2007年07月31日

不都合な真実

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今日で7月も終わり。
いよいよ夏!という感じもあり、明日は映画の日でもあります。
夏休みということもあって、先週、今週とアニメやらヒーローも
のやらが続々公開されますが、大人は何を見ればいいのか。
アニメの中では『オトナ帝国の逆襲』の原恵一が監督した『河童』
が少し気になります。
アメリカでは『ザ・シンプソンズ MOVIE』がぶっちぎりの
1位だそうです(第1週で85億円)。日本ではおそらくヒットし
ないと思いますが、私は見たいです。(でも、公開は来年の春…)

後は、8月の初めといえば、6日、9日がありますので、戦争関
係の映画も注目です。
今年は、『ヒロシマナガサキ』と『TOKKO -特攻-』というどちら
も日系アメリカ人監督によるドキュメンタリーが注目です。
も見たいし、見ていただきたいです。この作品は
日系人の監督が取ったアメリカのドキュメンタリー。意外に多く
の劇場でやるのがうれしいです。
『ヒロシマナガサキ』公式サイト
『TOKKO -特攻-』公式サイト

さらに、新藤兼人が自らの体験を証言したドキュメンタリーとそ
れを基にしたドラマから構成される『陸に上がった軍艦』にも注
目したいところです。
『陸に上がった軍艦』公式サイト


あ、昨日は土用の丑でした。うなぎ食べましたか?
夏はまだまだこれから。スタミナには餃子ってのもいいですなぁ




-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 不都合な真実

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − 不都合な真実


--cinema2020-----------

 不都合な真実

 An Inconvenient Truth
 2006年,アメリカ,96分


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<キャスト&クルー>

監督 デイヴィス・グッゲンハイム
撮影 デイヴィス・グッゲンハイム
   ボブ・リッチマン
音楽 マイケル・ブルック

キャスト アル・ゴア
     ビリー・ウェスト(ナレーション)

<評価>

☆☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 危機的状況にある地球温暖化問題。まだまだ知識が普及してい
ないアメリカで、温暖化対策をライフワークとする元合衆国副大
統領アル・ゴアはその啓蒙のための講座を1000回以上も開いてき
た。その活動はアメリカ国内にとどまらず世界中へ。
 この作品は、そんなアル・ゴアの講座の模様に、彼の幼少時代
の話などを挟み込んだドキュメンタリー。各界で話題を集め、ア
カデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を受賞、アル・ゴアは再び
次期大統領候補としても取りざたされるようになった。


<レビュー>

 映画の始まりは、地球温暖化についての基本知識の講義から始
まる。まさかこの程度のことをアメリカ人が知らないってことは
ないだろうと思ってみていると、そういうわけでもないらしい。
アル・ゴアいわく、アメリカ政府は都合の悪い情報を隠し、誤っ
た情報を請い流すことで国民を混乱させ、温暖化に対する認識を
誤らせているということだ。
 それはもちろん、ブッシュ政権の石油業界との癒着、温暖化対
策が産業界へのブレーキとして働くことへの懸念である。アル・
ゴアは自分自身が学生時代から興味を持ち、議員になってからも
ずっとテーマにし続けてきた温暖化について、直接市民に語り始
める。政府や産業界によって流布されている温暖化に対する疑問
をデータによって覆し、温暖化対策が経済を停滞させるという論
拠も最終的には打ち砕く。そこまで見ても、ほとんどはすでに知っ
ていることで、本当にアメリカ人はこんなことも知らないのかと
いう驚きは覚めないが、少なくとも問題点が簡潔に整理されてい
て、非常にわかりやすくはあるので、見て損はない。二酸化炭素
の増加がもたらす温室化効果、極冠の氷が解けることによる太陽
熱の吸収、異常気象と砂漠化といった温暖化にまつわる様々なイ
シューをきちんと整理して、順序だてて説明しているので、納得
できる。
 しかし、わかりやすすぎる。わかりやすいということは便利な
ことだが、わかりやすすぎるものに対しては警戒したほうがいい。
わかりやすいということは、わかりやすくするために言われてい
ることの何倍何十倍ものことを省略し、異論を切り捨て、なんら
かの視点から再構成しなければならない。ここで言われているこ
とは真実だとは思うが、それはアル・ゴアの視点から選択され、
構成された真実であり、これだけが唯一の真実ではないというこ
とだ。つまり、ここで語られているのはアメリカの現政府(つま
りブッシュ政権と共和党)にとって“不都合な真実”であると同
時にアル・ゴアにとって“好都合な真実”だということだ。
 そこには必ず彼にとって“不都合な真実”があり、それは隠さ
れている。

