2007年05月31日

あるいは裏切りという名の犬

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-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 あるいは裏切りという名の犬

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■ 今日の映画 - あるいは裏切りという名の犬


--cinema1980-----------

 あるいは裏切りという名の犬

 36 Quai Des Orfevres
 2004年,フランス,110分


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<キャスト&クルー>

監督 オリヴィエ・マルシャル
脚本 オリヴィエ・マルシャル
   フランク・マンクーゾ
   ジュリアン・ラプノー
撮影 ドゥニ・ルーダン
音楽 アクセル・ルノワール
   エルワン・クルモルヴァン

キャスト ダニエル・オートゥイユ
     ジェラール・ドパルデュー
     アンドレ・デュソリエ
     ヴァレリア・ゴリノ
     ロシュディ・ゼム
     ダニエル・デュヴァル


<評価>

☆☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 パリ警視庁のBRI(探索出動班)の捜査官エディの送別会の翌
日、現金輸送車の強盗事件がおきる。同一犯による7回目の事件を
受け、警視庁長官はBRIの警視レオ・ヴリンクスとBRB(強盗
鎮圧班)の警視ドニ・クランのうち、事件を解決したほうを長官に
する告げる…
 ダニエル・オートゥイユとジェラール・ドパルデューという名優
が競演したとにかく男臭いハードボイルドな犯罪映画。この手の作
品が好きな人にはたまらない。



<レビュー>

 ひとつの犯罪を追う、二つの部署が対立するが、そのリーダー同
士はかつての親友、そんないかにもなハードボイルドな犯罪映画で
ある。しかも一方は破天荒な昔かたぎの警察官、もう一人は出世を
望む老獪な警察官である。
 物語はBRIの警視レオ(ダニエル・オートゥイユ)を主人公と
して進む。そして彼は警察の規範を逸脱することはあるが、部下か
らの信頼は厚く正義感である。だから、観客は必然的に彼の側に立
つことになる。しかし、彼はひとつの間違いを犯す。それは、情報
屋から強盗犯の情報を得るために、彼の殺人を見逃すのだ。彼はな
ぜそんなことをしたのか。別に彼は出世を望んでいないのだから、
手柄を立てるためにそこまでする必要はない。ただクランが手柄を
立てるのを阻止するためにそのようなことをしたのか、それともそ
こには、「強盗犯を捕まえるためならチンピラの殺し合いには目を
つぶろう」という彼独自の“正義”が存在したのか。
 そこが今ひとつ腑に落ちないために、私は全体の展開に今ひとつ
入り込めなくなってしまった。
 そして、BRBの警視クラン(ジェラール・ドパルデュー)の行
動にも腑に落ちないところがある。それは彼がレオ指揮の作戦の途
中で単独行動をとったことだ。彼は自分ひとりで強盗を捕まえるこ
とができると思ったのか、それとも単にレオの作戦を失敗させるた
めにそのような行動をとったのか。可能性としては彼は殺される可
能性のほうが大きかったはずだ。にもかかわらず酒をあおってまで
やる必要がある行動だったのか。
 これらの行動は、ハードボイルドなおところらしさを通り越して
無鉄砲なものに見えるてしまう。だから彼らの行動には今ひとつ説
得力がないように思えてしまう。
 そして“正義”について語っていそうでいながら、結局それが何
かについて答えは出ない。それぞれが自分なりの正義を胸に自分が
信じる行動をとる。たとえばティティがその典型だ。その単純化で
きない複雑なメッセージはフランス映画のよさであり、評価できる
部分ではあるが、この物語は絶望的過ぎるかもしれない。

 しかし、それを補って物語の展開を面白くしていくのがジェラー
ル・ドバルデューの“いやな奴”さ加減である。ドパルデューが演
じるクランは本当にいやな奴だ。出世のためには親友を裏切ること
も辞さず、そのことを悔いることもしない。その“いやな奴”さ加
減をドパルデューは見事に演じきり、観客の感情を逆なですること
で破綻しそうな物語を支えるのだ。
 観客が味方につき、感情を没入させるのはダニエル・オートゥイ
ユだが、俳優としての力量を見せたのはドパルデューだろう。この
作品はフランスのアカデミー賞とも言えるセザール賞で8部門にノ
ミネートされた(受賞はひとつもしていない)が、助演男優賞はド
パルデューではなく、長官を演じたアンドレ・デュソリエだった。
 日本でもフランスでも評判がよかった作品だが、少し私には男臭
すぎるし暗すぎた。ハリウッドでリメイクされるらしいが、ハリウッ
ド版くらいのほうが気楽に見れていいのかもしれない。ただ、この
ドパルデューを凌ぐ存在感を示せる人がいるとは思えないが。





