてすでに最終話
まで見たわけですが、そんなこんなで北海道が気になってしてい
たりするわけですが、先日、去年から爆発的人気だという北海道
限定のスナック菓子“じゃがポックル”の噂を耳にしました。
なんでも、生産量が少ないため北海道内でもなかなか買うことが
できない非常にレアなお菓子なんだとか…
ネット通販では時々売り出されすぐに売り切れだとか…
昨日の夜にはまだありましたが、今日はどうかなぁ…
ちょっと食べてみたいなぁ

で、北海道のお菓子といえば、やっぱり六花亭。私はマルセイバター
サンド
と、ストロベリーチョコホワイトが好きだなぁ…


-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 ヴェラ・ドレイク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − ヴェラ・ドレイク


--cinema1934-----------

 ヴェラ・ドレイク

 
Vera Drake
 2004年,イギリス=フランス=ニュージーランド,125分


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<キャスト&クルー>

監督 マイク・リー
脚本 マイク・リー
撮影 ディック・ホープ
音楽 アンドリュー・ディクソン

キャスト イメルダ・スタウントン
     フィル・デイヴィス
     ピーター・ワイト
     エイドリアン・スカーボロー
     ヘザー・クラニー
     ダニエル・メイズ
     アレックス・ケリー
     
<評価>

☆☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 1950年ロンドン、人のよいヴェラは家政婦をしながら、近所の人
の世話をやいたりもしていたが、実は事情があって子供を産めない
女たちの堕胎も請け負っていたのだ。彼女にとってそれは人助けだ
が、当時のイギリスでは許されない行為だった…
 イギリスの巨匠マイク・リーが中絶問題にメスを入れた切ない人
間ドラマ。ヴェネチア映画祭金獅子賞受賞。



<レビュー>

 物語は非常にオーソドックスなドラマだ。すごく人のいいヴェラ
がとても素直で優しい家族に囲まれ、幸せな生活を送っているが、
彼女が良かれと思ってしたことが社会には認められず、窮地に陥る。
そして家族の間にも相克が生まれ、様々な思いが去来する。観客は
自然とヴェラと家族の側に立ち、不合理さへの怒りを抱えながら矛
盾した感情を抱える苦悩をともに味わうのである。これは薄っぺら
ではない感動を生み出す物語の構造として非常に優れたものだと思
う。単純ではあるが深みがあり、ずっしりと重い。さすがはマイク・
リーというところだ。
 ただ、マイク・リーはいつものようにぐっと作品のテンポを落と
し、多くの“間”を作品に挟み込んで行く。このゆったりとしたテ
ンポはどうしても見る人を選ぶ。物語の展開が単純であるだけに、
展開を楽しもうとして見ると、ゆっくりすぎるテンポに退屈してし
まう。もちろんマイク・リーは物語の展開だけを楽しむのではなく、
その物語が孕む様々なテーマに目を向けるためにそのような間を設
けているのであるが、そのように能動的に映画を見るということを
すべての人が常にできるわけではない。もちろんマイク・リーとい
う名前とこの作品が掲げるテーマによってすでに見る人をふるいに
かけてはいるのだろうけれど、それは万人受けするものではないと
いうことでもある。
 この作品が問うのは、まず中絶という問題である。日本では中絶
の是非というのはあまり議論されないが、アメリカを見てもわかる
とおり欧米ではキリスト教の影響もあって中絶の是非は常に問題と
して存在している。胎児の生命と母親の意思、様々な理由によって
望まれない子供を産むことの可否が問題となるのだ。そして、それ
はさらに貧富の問題にも大きくかかわってくる。経済的に困窮して
いるがゆえに子供を産めない親、そしてそのような親はヴェラのよ
うなお金のかからない手段で中絶をするしかなく、そこには常に危
険が存在する。中絶を禁止することによって貧しい人たちがさらに
困窮する、その悪循環がここには描かれているのだ。
 そして、他者の痛みに対する視線もここには描かれている。ヴェ
ラが堕胎をしていたことを知った時の家族の反応がそれである。夫
のスタンとその弟のフランク、娘エセルの婚約者レジーはヴェラの
味方をし、もともとヴェラを疎ましく思っていたフランクの妻ジョ
イスはヴェラを拒絶する。ヴェラの息子シドは母親を愛しながらそ
の行為を汚らわしく思うという苦悩を抱える。
 ここで特に注目したいのはレジーとシドの違いである。レジーは
ヴェラのやさしさに触れ、娘のエセルと婚約した。彼は自分の痛み
を理解してくれるヴェラと同じようにヴェラの痛みを理解し、彼女
を受け入れるのだ。しかしシドはヴェラに育てられ他者に対する思
いやりと優しさは身につけたものの、他者を自分によっての善悪で
判断するという価値観を持っている。彼はずっと暖かい家庭で育っ
て来ただけに他者の痛みに鈍感なのである。そのため母親の痛みを
理解できず、母を拒絶してしまうのだ。
 「考えろ、考えろ」とマイク・リーは私たちに言う。ここに描か
れているのは50年前の昔話ではなく、今も果てしなく続く現実の話
なのだ。



□ DVD今日の買い!