 映画を見るものとしてこの映画に対して警句を発したいのは、
この作品のイメージの使い方だ。この作品は詳細なデータに基づ
いて緻密に論理を展開しているように見えて、実はイメージによっ
て訴えている部分が非常に大きい。その際たるものは海面が6メー
トル上昇した場合のフロリダ、オランダ、インド、マンハッタン
などのイメージを写した映像である。これを見れば、地球温暖化
によって自分が今住んでいる土地が水没するというイメージが確
実に喚起される。しかし、この6メートルという数字に対しては
詳しい説明はなされていないのだ。「このまま温暖化が進んだら」
という仮定をする場合、データのとり方や予想の立て方によって
結果には違いが出てくるのが当然だ。地球が温暖化していること
は確実だが、海面が6メートル上昇することは必ずしも確実では
ないのだ。にもかかわらず、この映画はそれをイメージによって
観客に植え付け、それが複数ある可能性のひとつでしかないとい
う当たり前の事実を観客が考えないように仕向ける。この作品は
地球温暖化について観客に考えさせる映画であるはずなのに、イ
メージによって観客の思考を阻害しているのだ。これは非常に大
きな問題ではないか。
 また、彼の幼少時代のエピソードが挟み込まれるのも、観客の
イメージ喚起のためであることは明らかだ。これによってアル・
ゴアという人物を観客一人一人に近づけ、彼の原イメージを観客
に共有させようと強いるのである。
 そして、さらにこの作品で言っていることが多少なりとも眉唾
だと思わせるのは、必要以上に登場すると思われるマック(アッ
プル・コンピュータ)の存在だ。あまりに何度も登場するマック
に違和感を覚えて調べてみたら、アル・ゴアは2003年からアップ
ル・コンピュータの取締役なのである。
 これによって彼の言っていることの真実性が歪められるわけで
はないが、彼はこの作品が構築しようとしているような完璧に正
直な人間ではないということだ。彼にとっての真実は、数多い真
実のひとつでしかない。

 この作品はそのことを語っていないがためにドキュメンタリー
であると言い切っていいかどうか疑念を抱く。ドキュメンタリー
が真実をありのままに描くものだとしたら、ここまで一面的な真
実のみを伝えるものをドキュメンタリーと読んでいいのだろうか
という疑問が沸く。もし、ドキュメンタリーが事実に根ざしたひ
とつの見解の表明であるとするならば、これは間違いなくドキュ
メンタリーであり、あまりかでヒットしているドキュメンタリー
のほとんどがこの範疇に含まれることを考えると、ドキュメンタ
リーであるといったほうがいいのかもしれない。
 しかし、私にとってはこれは事実を材料にした私見であり、そ
れはドキュメンタリーとは呼びたくない。私はドキュメンタリー
映画を見るといつも「いったいドキュメンタリーとは何なのか」
ということに悩む。その答えはいつまでも出ないが、この作品を
見ていわゆるドキュメンタリーに対する疑念は深まった。
 この作品を多くの人に見てほしいとは思うが、これはあくまで
出発点であり、ここで言われていることに対して疑念を持つこと
から本当の思考が始まるのだと思う。