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2007年05月29日

オペラハット

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-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 オペラハット

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 - オペラハット


--cinema1979-----------

 オペラハット

 Mr. Deeds Goes to Town
 1936年,アメリカ,115分


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<キャスト&クルー>

監督 フランク・キャプラ
原作 クラレンス・バディントン・ケランド
脚本 ロバート・リスキン
撮影 ジョセフ・ウォーカー
音楽 ハワード・ジャクソン

キャスト ゲイリー・クーパー
     ジーン・アーサー
     ジョージ・バンクロフト
     ライオネル・ダンブリル

<評価>

☆☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 大富豪のランキン氏が死亡し、その遺産相続人として田舎町で油
脂工場を営むディーズ氏の名前が挙がる。弁護士たちの訪問を受け
たディーズはあわてることなくニューヨークへ赴くが、そこで待っ
ていたのは金目当ての人々と新聞記者たちだった。そして、新聞記
者の一人ベイブも身分を偽ってディーズに近づこうとする…
 フランク・キャプラの真骨頂とも言えるヒューマン・コメディ。
2002年にアダム・サンドラー主演で『Mr.ディーズ』としてリメイク
もされた。



<レビュー>

 田舎から都会に出てきた青年が、都会と欲に凝り固まった人々に
戸惑いながらも、自分らしさを発揮して人々の心をつかむという話
で、そこに恋愛が絡んできていかにも30年代のハリウッド映画とい
う風情である。
 この頃のハリウッド映画は安心してみることができる。とっぴな
ことはおきないし、スターたちは魅力的だし、テンポも落ち着いて
いるし。この作品は少し冗長という気はしたけれど、今と比べると
スローな作品というのもこの時代には多い。それはおそらく登場人
物の心理をじっくりと描くためで、この作品では都会の金持ちに対
するディーズの心理を描くことで、彼らを笑いものにしているのだ。
そして、観客には偽りのものとわかっている恋愛に対するディーズ
の気持ちも観客をはらはらさせる要因だ。
 主プロットにひとつの物語があり、サブプロットに恋愛があると
いうハリウッド映画の黄金パターンとくれば、これがハッピーエン
ドに終わることは確実に予想でき、まったく安心して映画を見るこ
とができるのだ。
 もちろん今から見ると退屈な部分もある。あらゆるものが親切に
説明されすぎていて、それを考えるための時間もありすぎる。現代
の速い展開の映画に慣れてしまった観客には展開の遅さがまどろっ
こしいだろう。その意味では傑作と言い切れる映画ではない。

 しかしフランク・キャプラがすごいのは、これを単なるスクリュー
ボール・コメディにはせず、得意のヒューマニズムにつなげていく
ことだ。この作品では特に、ヒューマニズムを越えて社会主義的な
傾向も感じさせるメッセージが含まれる。第2次大戦前という時代
にはまだまだ社会主義/共産主義に対する嫌悪感というのはそれほ
どなく、それよりも労働者の権利などの社会的権利が声高に叫ばれ
ていた時代であった。世界恐慌に告ぐ不況による経済格差の拡大が
大衆に不満を募らせていたわけだ。フランク・キャプラはヒューマ
ニストとしてそのような人々の不満を敏感に感じ取って映画の主題
のひとつとしてきたが、この作品にもそれが色濃く見える。
 そして、この作品が製作された1936年という年は『モダン・タイ
ムス』が製作された年でもある。『モダン・タイムス』も機械化に
よる労働者の苦境を描いたものであり、この作品と通底するテーマ
を持っていた。
 この2つの作品だけで時代を語ることはもちろんできないが、第
2次対戦開戦前の1930年代前半において、アメリカの敵はファシス
トであり、共産主義ではなかった。だからこの作品のような社会主
義的な傾向のある作品も受け入れられたわけだ。

 今でも楽しめる名作というよりは、いかにもクラシックな映画だ
が、コメディとして十分楽しめるし、ひとつの時代を隠した作品と
して貴重だ。フランク・キャプラは1930年代を代表する映画作家で
あり、これは彼の典型的な作品のひとつである。この時代がハリウッ
ドの黄金時代といわれるのは、フランク・キャプラのような作家が
このような作品を自由に作れたからだろう。