<今日の作品:ヴェラ・ドレイク>

価格:¥ 2,990(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:



<今日のお勧め>

 今日はマイク・リー。まとめて見るのはつらいですが…

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2007年03月25日

愛より強く


あ、パ・リーグが開幕しましたね。
野球ってのはテレビなんかで観ているとちょっと見に行きたく
なります。選抜もやってるし、野球の季節がやってきたという
感じですかね。
今年のプロ野球はゴタゴタもしていますが、なんだか地味な感
じもします。松坂もいないし、新人で話題はマー君(という呼
び名もどうかと思うが)くらいだし、新庄もいないし。
個人的にはヤクルトの増渕君に注目ということで、ほかの高卒
ルーキーと比べると地味ではありますが、彼はやる(と思う)。


-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 愛より強く

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − 愛より強く


--cinema1933-----------

 愛より強く

 
Gegen die Wand
 2004年,ドイツ=トルコ,121分


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<キャスト&クルー>

監督 ファティ・アキン
脚本 ファティ・アキン
撮影 ライナー・クラウスマン
音楽 アレクサンダー・ハッケ
   メイシオ・パーカー

キャスト ビロル・ユーネル
     シベル・ケキリ
     カトリン・シュトリーベック
     グヴェン・キラック
     メルテム・クンブル
     
<評価>

☆☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 ライブハウスで清掃係をするトルコ系のジャイトは荒れた生活の
末、自殺未遂を図り精神病院に入院させられる。そこで出会ったシ
ベルに突然結婚してくれと言われ、彼女が親の束縛から逃れるため
に結婚したがっていることを知る。最初は渋っていたが結局ジャイ
トは結婚することにし、2人の生活が始まる…
 自身もトルコ系ドイツ人であるファティ・アキンがドイツにおけ
るトルコ人を描いた恋愛ドラマ。エキゾチックな雰囲気とパンクな
精神が混ざり合い独特の味わい。ベルリン映画祭で金熊賞を受賞。


<レビュー>

 映画はイスタンブールの町と、そこで撮るこの歌を歌うバンドで
はじまる。すぐに舞台はドイツへと移るが、その冒頭でエキゾチッ
クな空気が生み出され、映画の全体を支配する。
 この作品の魅力はリアルさである。ジャイトの無軌道な行動の理
由は最初よくわからないし(ただ粗野なだけなようにも見える)、
シベルの行動も短絡的過ぎるような気はするけれど、それでも彼ら
のように極端な行動をとるという心理は理解できるし、それは人間
誰もが持つ衝動であるのだと思う。その衝動に駆られて生きること
は決して褒められたことではないし、その行動には必ず残酷な結末
が待ち受けているはずである。そしてやはり彼らには残酷な結末が
待ち受けている…
 そこがまず非常にリアルである。彼らの破壊的な衝動が破滅的な
行動を導き、彼らは文字どうり破滅してしまう。そして、彼らのそ
の衝動が理解できるだけに、その破滅は哀しくもあり、切なくもあ
り、しかし同時に自業自得という感慨にもつながる。そのような複
雑な感情を抱かせるところにこの映画のうまさとリアリティがある
のだ。
 ただ、それだけで終わってしまっては救いようがないので、その
破滅からひとつの愛の芽が生まれるように物語は展開して行く。破
壊的な衝動は周囲を破壊して行くだけではなく、自分自身も破壊し、
それが破滅につながるわけだが、同時に自分自身を破壊して行くこ
とによって自分自身の本質が暴かれても行く。自分探しの旅ではな
いけれど、本当に自分が求めるもの、それを否応なく突きつけられ
るのである。この物語においてはそれが愛であり、そしてお互いが
運命的な愛をそこに感じるのである。

 ハリウッド映画ならばこのままハッピーエンドへと突き進みそう
だが、やはりリアリティを重視するとそうはならない。二人は互い
を愛し、互いを求めるのだけれど、そう簡単にはいかない。ふたり
はともに破壊的な衝動に従って無軌道に行動し、自分を破滅させた
のだけれど、その無軌道さには根本的な違いがある。ジャイトの無
軌道さはそもそも自分を破壊することを目的にしていたのに対し、
シビルは自分を取り囲むものを破壊することを目的にしていたのだ。
この違いが一度破滅を迎えた後の二人の行動に違いを生む。ジャイ
トは全てをはぎ落とされた自分の核から再出発するのに対し、シビ
ルは裸になってしまった自分が存在し売る新たな環境を探すことか
らはじめるのだ。いうなればジャイトは目標に向かって進んでいる
のだが、シビルはさまよっているのであり、2人の方向は微妙に違っ
ている。
 哀しいけれど、これがリアリティというものだ。この映画には映
画的快楽は存在しないけれど、これも映画である。冬の寒風が身を
引き締めるように、このような映画は私たちの精神を引き締める。
 ただ邦題は今ひとつ。安っぽいメロドラマかと思った。原題の意
味は「壁に対して」という意味のようだ。



□ DVD今日の買い!

<今日の作品:愛より強く>

価格:¥ 3,990(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:

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