□ ヒビコレリンク

 温暖化をめぐる諸説については、wikipedia がよく整理されています。肯定派懐疑派両方のリンクも

 チーム・マイナス6%


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<今日の作品:不都合な真実>

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<今日のお勧め>

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2007年07月30日

風の丘を越えて

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昨日の選挙の投票率は前回よりよかったということで、やはり
みんなが危機感を抱えているということなのかもしれません。

私は、選挙特番というのが好きで、昨日もいろいろ見ていたの
ですが、昨日はTBSが一番面白かったように思えました。こ
れだけいろいろな人が政治のことを語るというのは選挙特番く
らいしかないですから、いろいろな話が出てきて面白いです。
当選した人たちも、しっかりした意見を持っている人もいれば、
なんじゃこりゃって人もいる。今の日本の政治がよく見えます。
とりあえず、「安倍ははぜやめん?」という疑問は誰もが持つ
ところ。このままだと自民党は次の選挙も勝てないので、よっ
ぽどてこ入れをしない限り、自民党からどんどん人が離れてい
くんじゃないでしょうか? 政治家ってのは結局選挙に勝たな
きゃ失業してしまうわけですから、選挙を勝てる政党に行くわ
けで、意見にそれほど違いのない自民党と民主党なら選挙に強
いほうを選ぶ。それが当然です。小沢一郎が代表になったのは
そのようにして自民党から人を引き剥がすことに狙いがあった
のかも知れません。
実際小沢一郎が総理大臣と言われると「それはちょっと…」と
思いますが、小沢一郎が民主党を引き上げ、看板になる首相を
据える。それはありそうな筋書きです。次の衆議院選挙がいつ
になるのかはわかりませんが、近いうちに解散があるなら、自
民から造反した人たちのリーダーが次の首相という可能性も大
いにある。そんな政界再編の筋書きを昨日の選挙特番を見なが
ら思い浮かべたりしました。
まあ、私はそれが望ましいと思っているわけではありませんが…



-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 風の丘を越えて/西便制(ソピョンジェ)

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − 風の丘を越えて/西便制(ソピョンジェ)


--cinema2019-----------

 風の丘を越えて/西便制(ソピョンジェ)

 西便制
 1993年,韓国,113分


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<キャスト&クルー>

監督 イム・クォンテク
原作 イ・チョンジュン
脚本 キム・ミョンゴン
撮影 チョン・イルソン
音楽 キム・スチョル

キャスト キム・ミョンゴン
     キム・ギュチョル
     オ・ジョンヘ
     アン・ビョンギョン

<評価>

☆☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 “唄い手の峠”をたずねたトンホはそこにいたのが自分が探し
ていた父と姉だと知る。トンホは母が旅をしながらパンソリを歌
う芸人と出会い、母が死ぬと父に従って旅芸人の生活を続けたが、
唄い手としての才能がなかった彼はその厳しい生活に段々と嫌気
がさしてくる…
 全編に朝鮮半島の伝統芸能であるパンソリの歌が流れる力強い
ドラマ。韓流ブームのはるか前に日本に紹介された韓国映画。