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価格:¥ 360(定価:¥ 500)
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<今日のお勧め>

 1936年の作品

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小さな3つの物語

えー、このメルマガ、まぐまぐのデイリーアクセスランキングというものの
エンタメ部門で9位に入りました。
https://blog.mag2.com/m/log/0000032940/
↑この右のほうにあります。
今後ともよろしくお願いします。

今日は中目黒でやっていた「アルゼンチンフェスティバル」で
上映されていた『3つの小さな物語』です。
7月にも2回上映があるそうなので、興味のある方はどうぞ。
http://www.viva-argentina.com/3_filmfest.html


-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 3つの小さな物語

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − 3つの小さな物語


--cinema1978-----------

 3つの小さな物語

 Historias Minimas
 2002年,アルゼンチン=スペイン,92分

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<キャスト&クルー>

監督 カルロス・ソリン
脚本 パブロ・ソラルス
撮影 ウーゴ・コラセ
音楽 ニコラス・ソリン

キャスト ハビエル・ロンバルド
     アントニオ・ベデディクティ
     ハビエラ・ブラボ
     フリア・ソロモノフ
     ラウラ・バノーニ

<評価>

☆☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 パタゴニアの片田舎に住むマリアのところに友人が訪ねてきて、
テレビ番組に出場できると告げ、彼女たちは町の雑貨店に電話をか
けに行き、収録が近くの街サンフリアンのTV局であると知る。そ
の雑貨店の隠居フストはセールスマンのロベルトから自分の犬をサ
ンフリアンで見かけたと教えられ、サンフリアンに向かおうとする
が…
 それぞれの目的を持ってサンフリアンに向かう3人を描いたハー
トフル・コメディ。オーソドックスだが、独特の感じがあって面白
い。

 

<レビュー>

 サンフリアンという街に犬を探しに行く老人、テレビの視聴者参
加番組に出演するために行く若い母親、知人(おそらく恋心を寄せ
ている相手)の子供の誕生日を祝うために行くセールスマンという
3人を描いた物語なわけだが、“小さな”と題されているだけあっ
てその一つ一つは非常に些細な物語である。
 メインとなるのは犬を探す老人フストで、この物語は老人のキャ
ラクターのよさもあって可笑しくもあるし、しんみりもする。子供
のように振舞う頑固な爺さんは微笑ましく見ることができる主人公
だ。そして、その爺さんが出会う人たちも彼をそのように扱う。
 ここに登場する人たちは優しいにもかかわらず、押し付けがまし
くなく、それぞれの個人を尊重しているように見えるし、他人のた
めに自分を犠牲にするほどお人よしでもない。最初に爺さんを乗せ
る生物学者も親切ではあるが、自分が間に合わないとなると爺さん
をあっさりと診療所においていき、爺さんもそれを素直に受け止め
る。
 それがなんだか気持ちがいい。みんなが自分のやりたいことをや
り、それぞれが自分のできる範囲で他人を助ける。こんな田舎町だ
からできることではあるのだろうけれど、そのような人々のかかわ
り方を見ているといい気持ちになる。

 セールスマンのロベルトの話は商売で立ち寄るシングルマザーに
恋をしてしまうというさもありなんという話だが、この物語の中心
となるケーキは非常にいいアイテムだ。彼が特別に注文したサッカー
ボール型のケーキは最初名前が入っておらず、別の街で名前を入れ
てもらおうとするのだが、そこでもひと騒動あり、さらにはその子
に実際にあったことがないロベルトはその(レネという名の)子が
女の子かもしれないと思ってケーキを亀に作り変えようとするのだ。
そのスッタモンダの間にいろいろとおかしなことがあり、ロベルト
が主張はするけれどいい人だということもわかっていく。
 このロベルトの話にも、フスト爺さんの話のもそれぞれひとつず
つ驚くような告白がある。それは平穏に見えるごく普通の人々の人
生におけるひとつの波乱である。この作品は普通の日常を淡々と描
きながら、そんなドキッとする瞬間をはさむことでそこに物語を紡
ぎだす。その瞬間によってその人の人生は物語となるのである。
 そして、そのような告白がどちらもまったくの他人に向けてなさ
れるというのも示唆的だ。それは身近な人にもあまり言うことのな
いようなことなのだろうが、それをふとした瞬間にまったくの他人
の漏らす。そこには大きな孤独を感じる。おそらくこの映画はコメ
ディのような体裁をとりながら“孤独”を描いた作品でもあるのだ
ろう。あまり2人と絡むことのないマリアも、収録のときにテレビ
カメラをじっとみつめるその眼差しに孤独を感じる。彼女の視線は
家族や友人に向けられたものではなく、純粋にカメラに向けられた
もののように見える。商品をもらうことよりもそのようにしてTV
に出ること自体に大きな魅力を感じているであろう彼女の心にも大
きな孤独が巣食っているのだろう。