<レビュー>

 この映画でなんといってもいいのは歌だ。ソンファを演じるオ・
ジョンへの歌声がすばらしい。オ・ジョンへは女優だが、子供の
ころからパンソリを学び、大学でも韓国音楽科に進み、日本でい
うところの人間国宝にも師事したパンソリ歌手でもある。そのオ・
ジョンへの歌声の力感や揺らぎ、声が出なくて悩んでいるときの
その質感の変化それらが本当にすばらしい。
 物語としては非常にオーソドックスなもので、伝統芸能が現代
社会でぶつかる障害を描き、滅び行く伝統芸能の担い手の苦悩を
描く。この物語はそれを血のつながっていない3人の家族を中心
に描くことで、血のつながった家族の間で世襲的に継承される場
合の困難とは異なる部分も描いている。ソンファとトンホの間に
は兄弟愛を越えた男女間の愛情の芽生えも見えるが、それには触
れずに、純粋に芸能を通した家族のつながりを描いたことで焦点
が定まり、いっそう“歌”が前面に出ることになっている。
 韓国でのパンソリの現状がいかなるものかはわからないが、日
本の浪曲などという印象なのだろうか。一部の年寄りには好まれ
るが、若い人はほとんど聞いたことのないような。それでもたと
えば津軽三味線が若い人の間でもブレイクしたりというように、
伝統芸能が再び脚光を浴びることはある。この映画で聞く限り、
パンソリというのはすごく独特で力強いものだ。映画の中で「日
帝時代には演歌が流行った」というせりふがあったが、その演歌
に通じるところがあるようで、まったく違う声質と節回しがとて
もいいと思う。しかし、今の社会では日常的に聞くというよりは
鑑賞するものという感じがする。中には京劇のように演じられる
パンソリもあったりするので、たとえば狂言のような存在にもな
りうるのかもしれない。

 まあ、よくわからないことをとやかく言っても仕方がないので、
映画に戻るが、この映画はまさにそのパンソリのための映画なの
だと思う。よく知らなくてもこれを聞けば、その力強さと魅力は
わかるのだし、そこから興味を覚える人はいるはずだ。
 そして、この作品の続編である『千羽鶴』という作品がイム・
クォンテク監督の100本目の作品として公開されたらしい。トンホ
役はチョ・ジェヒョンへと変わったがソンファはオ・ジョンへが
再び演じる。最後にソンファの娘らしき女の子がソンファを引い
ていたことを考えると、ソンファと娘の物語となるのだろうか。
 なんにしても、オ・ジョンへは再びすばらしい歌声を聞かせ、
パンソリのすばらしさを韓国と、そして世界へと伝えるのだろう。





□ ヒビコレリンク

 パンソリについて



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<今日のお勧め>

 イム・グォンテク作品

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2007年07月29日

三年身籠る

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今日は、投票日です。何はともあれ選挙に行きましょう。
実際のところ、私たちが政治に与することができるのは選挙だけ。
選挙に行かないということは、その権利を放棄することであって、
政治に関心がないということの表明です。何かいいたいこと、考
えていることがあるなら、何はともあれ選挙に行けということで
す(別に丸川珠代批判ではありません)。

私が誰に入れるかなんてことをここで書くことはしませんが、最
近思うのは、人の痛みがわかる人が政治化にも必要だということ
です。庶民の味方だの何だの言っていても、実際に庶民の痛みが
わかるのか、というと政治活動に忙殺されていてわかりっこない。
東国原知事が人気があるのは、元芸能人だからというのも一因で
すが、庶民の視点に立っているというパフォーマンスを本気でやっ
ているからだと思います(実際に庶民の痛みがわかっているかど
うかは別の話)。
だから、今回の選挙では、誰がいったい本当に人の痛みがわかる
人物なのかということを慎重に精査して投票したいと思っていま
す。皆さんも闇雲に政党名に投票するのではなく、そういったこ
とを考えてみてくださいませ。



-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 三年身籠る

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − 三年身籠る


--cinema2018-----------

 三年身籠る

 2005年,日本,99分

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<キャスト&クルー>

監督 唯野美歩子
原作 唯野美歩子
脚本 唯野美歩子
撮影 中村夏葉
音楽 野崎美波

キャスト 中島知子
     西島秀俊
     木内みどり
     奥田恵梨華
     塩見三省
     丹阿弥谷津子

<評価>

☆☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 妊娠9ヶ月を迎えた冬子は子供のためにラジオもテレビもすべ
ての情報をシャットアウトする生活を送っていた。しかし子供が
生まれる様子はなく、あっという間に妊娠18ヶ月を迎える。冬子
のお腹は尋常ではない大きさになっていたが冬子も冬子の母もそ
のことをあまり気にはしない。しかし愛人に振られ冬子をかまう
ようになった夫の徹は…
 女優の唯野美歩子が監督した3年間妊娠するという不思議な設
定から展開されるヒューマンドラマ。



<レビュー>

 3年間も妊娠するというと医者をはじめとしてみんなが騒ぎそ
うなものだし、そんな環境の中では不可能だと考えるのが当たり
前の発想だと思うが、この作品はそんな常識を一切廃し、唯一常
識的でありそうな旦那の徹も「宇宙人の子なんじゃないか」とい
う発言で常識の側から身を転ずる。その結果、この作品は三年身
籠ったらどうなるだろうか、ということだけを淡々と描くことが
できるようになり、非現実的でありながら現実につながった物語
を描くことができるようになった。
 この物語が語ろうとしているのはおそらく、親と子のつながり
の希薄さなのだろう。9ヶ月という妊娠期間は十分に長いような
気もするが、このスピードの速い社会の中ではあっという間の出
来事とも感じられるかもしれない。特に父親は相変わらず毎日の
仕事に追われ、母親が子供とのつながりを育む時間を共有できな
い。そのために、もし妊娠期間が三年あり、人間の子供がほかの
動物の子供のように生まれてすぐ立つくらいに成長して生まれて
くるならどうだろうかという考えが発想されたのだろう。
 確かにそれだけ妊娠していて、母親が立ち上がることさえも困
難になったなら、父親はそのためにいろいろなことをしなければ
ならなず、それによって絆が生まれることは確かだろう。しかし、
ここでもやはり常識の壁がある。このふたりは山奥の人里離れた
家で生活を始めるわけだが、それが実際に可能かどうかというこ
とだ。もし妊娠がそのようなものになったら、子供を生める人は
ほとんどいなくなってしまうだろう。もちろん、これはあくまで
も“絆”を深めるということについて描いたものだから、そのよ
うな常識を無視していいのだろうが、この物語から触発されて、
現在の子供を産むことを取り巻く環境(とりわけ日本の)を考え
ると、いろいろなことを考えてしまう。
 しかも、生まれてすぐに立つというのはすべての動物に当ては
まることではない。パンダやカンガルーの赤ちゃんは豆粒ほどの
大きさで生まれるし、鳥は生まれてもすぐには飛べない。動物の
子供はそれぞれに適した大きさで生まれるのであって、人間には
これがふさわしい形なのだ。
 などという常識をここで語っても仕方がないので、同じように
非現実的なことを考えてみるしたら、男性も女性も子供を産める
ようになるのが一番いいのではと思う。アーノルド・シュワルツェ
ネッガーが妊娠する男性を演じた『ジュニア』という映画もあっ
たが、こればっかりはさすがに非現実的すぎるだろう。ならば、
子供は女性が生んで、授乳は男性がするというのはどうだろう。
今の欧米や日本のように夫婦の共働きが進んでいると、女性ばか
りが1年も休むというのは難しい。それならば、女性も男性も同
じくらいに出産/育児休暇をとったほうがいいに決まっている。
しかし、現在の状況では女性が出産から授乳までやらねばならず、
女性が休むほうが効率的といえる。ならば、男性が授乳できるよ
うになれば、出産前と直後は女性が休み、それと重なるように男
性が休むという形が取れる。もちろん父親と子供の絆も深まる。
 もちろんこんなことをまじめに書いても実現するはずはないの
だが、この作品が非現実的なことを描くことによって親とこの絆
ということを描けたのと同様、こういうこともまじめに書くこと
で、現実の親子の問題を考えうるのではないか。
 この作品は映画としては今ひとつ盛り上がりにかけ、すごく魅
力的とはいえないが、それなりの面白みがあった。せっかくここ
までやったのなら、次回作はぜひ「おっぱいが出る男性」を主人
公にした物語を作ってほしい。





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 『恋する幼虫』



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<今日の作品:三年身籠る>

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<今日のお勧め>

 唯野美歩子出演作

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 『サンデイドライブ』
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2007年07月27日