 カルロス・ソリンは『王様の映画』がヴェネチア映画祭で新人賞
を獲得して注目された監督で、アルゼンチンの監督の中では国際的
な評価が非常に高い。この作品もスペイン語圏の最も権威ある映画
賞といえるゴヤ賞で最優秀スペイン語外国映画賞を受賞、サンセバ
スチャン映画祭で審査員特別賞を受賞している。
 日本ではまったく注目されていなかったが今年ようやく『ボンボ
ン』が公開された。とはいえ、デビューが40代と遅かったこともあっ
て、寡作の監督でこれまでの監督作品は7本、もう1本くらい公開
されればDVDが出るかなぁ…




□ DVD今日の買い!

<今日の作品:3つの小さな物語>

 『3つの小さな物語』のDVDは発売されていません。


<今日のお勧め>

 カルロス・ソリンの作品は1本だけです。

価格:¥ 4,385(定価:¥ 5,040)
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 その他のアルゼンチン映画たち

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2007年05月27日

プラダを着た悪魔

FXとかいろいろな投資が話題になりますが、『ラブホテル・ファン
ド』というのは知っていますか? 文字通りラブホテルに投資するファ
ンド、“ラブホテル”というといかがわしいイメージがありますが、
まあ事業としてはホテル業なわけで、まっとうな事業です。しかも安
定した集客が見込めるために、利回りはなんと8.4%だそうな…
多少の資金がある方は
人気急上昇のラブホットな投資『ラブホテルファンド』是非どうぞ。


-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 プラダを着た悪魔

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 - プラダを着た悪魔




--cinema1977-----------

 プラダを着た悪魔

 The Dvil Wears Prada
 2006年,アメリカ,110分


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<キャスト&クルー>

監督 デヴィッド・フランケル
原作 ローレン・ワイズバーガー
脚本 アライン・ブロッシュ・マッケンナ
撮影 フロリアン・バルハウス
音楽 セオドア・シャピロ

キャスト メリル・ストリープ
     アン・ハサウェイ
     スタンリー・トゥッチ
     エイドリアン・グレニアー
     サイモン・ベイカー

<評価>

☆☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 ジャーナリスト志望のアンディは有名ファッション誌“RUNWAY”
の名物編集長ミランダのアシスタントの職を見つける。ファッショ
ンにまったく興味がない彼女はダサい服で面接に行くがなぜか採用
される。しかし、ミランダは人を人とも思わぬ傍若無人の上司で、
アンディは私生活もめちゃくちゃになってしまうが…
 同名のベストセラー・小説の映画化、軽快なテンポと魅力的な登
場人物で見せる文字通り“ファッショナブル”なコメディ。


<レビュー>

 ジャーナリスト志望の堅物がファッション誌の世界に飛び込む。
大体ファッションの世界というのは堅い人たちからは軽蔑され、真
面目に考えるに値しないものだと思われるものだが、この映画でも
主人公のアンディも、恋人のネイともまさにそのような人たちだ。
しかしアンディは、このミランダの下で1年働けばどんなところで
も通用するといわれて我慢して働こうと決意するわけだ。しかし、
彼女のファッションに対する気持ちは変わらず、相変わらずダサい
服で行くわけだが、ある日仕事をよりよく理解するためにミランダ
の片腕ナイジェルの助けを借りてファッションに気をつけるように
なるという話。
 映画の核はミランダの理不尽な要求をアンディがいかにこなして
行くかというチャレンジで、中には『ハリー・ポッター』のまだ出
版されていない最新作を手に入れて来いなんてものまである。この
ような理不尽さに立ち向かって行くアンディは観客を見方にするこ
とが出来、観客は快くアンディを応援しながら展開を見守ることが
出来る。そしてその展開の中でアンディは成長し、ミランダとの関
係も変化して行く。恋人とのすれ違いもあり、新しいロマンスのよ
うなものもあり、まさに“ファッショナブル”なコメディとしての
あらゆる要素を盛り込んだ快作という感じだ。
 だからとりあえず、あっけらかんと映画を見たいというようなと
きにこの作品は非常にいいあははと笑って、うんうんとうなずいて、
小難しいことは考えずに見終わればすっきり。そんな見方でこの映
画はいいはずだし、そうすればかなり楽しめる。