母たちの村

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高校野球の地区予選が花盛りですね。私の母校は1回戦であっと
いう間の5回コールドで負けてしまいました。地元の都立狛江高
校も珍しくベスト16まで残っていたのですが、昨日これまたコー
ルドで負けてしまいました。
予選で応援する学校もなくなってしまったので、甲子園本番を待
ちたいと思います。

しかし、突然暑いですね。
暑いときに食べたいものは冷やし中華とかそうめんとかいろいろ
ありますが、私は今無性に讃岐うどんが食べたいです。お店では
新宿の東京麺通団が好きですが、この間渋谷で入った将八うどん
もなかなかおいしかったです。香川ではもっとおいしい店がたく
さんあるので、わざわざチェーン店に入ることはないですが、東
京ではおいしく感じます(少なくともはなまるよりは)。
香川に何年か前に行っておいしかったのは丸亀にある「なかむら
うどん」ということろのうどん。調べたら、通販でも買えます
うーん、食べたい…
ちなみに楽天で人気があるのは亀城庵というところ、店舗は坂出
にあるようですが、通販に力を入れているようで
うーん、これもおいしそうだ…



-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 母たちの村

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − 母たちの村


--cinema2017-----------

 母たちの村

 Moolaade
 2004年,フランス=セネガル,124分


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<キャスト&クルー>

監督 ウスマン・センベーヌ
脚本 ウスマン・センベーヌ
撮影 ドミニク・ジャンティ
音楽 ボンカナ・マイガ

キャスト ファトゥマタ・クリバリ
     マイムナ・エレーヌ・ジャラ
     サリマタ・トラオレ
     アミナダ・ダオ
     ドミニク・T・ゼイダ

<評価>

☆☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 アフリカのとある村で割礼の儀式が行われていたが、そのうち
の4人の少女が儀式を逃げ出し、有力者の第二夫人であるコレの
ところに保護(ムーラーデ)を求めてきた。コレはムーラーデに
よって少女たちを守る事に決めるが、それは容易なことではなかっ
た…
 アフリカ各地に今も残る女性の割礼(性器切除)の問題を指摘
した社会派ドラマ。監督はセネガル映画の旗手で、アフリカ有数
の監督であるウスマン・センベーヌ。惜しくも2007年6月に亡くな
り、この作品が遺作となった。



<レビュー>

 この作品が問題にしているのは伝統と近代の対立である。女性
の割礼という伝統的風習を守ろうとする女性たちと、その風習が
子供たちの命を危険にさらすことから拒否しようとする女性たち。
前者の女性たちは男性の権威を借りて、後者の女性たちは圧倒的
に弱い立場におかれる。現代の欧米的価値観になじんだ私たちに
はそんな風習自体が無意味で乱暴で、即刻やめるべきものに映る
わけだが、習慣あるいは因習というのは人々の体にこびりつき、
それを拭うのはなかなか難しい。しかもここでは、その対立は単
にその伝統を続けるかやめるかという問題だけではなく、女性た
ちがさまざまな知識を得ることを是とするかという問題、つまり
男性と女性の地位の問題に直結する。
 近代の到来とは推し並べて女性の解放が大きくかかわっている。
中国の纏足も、ヨーロッパのコルセットも、日本の着物も、女性
を拘束し、社会へと出て行くのを阻害するものだった。ここで描
かれる割礼はそれとは同じではないが、結局のところ男性が女性
の肉体を支配していることを象徴的に示すものであり、この因習
が女性を閉じ込めるひとつの手段となっている点では同じである。
 コレは自分の経験とラジオからの知識によってこの因習に疑問
を抱く。これはまさしく近代的自我の目覚めであり、女性解放の
第一歩である。男性はそれを防ぐためにラジオを取り上げ、それ
が逆に他の女性たちをコレに賛同させることになる。この結果起
きる支配側と被支配側の対立は、近代的価値観から見れば被支配
側に理があり、支配側から被支配側への賛同者が現れて理が勝つ
というのがひとつのパターンである。
 この作品はそのような近代への緩やかな移行を二項対立によっ
てわかりやすく描いている。単純すぎるし、わかり安すぎるし、
時間をかけすぎているという気はしないでもないが、それはすで
に近代を越えて近代的価値観をすっかり飲み込んでしまった者か
らの見方だ。ここで描かれている性器切除という因習がまだアフ
リカに残っていることを考えると、アフリカの人々がここに描か
れていることを理解するには時間と単純さが必要なのだろう。
 この女性器切除(FGM)は現在では国際的に人権侵害と認定
され、亡命の理由と認めている国もある。そのようなことを知識
としてアフリカの女性に広めることは必要なことだ。しかし、こ
こで問題になるのは、因習と人権の関係の問題である。この女性
器切除のように命を危険にさらすものは人権侵害ということは容
易だが、どこまでを人権侵害と呼ぶかは難しいところだと思う。
われわれはこの作品を見ながらそこまで踏み込んで考える必要が
ある。この作品自体はそのガイドにはならないが、私たちは他か
ら情報を得る手段があるのだから、その情報を積極的に手にし、
考えなければならない。

 監督のウスマン・センベーヌは60年代から映画を撮って来たア
フリカ映画の先駆者の一人で、1966年の“La Noir de...”はア
フリカ初の長編映画といわれている。セネガルは1960年の“アフ
リカの年”に独立国となった国のひとつだから、60年代に早くも
映画を作っていたというのは驚嘆に値する。10本ほどの作品を制
作し、2007年に6月に亡くなってしまったが、南アフリカを中心に
アフリカの映画が日本でも少しずつ見られるようになってきてい
る今、彼の作品を見直す機会があるといいと思う。




□ ヒビコレリンク

 女性器切除についての記事(FGM廃絶を支援する女たちの会)
  



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<今日の作品:母たちの村>

価格:¥ 3,471(定価:¥ 3,990)
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<今日のお勧め>

 FGMの参考図書です。

内海 夏子
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キャディ
価格:¥ 1,470(定価:¥ 1,470)
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メンデ ナーゼル
価格:¥ 840(定価:¥ 840)
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2007年07月26日

オアシス

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昨日のサッカー、日本は負けてしまいましたが、試合としては
なかなか面白かったという感想です。もう一試合に勝ったのは
イラクですが、祝砲の流れ弾で死ぬ人がいたり、勝利を祝って
いた市民に対して自爆テロが起こったりと悲劇的なことが次々
とおきています。サッカーで勝つことはイラクの国民に何らか
のプラスの作用をすると思ったのですが、必ずしもそうでもな
いのかも知れません。イラクの事情はサッカーごときで左右さ
れるよど簡単な状況ではないということでしょうね。
先日、NHKでもイラクとイラクからの難民についてやってい
ましたが、戦火を逃れて国外へ出た難民が生活のために国にも
どらなければならない状況があるということで、それで命を落
とす人も少なくないでしょうから、何とかしなければなりませ
ん。
考えなければならないことはたくさんあります。



-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 オアシス

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − オアシス


--cinema2016-----------

 オアシス

 Oasis
 2002年,韓国,132分


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<キャスト&クルー>

監督 イ・チャンドン
脚本 イ・チャンドン
撮影 チェ・ヨンテク
音楽 イ・ジェジン

キャスト ソン・ギョルグ
     ムン・ソリ
     アン・ネサン
     チェ・グィジョン
     リュ・スンワン
     ソン・ビョンホ

<評価>

☆☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 半袖で冬の街をうろつくジョンドゥは無銭飲食で警察に捕まる。
前科3犯のジョンドゥは刑務所を出所したばかりで、弟が彼を引
き取る。家に帰ったジョンドゥは兄に説教されて中華料理屋で働
くことになるが、彼がひき逃げした男の家を訪ね、そこで脳性マ
ヒの娘コンジュと出会う…
 脳性マヒの娘を演じたムン・ソリの演技が光るヒューマン・ド
ラマ。ヴェネチア映画祭で監督賞(イ・チャンドン)と新人俳優
賞(ムン・ソリ)を受賞した。このふたりは『ペパーミント・キャ
ンディー』でもコンビを組んでいた。