 しかし、それでもやはり私はいろいろと考えてしまうわけだが、
この作品も考えさせるような仕掛けも用意している。まず、アンディ
がまだダサい服を着ているとき、その“ブルー”のセーターについ
てミランダが講釈をたれるシーンがある。その“ブルー”(バーガ
ンディと言っていたと思うが)が数年前にコレクションで流行った
もので、それが量産品の流行につながり、流行が過ぎるとバーゲン
に回り、それをアンディが買ったというような話で、つまり「ファッ
ションに無関心」という態度をしているアンディが実はそのファッ
ションに服を選ばされていたというわけである。
 ここには非常に深い意味があると思う。ファッションというのは
ただ流行を作り出すものではなく、人々の欲望と密接にかかわるも
のなのだ。アンディがその“ブルー”のセーターを手にしたのはそ
れがファッションであったことによって潜在的な欲望の対象となっ
たからであり、誰もファッションと無関係ではありえないのだ。つ
まり、ミランダは雑誌を作ると同時に人々の欲望を作ってもいる。
もちろん欲望は消費につながり、だからこそファッションは巨大な
産業となるわけで、ミランダはそのシステムを熟知し、それを利用
することで人々の羨望と尊敬と金を集める。
 しかし、欲望はそのように金を作り出すだけでなく、社会を駆動
するエンジンでもあるのだ。アンディも結局は自分の欲望を満たす
ために苦しい仕事を我慢してやっているんだし、全ての人が最終的
には自分の欲望のためにあらゆる行動を起こしているのである。ミ
ランダはそのことを知った上で、人々の欲望をかき立て、社会を動
かしているのだ。企画会議の中で「裁判所の女たち」とか「落下傘
部隊の女たち」なんてのも出てくるが、彼女は様々な企画によって
社会に存在する様々なグループのイメージを構築し、人々の意識を
変えて行っているのだ。

 この作品は最後の10余りの結末の部分がバタバタし今ひとつとい
う感じになっているが、それは結局アンディがそのことを理解せず、
最後までファッションを軽蔑しているからだ。彼女は結局最後まで
ミランダとは相容れず、彼女のような行き方をすることを拒否する。
しかし、ミランダのいうことのほうが正しいのだ。ミランダもアン
ディも自分が信じるもののために突き進む、ミランダにとってはそ
れはファッションであり、アンディにとってはそれはジャーナリズ
ムなのだ。ミランダはそのことを理解しているが、アンディは理解
していない。にもかかわらずこの作品は最終的にはアンディの選択
が正しいかのように終わる。
 それはジャーナリストという直接的な社会への働きかけのほうが
わかりやすく、意義深いものに見えるからだが、私にはミランダの
やり方のほうが結局は成功に近いように思える。アンディはこのま
まだと空虚な意見を叫んで自己満足に浸るだけのジャーナリストに
なりかねない。
 彼女は最後に面接に行くとき服装について「好きだから着る」と
言い放つ。しかし彼女がその服を「好き」なのは本当に彼女の選択
なのだろうか…




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<今日の作品:プラダを着た悪魔>

価格:¥ 3,120(定価:¥ 3,990)
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<今日のお勧め>

 名脇役スタンリー・トゥッチの出演作を。

価格:¥ 2,993(定価:¥ 3,990)
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価格:¥ 1,796(定価:¥ 1,890)
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2007年05月26日

リトル・ミス・サンシャイン



うーん、今日は眠いので頭が働きません。
朝早起きして描ければいいんですが、朝も早いのでね…
こんなものを飲めば、朝起きてすぐすっきりと頭が働くのだろか…
アロマテラピーってのは、いろいろな眉唾の健康食品よりは信用
できるような気がするので、それを活用したものなら少しは効く
のかも


-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 リトル・ミス・サンシャイン

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 - リトル・ミス・サンシャイン


--cinema1976-----------

 リトル・ミス・サンシャイン

 Little Miss Sunshine
 2006年,アメリカ,100分


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<キャスト&クルー>

監督 ジョナサン・デイトン
脚本 マイケル・アーント
撮影 ティム・サーステッド
音楽 マイケル・ダナ

キャスト グレッグ・キニア
     トニ・コレット
     スティーヴ・カレル
     アラン・アーキン
     ポール・ダノ
     アビゲイル・ブレスリン

<評価>

☆☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 自殺未遂した兄を引き取ったシェリルは家に連れ帰るが、息子の
ドウェーンはニーチェにかぶれて無言の行を貫き、夫のリチャード
は独自の成功論で成功をつかもうとしているがうまく行かず、義父
は老人ホームを追い出されこっそりドラッグをやっている。そんな
中、末娘のオリーヴが子供のミスコン“リトル・ミス・サンシャイ
ン”に出場できることに、貧乏な彼らはオンボロバスでカリフォル
ニアまでドライブすることにするが…
 サンダンス映画祭で話題を呼び、インディーズ作品にもかかわら
ず全米でヒット、最後にはアカデミー賞で助演男優賞と脚本賞を受
賞したという“勝ち組”映画。


<レビュー>

 バラバラな家族が旅を通して心を通わせていくというのはロード
ムービーのテーマとしてはなかなかいい。しかもその設定が、独自
の成功論を唱えルことで成功を求めるがちっとも成功していない父
親と、パイロットを目指し、ニーチェにかぶれて無言の行を貫く兄、
自殺未遂を図った伯父、そして決してミスコンに出るような見た目
ではないのにミスコンに出ようとする主人公と来る。母親だけがま
あまともだが、これだけの人々の中にいるだけにまったくまともと
いうわけではない。
 このおかしな人々がオンボロバスでたびに出ると、やはりいろい
ろと面白いことが起きる。まず手始めに車のクラッチが故障し、発
車のたびに車を押すか、下り坂で発射品ければならなくなる。この
車の故障はこの映画の眼目であり、後々まで効いてくる面白みをか
もし出す。この車を押して載り、しかもとまれないという制約が面
白い展開を生み、しかもこのようなトラブルというのは人々を一つ
にまとめるのに役立つのだ。
 そして、少しずつそれぞれの登場人物の人となりが明らかになっ
て行く面白さもある。ドラッグ常習者で、ポルノ好きの祖父、伯父
は優秀なプルースト学者だが、ゲイの三角関係が理由で自殺未遂を
図り、仕事も失ったこと。父親は“9段階成功理論”というのを唱
えるが、自分はちっとも成功しておらず、にもかかわらずまわりの
みんなを「負け犬」と呼ぶこと。そんなこんなでミスコン会場にた
どり着くまでの展開はなかなか笑えるものでそれなりに面白い。
 しかし終盤なると、展開も予想通りのものとなって行き、内容的
にもこれまでのものをまとめようといろいろ理屈っぽいことを言い
始めるので、どうもしっくりとこなくなる。結局これはリチャード
が振りかざしていた“勝ち馬”と“負け犬”という対比を否定する
ものなのか、それとも“負け犬”でも楽しくやっていればいいとい
うひがみなのか、彼らは結局ミスコンを否定/軽蔑することにした
のだと思うが、それこそわざわざカリフォルニアまでやってきてわ
かったのはそれだけかい!という感じだ。
 そんなことはちょっと考えればわかることだし、彼らがやってい
るのは結局価値観とエゴの押し付けでしかない。この映画が言って
いるのは、観客に「“負け犬”の仲間としてくだらないことで価値
を争っている奴らを笑おうぜ」ということだ。別にそんなことはど
うでもいいし、それは勝ち負けを否定する態度とは相反するものだ。
 コメディとしてはなかなかヒネリがあって面白いのに、展開とし
てはそのヒネリが裏目に出た感じだ。最後は変にひねらず、いっと
うバカバカしいことをしてミスコンで優勝してしまうくらいの展開
のほうが、全てを笑い飛ばしている感じでよかったのではないかと
思った。





□ DVD今日の買い!

<今日の作品:リトル・ミス・サンシャイン>

価格:¥ 2,993(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:



<今日のお勧め>

 2006年、アカデミー作品賞ノミネーツ

価格:¥ 3,150(定価:¥ 4,200)
おすすめ度:


価格:¥ 2,330(定価:¥ 2,980)
おすすめ度:


価格:(定価:)
おすすめ度:




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