<レビュー>

 韓国映画には日常にはなかなかない題材を作品が多くある。こ
の作品も脳性マヒの女性と前科者の(少し知的障害があるらしい)
男性が主人公ということでそのような作品のひとつかと思わせる
が、そうではなかった。それは、まずこのムン・ソリの演技のリ
アリティにある。脳性マヒというのはそれほど珍しい病気ではな
いし、脳性マヒを抱えながら生きている人はたくさんいる。ムン・
ソリはそのような人たちの姿を生き生きと演じて見せ、これを単
なるお涙頂戴のドラマに堕することを食い止めた。
 そして、シナリオもいい。このドラマは結局ラブ・ストーリー
になるのだけれど、障害者が登場するラブストーリーというと障
害を越えて愛し合うふたりみたいなものになりがちなところをう
まく回避してもいるのだ。それは、相手のジョンドゥをエキセン
トリックなキャラクターにしたところにある。このジョンドゥは
少し知的障害(学習障害か?)があるようだが、それとあいまっ
た彼の突飛な行動がこの物語を落ち着かせないのだ。そもそもジョ
ンドゥは障害を持つコンジュに、自分の欲望を満たすために(簡
単に言えば強姦するために)近づく。しかし、そこから突然彼は
献身的な恋人となるのだ。それは、彼が冷静沈着な強姦魔ではな
く、自分の欲望をうまく制御できず、しかもそれを自分なりに苦々
しく思っている男だからだ。彼はコンジュが昏倒し、その介抱を
したことで彼女を欲望のはけ口とは見なくなり、彼女に対して違
う形の欲求を感じ始めるのだ。自らの欲望に素直な彼は、コンジュ
に徹底的に尽くすようになる。そして、同時にいわゆる社会通念
を理解しない彼はコンジュと対等に付き合うことで、コンジュの
心を少しずつ捉えていくのである。
 こういう心がこもった恋愛ドラマというのはなかなかない。今
の韓国映画は不治の病を抱えたとか、刑務所にいるとか、短絡的
な障害を設定し、それを乗り越えようという恋愛ドラマを作りが
ちで、その多くはワンパターンで退屈なものになりがちだ。この
作品はそんな作品が多く入ってくる韓流ブームの前の作品だが、
それだけに意味があると思う。

 ただ、ジョンドゥとコンジュを取り巻く家族はどうも冷たすぎ
る気がするのが少し残念。まあ、恋愛を描くためには、家族とい
うのは障害になりがちだが、家族なら同情してしかるべき前科者
や身障者に対してあまりに冷酷すぎはしまいか。まあ、コンジュ
のような身障者に冷たい家族なんてのは珍しいことではないが、
ジョンドゥのほうの家族は、途中で明かされる秘密もありながら
あの冷酷さはどうだろうか。韓国の事情なのか、それともシナリ
オの都合なのか、それぞれの家族関係ももう少し掘り下げて、よ
り複雑な感情を描くことができたら、本当の名作になったかもし
れない。
 それでも、玉石混交の韓国映画の、特に駄作が多い恋愛ものの
中にあって、きらりと光る好作品ではある。ムン・ソリはこれだ
けの演技力がありながら、その後は『浮気な家族』など数本の作
品に出演していないのは、こだわりなのか、それともやはり美人
女優ばかりがもてはやされる韓国の事情なのか。彼女の演技をじっ
くりと見るなら、必見の作品だ。





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posted by ヒビコレエイガ at 15:03 | TrackBack(0) | バックナンバー(移行中) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする