2007年09月29日

デート・ウィズ・ドリュー

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http://www.cinema-today.net/




今週末はプロ野球も大詰め、F1もありますが、やはり気になる
のは“ハニカミ王子”ですか。2日目終えて5打差の13位という
ことで、やはり只者ではない。話題になり始めて結構たちますが、
初々しさを失わず、しかし冷静でもあるというバランスがいいん
でしょうね。これがスター性というものなんでしょうか。来年は
プロ転向なんて話もありますが、どっちにしても頑張って欲しい
ものですね。

そういえば、映画系サイトで「男のため」と冠のついた面白いサ
イトを見つけました。
http://www.cinemaonline.jp/
映画ってのはレディースデーなんかがあることからもわかるよう
に、女性が主導というのが多く、男性向けの情報というのはなか
なかないので、こういうのは面白いですね。運営しているのは映
画業界とは関係のない通販会社のようなので、配給宣伝のしがら
みもなく、比較的自由なことが書けるのではないかと思います。
新作の映画/DVDを探すご参考にひとつどうぞ。


-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 デート・ウィズ・ドリュー

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − デート・ウィズ・ドリュー


--cinema2060------------

 デート・ウィズ・ドリュー

 My Date With Drew
 2004年,アメリカ,90分


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<キャスト&クルー>

監督 ブライアン・ハーズリンガー
   ジョン・ガン
   ブレット・ウィン
音楽 スティーヴン・M・スターン
   スチュアート・ハート

キャスト ブライアン・ハーズリンガー
     ドリュー・バリモア
     エリック・ロバーツ
     コリー・フェルドマン
     ジョン・オーガスト

<評価>

☆☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 6歳のころからドリュー・バリモアの大ファンというブライアン
は失業中だが、とあるクイズ番組で1100ドルの賞金をもらい、その
賞金を使って「30日間でドリュー・バリモアとデートできるか」と
いう映画を撮ろうと構想する。予告編を製作する仕事をしている親
友を頼りに友達づてでドリューにたどり着こうとするのだが…
 ファンの思い入れを映画にしてしまった爽快なドキュメンタリー。
とにかくくだらないが、なんだか面白い。



<レビュー>

 これは最高にくだらない映画だ。この映画の目的は「ドリュー・
バリモアとデートする」というそれだけに尽きる。そのために金も
コネもないハリウッドに住んでいるだけで、仕事もない27歳の男が
さまざまに奔走する。撮影のためのビデオは30日間の返却期間ぎり
ぎりまで返すことを前提に買い、タダになるものはなんでもタダで
やる。「最大の夢の実現」とか「冒険の旅」とか言っているけれど、
結局はただデートをするだけのこと、それをとにかく大げさに扱っ
ただけのことだ。
 しかし、この最高にくだらない映画がなぜか面白い。「こんなく
だらない」と誰もが思うのだけれど、こんなくだらないことにこれ
だけの情熱を注げるエネルギーと、本当に「ドリューとデートする」
という目標に向かって純粋に努力するその姿は清々しい。
 映画の手法としては自分が試みていることを記録していくという
マイケル・ムーア的なものだけれど、論争的だったり、社会的だっ
たりすることはまったくなく、ただただ個人的なことを記録してい
るだけで、その相手がセレブだということで世間の注目を集めただ
けなのだ。
 感想を書こうとすると、どうもこの作品に意味がないしつまらな
いということになってしまうのだが、これはなんだか面白い。それ
はこの作品が体現しているのは私達の日常の小さなチャレンジであ
り、そのチャレンジを実現するために必要な人と人とのつながりで
あるからだろう。彼らはドリューとデートすることを強く願ってい
るが、そのことでごり押しをしたり、脅迫じみたことをしたり、ま
たストーカーじみたことをすることもない。(1度だけ犯罪といえ
るようなことをしているが、まあそれには目をつぶろう。)
 彼らは人と人とがつながっていくそのつながりを通して夢を実現
しようとしているのだ。そこに何か面白みと温かみがあるのだろう
と思う。そして端と端にいるブライアンとドリューが最終的につな
がったなら、それはその間にいる無数の人と人とがつながったこと
を意味するということなのだ。本当にくだらないことなのだけれど、
ここまでくだらないことだからすべての人が構えることなくつなが
ることができ、人とつながることでそれぞれが何かを得ることがで
きた。ブライアンはドリューとあうという夢をかなえるために人か
ら何かを引き出すのではなく、自分の夢を人々の分け与えることに
よって最終的にドリューにたどり着くのだ。間に入る無数の人すべ
てに分け与えるだけの強い夢が彼にあれば、彼はドリューにたどり
着くことができるだろう。

 この作品に意味とか結論とかを求めるのはまったく無意味だ。作
品としては「夢をあきらめるな」とか、ドリュー・バリモアの言葉
として何度か登場する「リスクを犯さないのは魂の浪費だ」という
ことを結論あるいはメッセージとして発信しているようにも見える
のだが、はっきり言ってこの映画を撮ることのどこにリスクがある
のか。リスクといえば1100ドルと1ヶ月を無駄にするという程度の
ことで、彼の人生がどうこうするほどのものではない。その程度を
リスクというのは映画を作る以上そこに何か言いたいことがなけれ
ばならないという思い込みの産物だとしか私には思えない。
 この作品はそんなことはおいておいてただ楽しめばいい作品だと
思う。これはあくまで企画の勝利で、同じような手法では二度と成
功することはないと思うが、子供の心を持ったブライアンなら、ま
た別の企画を実現するのではないかと思う。とかく社会派に走りが
ちなドキュメンタリーだからたまにはこんな作品もあっていい。





□ ヒビコレリンク

 ドリュー・バリモア



□ DVD今日の買い!

<今日の作品:デート・ウィズ・ドリュー>

価格:¥ 3,590(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:



<今日のお勧め>

 作品中で言及される映画たち

価格:¥ 1,500(定価:¥ 1,500)
おすすめ度:


価格:¥ 700(定価:¥ 1,500)
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価格:¥ 2,506(定価:¥ 4,179)
おすすめ度:




価格:¥ 995(定価:¥ 995)
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2007年09月28日

ブラザー・ハート

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最近、いろいろなことに手を出そうと思って、オーマイニュース
というところに、市民記者として記事を書いてみました


題材は少し前に取り上げた『ウリハッキョ』ですが、論争的な話
題なだけに、早速コメントが。批判的というか、疑問を投げかけ
るコメントではありますが、もっともと思える部分もあり、書き
方を工夫しないとな、と思えるので勉強になります。まあ、もち
ろん好意的なコメントのほうがうれしいわけですが…
まあ、めげずにがんばっていきますよ。よろしければ、応援くだ
さい。

いろいろなことといえば、まぐネット!のほうは今ひとつ盛り上
がりません。
http://magnet.mag2.com/pc/page_c_home/173
うーん、何かいい話題はないかなぁ…



-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 ブラザー・ハート

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − ブラザー・ハート


--cinema2059------------

 ブラザー・ハート

 I'll Sleap When I'm Dead
 2004年,イギリス=アメリカ,103分


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<キャスト&クルー>

監督 マイク・ホッジス
脚本 トレヴァー・プレストン
撮影 マイケル・ガーファス
音楽 サイモン・フィッシャー・ターナー

キャスト クライヴ・オーウェン
     シャーロット・ランプリング
     ジョナサン・リス=マイヤーズ
     マルコム・マクダウェル

<評価>

☆☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 ロンドンで友人にドラッグを売るデイビー、ある夜恋人の家か
ら帰る途中で見知らぬ男たちに捕まりレイプされる。朝、部屋へ
と帰ってきたデイビーは服を着たままバスタブにつかり、ついに
自殺する。その死体を発見した親友は行方知れずの彼の兄ウィル
に連絡を取ろうとするが…
 イギリスの鬼才マイク・ホッジスが“新ジェームズ・ボンド”
クライヴ・オーウェン主演で撮ったクライムサスペンスだが、不
思議な味わいの映画。



<レビュー>

 この映画はとにかく暗い。始まるのは夜、序盤のパーティーの
シーンはさすがに明るい室内が映されるが、その一瞬が終わると
また夜のシーンが続き、そのままデイビーは白髪のおっさんにレ
イプされ、絶望的な朝を迎える。明け方のほの明るい中を彼は部
屋に戻るが、彼のところに光は届いていないだろう。その後も夜
のシーンが中心で、昼間のシーンのほとんどは薄暗い室内が舞台
となっている。
 そして、そのような物理的な暗さもそうだが、物語も暗い。自
殺した弟の自殺の真相を知るために街に戻ってくる兄、以前はそ
の街の顔役だったのだが、何かがあって街を後にし、古臭いバン
で放浪生活を送っていた。浮浪者じみた格好になったそのウィル
の姿には常に影が伴い、街に帰ってきて別れた恋人と会っても会
話はほとんどない。
 この暗さはロンドンの街の雰囲気と重なって陰鬱さを増し、ど
うも重苦しいが、これがこの作品の“味”であるともいえるだろ
う。映画というのは物語を楽しむものでもあるけれど、雰囲気を
味わうものでもある。能天気に明るい映画もあれば、陰鬱な映画
もある。暗さというのあはフィルム・ノワールに代表されるよう
に“格好よさ”につながることもある。暗さとはそこに何かが隠
されていることをほのめかし、その秘密めいた雰囲気は格好いい
のだ。この作品にもそのことは言え、この暗く秘密めいた男ウィ
ルは確かに格好よくもある。暗い物語のさらに暗い主人公はある
種のアンチ・ヒーローとして観客に訴えかけてくるのだ。

 ただ、どうもこの物語の基盤となっている兄弟の絆の強さとい
うのがいまいち見えてこない。兄弟といっても千差万別、仲がよ
かったり悪かったりするもの、この兄ウィルは弟のために自分が
拒否してきたものに再び向かい合うわけだが、兄にそこまでさせ
る絆がこの兄弟の間にあったということがいまいち描かれていな
い。それに、それほどまでに絆が強いなら、なぜ弟をひとり置い
て放浪の旅などに出たのか。大物である兄という後ろ盾を失った
弟がどのような境遇に陥るのかは少し想像してみればわかりそう
なものだが…
 そのあたりのことがあってこの主人公にはいまいち感情移入で
きない。もちろん強大がむごい目にあって自殺をしたなら、その
理由となった人物を恨むのはわかる。しかし、それが復讐心にま
で熟成されるその過程を描かなければ、それを実感に変えるのは
難しい。
 ハードボイルドといえばハードボイルドなのだろうが、その割
りに心理的な葛藤に代わるものが描かれているわけでもなく、な
んとも後味が悪い。この後味の悪さも制作者の狙いという気もす
るが…





□ ヒビコレリンク

 今日は特にありません。



□ DVD今日の買い!

<今日の作品:ブラザー・ハート>

 『ブラザー・ハート』


<今日のお勧め>

 クライヴ・オーウェンです。

価格:¥ 1,069(定価:¥ 2,980)
おすすめ度:


価格:¥ 2,780(定価:¥ 3,990)
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おすすめ度:


価格:¥ 1,880(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:




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2007年09月27日

日本一のホラ吹き男

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恐ろしいことに9月ももう終わってしまいます。今年はなんだか
季節が少しずれ込んでる感じでまだそんな感じがしませんが、今
年も着実に4分の3が過ぎようとしているわけです。

さて、秋といえば秋刀魚とか栗とかマツタケとかやはり食ですが、
ぼちぼちボジョレーヌーボーなんていう話も聞こえてきました。
今年は天候が不安定で良し悪しの差が大きいなんて話を聞きます。
私にはどこのがおいしいなどということは言えませんが、お祭り
なので、いろいろ飲んでみてこれがうまいとか、これはいまいち
とか言うのがいいのかななどと思います。
というわけで、5本セットをご紹介。ボジョレー用のグラスも2
客つくそうです。


もっと豪快に!という方は樽で。こちらはグラス20客付き…

そんなに飲めんなぁ… という方にはハーフボトルのセットって
のもあります。こちらの売りは「神の雫」のヌーヴォだそうです。



-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 日本一のホラ吹き男

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − 日本一のホラ吹き男


--cinema2058------------

 日本一のホラ吹き男

 1964年,日本,93分

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<キャスト&クルー>

監督 古澤憲吾
脚本 笠原良三
撮影 飯村正
音楽 宮川泰
   萩原哲晶

キャスト 植木等
     浜美枝
     曽我廼家明蝶
     山茶花究
     三井弘次
     谷啓
     飯田蝶子
     草笛光子

<評価>

☆☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 オリンピックの三段跳びの有力選手だった初等は、アキレス腱を
切る怪我でオリンピックを断念、田舎で大ぼら吹きとして知られた
というご先祖様の自伝を読む。それに感化された等は自分も大ぼら
を吹いて成功しようと、大会社益増電器に入社すると吹くのだが…
 「日本一の男」ものの2作目。植木等の豪快なキャラクターが前
面に出され、ハナ肇も出演していないので、クレージーキャッツの
映画といえるかどうかは微妙なところ。



<レビュー>

 この作品が作られたのは1964年、東京オリンピックのその年であ
る。なので、植木等の設定は三段跳びの代表候補選手となり、練習
で軽々と世界記録を跳んでしまう。しかし、怪我をして田舎に引っ
込み本番には間に合わなくなってしまうというもの。さらに、映画
の後半でも“TOKYO OLYMPIC”と書かれた公園が登場し、オリンピッ
クムードがそこここに見られる作品となっている。
 それもあってかこの作品は全体的に浮かれムード、植木等演じる
お調子者の社員が手練手管でのし上がるというストーリーはおなじ
みだが、そこにだましだまされるというどろどろとした要素はない。
ほとんど敵も作らず、やばい橋も渡らず、それこそ自分の頭で勝負
をするのだ。これはこれで面白く、植木等の笑い声が軽やかに響き
渡る作品となったわけだが、あまりに能天気すぎる物足りなさもあ
る。
 ただ、娯楽映画が日本で量産されたこの時代、東宝というのは明
るく元気な映画を作る色彩が強かった。東宝はコメディ、日活はア
クション、大映はサスペンス、松竹はドラマ、そんな色分けがなさ
れていたように今の時代からは見える。だから、時代が下るにつれ
て、クレージーものもどんどん明るさを強め、どんどん能天気になっ
ていくのかもしれない。私は『ニッポン無責任時代』『ニッポン無
責任野郎』『くたばれ!無責任』という初期の3作品こそクレージー
キャッツの代表作だと思うが、マンネリ化というのもひとつの価値
であり、明るい時代に安心感を与える能天気な作品というのは受け
入れられやすかったのだろう。
 そのような中でこの植木等という役者はまさに時代の寵児という
べき人物だったろう。同じコメディでも“社長シリーズ”の森繁や
“駅前シリーズ”のフランキー堺にはどこか湿っぽさがあるが、こ
の植木等にはまったく湿っぽさがなく、すべてを快活な笑い声で笑
い飛ばしてしまう乾いた明るさがある。だからこそ、他のクレージー
メンバーから離れても一本の映画を担うことができる。この作品に
も登場する谷啓は植木等と対照的な人物として(この作品でも研究
室の片隅でこつこつと研究する吃音の研究員として登場する)欠か
せない存在ではあるけれど、それもやはり植木等あっての谷啓、谷
啓あっての植木等ではないのだ。
 植木等というのはお祭り騒ぎの高度成長期の日本にあって、その
音頭を取る宴会部長のようなものなのだろう。もちろん高度成長期
といっても、その裏には暗い部分もあり、つらい生活もあったわけ
だが、お祭りというのはそのような暗さを忘れる場だ。日常はつら
いが、世の中はよくなっていると実感できる中で、週末に見る植木
等の映画は世の中の明るさを実感できる機会だったのではないか。
それは現実逃避ではなく、現実的な希望なのだ。植木等が明るく笑
いながら出世するその姿は、見ている観客それぞれとそして日本と
いう国の明るい未来を象徴しているのだ。
 暗さやフアンが目立つ今の時代に見るには、少しバカっぽ過ぎる
が、それが時代の変化というもの。同じ日本という国にあっても、
時代が隔たれば理解し難いこともある。少々退屈してそんなことを
ちらりと思った。
 でもやはり、植木等の笑い声には人を元気付ける力があるとも思
う。





□ ヒビコレリンク

 『ニッポン無責任時代』

 『ニッポン無責任野郎』

 『くたばれ!無責任』



□ DVD今日の買い!

<今日の作品:日本一のホラ吹き男>

価格:¥ 4,347(定価:¥ 4,725)
おすすめ度:


価格:¥ 15,120(定価:¥ 16,800)
おすすめ度:



<今日のお勧め>

 今日は植木等が所ジョージ、高橋良明と共演した87年のコメディ
 ドラマもご紹介。

価格:¥ 14,980(定価:¥ 19,740)
おすすめ度:

  
 後は、いつもどおりのクレージー

価格:¥ 24,000(定価:¥ 15,750)
おすすめ度:

 
価格:¥ 11,340(定価:¥ 12,600)
おすすめ度:




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2007年09月25日

善き人のためのソナタ

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さて、暑さ寒さも彼岸までという言葉どおり、彼岸を迎えてすっか
り涼しくなりました。今日は中秋の名月、涼しい代わりに天気はい
まいち優れませんが、晴れ間を見つけて月でも眺めたいものです。
でも、月見団子は控えめに。



-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 善き人のためのソナタ

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − 善き人のためのソナタ


--cinema2057------------

 善き人のためのソナタ

 Das Leben der Anderen
 2006年,ドイツ,138分


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<キャスト&クルー>

監督 フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
脚本 フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
撮影 ハーゲン・ボグダンスキー
音楽 ガブリエル・ヤレド
   ステファン・ムーシャ

キャスト ウルリッヒ・ミューエ
     セバスチャン・コッホ
     マルティナ・ゲデック
     ウルリッヒ・トゥクール

<評価>

☆☆☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 1983年東ベルリン、シュタージ(国家保安局)の局員ヴィースラー
大尉は尋問のスペシャリストで、教官も勤める。その彼は同期で上
官でもあるブルビッツに連れられて行った劇場で、そこに来ていた
大臣の意向もあって劇作家のドライマンの監視を始める。誠実な共
産党員であるヴィースラーは忠実に監視をするが…
 旧東ドイツの秘密警察“シュタージ”の姿を描き、ヒューマンド
ラマに仕上げた力作。ナチスとはまた違う迫害のあり方が描かれて
いて鋭い。



<レビュー>

 この作品の背景にはいろいろなことがあるのだけれど、まずこれ
はヒューマンドラマとして非常に見ごたえのある作品だ。忠実な党
員として反革命分子を告発するスペシャリストとして活動を続けて
きたヴィースラーがひとりの劇作家と触れることで信念が揺らぐ。
ヴィースラーの上司であるブルビッツは自分の出世という目的のた
めに動き、彼がへつらう大臣は自分の欲望に従って生きる。しかし、
ヴィースラーは何を信念として生きているのか。彼自身としては共
産主義というイデオロギーのために生き、それを守るために忠実に
仕事をしてきたということになるわけだが、果たしてそれは本当な
のか。彼は自分が監視する反革命分子かもしれない人間と、自分が
従うべき人間とを比べ、そこに違和感を感じる。自分が従うべきも
のへの疑問を感じる。それは社会主義という特定の背景とは関係な
しに、誰にでも起きることだ。そのような普遍的なドラマ、あるい
は悩みが描かれているからこの物語は非常に魅力的なのだ。
 ヴィースラーは芸術に触れることで疑問を抱くけれど、しかしや
はり従来のイデオロギーも捨てきれない。彼は葛藤し、妥協し、そ
の妥協が新たな展開を生み、流されるようにして違う人生に足を踏
み出す。そこには喜びもあるが後悔もあり、新たな迷いもある。し
かし、それが人生なのだ。ただ盲目的に言われた仕事をこなしてい
くだけが人生ではない。人生とは孤独を感じたり、疑問を持ったり、
迷ったり、悩んだりするものだ。官僚というものが非人間的なもの
の象徴と考えられてしまうのは、彼らが疑問を持ったり悩んだりす
る暇も余裕も与えられず、集団の中にいることで孤独も感じず、迷っ
たりもしないからだ。しかし、ヴィースラーはその安全な世界とは
別のものを目にしてしまう。盗み聞きによって見ることができた生々
しい人間同士の触れ合い、それは彼の生活に欠けていたものだった。
その欠落に気づいた彼は自分の中にある空虚を意識せざるを得なく
なく。官僚機構によって満たされていたはずの自分の内側にぽっか
りと空いていた空虚、それに直面したとき彼は同時にイデオロギー
の危機に直面する。
 そしてこの作品はそのようなイデオロギーの危機に直面した主人
公をじっくりと描く。ほとんど言葉を発しないこの主人公の行動を
つぶさに観察することによって、彼の内側で起こっていることを表
現していくのだ。それは言葉によらないけれど非常にわかりやすく、
私達の心にじかに迫ってくる。そして、それは最後の最後まで続く。
ベルリンの壁が崩壊し、東ドイツという国がなくなってもみな同じ
人間として生き続ける。この言葉少なな主人公が最後の最後に発す
るせりふには重みがあり、感動を誘う。

 官僚とはある種の職人である。職人的な人間というのは誠実であ
ればあるほど、巨視的な視点を失うという陥穽に陥りがちである。
目の前にある仕事を着実にこなしていくことに悦びを見出し、その
結果生じる大きな流れには目が行かなくなるのだ。そのような人々
は時に利用され、愚民かされてしまう。ヴィースラーはエリートで
ありながら、党によって盲目にされ、愚民かされてしまっている。
彼は自分では気づかずに権力を振りかざし、その行為が彼の信じる
イデオロギーと矛盾していることに気づかない。そのことは彼がド
ライマンの向かいに住む女性に対して見せる態度に表れている。彼
はこの女性を脅した上で、協力したお礼を送っておけと部下に命ず
るのだ。
 この構造は「悪の凡庸さ」と表現される権力による人権の侵害の
繰り返しである。これはナチスドイツでも、第2次大戦時の日本で
も、国民をあいまいな概念で二分する国家においてはどこにでも表
れる構造なのだ。ヴィースラーはその構造にどっぷりと入り込んで
しまっているから、その構造自体が見えなくなってしまっているの
だが、ドライマンという対象から鏡像として自分を見ることで、そ
の構造が目に入ってしまう。それによって彼は変わっていくのだ。

 ついつい、小難しい解釈をしてしまったが、それはやはりこの物
語がひとつの歴史を語っているからである。私達は歴史をただ物語
としてみるのではなく、現在と未来への教訓としてみるように習慣
付けられてしまっている。この作品はそのような歴史への言及なし
でひとつの物語としてすばらしいものであり、そこに存在するのは
普遍的な“人間”の物語なのだから、このように書くことは蛇足で
しかない。しかしやはり、このようなドラマを描くことができるの
は、その基になる事実があったからなのである。
 旧東ドイツであったことを私達はほとんど目にしない。映画では
近年『グッバイ、レーニン』や『白バラの祈り ゾフィー・ショル、
最期の日々』という作品によって東ドイツが語られるようになった
が、それらは非常に断片的で一面的なものだった。ソ連とベルリン
の壁の崩壊によってほぼ壊滅してしまった「社会主義」の実情の解
明は緊急を要することではないが、北朝鮮やキューバ、中国といっ
た形式的には社会主義を標榜する国々があり、それが国際的な問題
を起こしている以上、無視できる問題でもない。特に東ドイツは20
世紀の半分近く続いた冷戦の象徴的な国家として考える必要がある
のではないか。
 このような作品が編まれるということ自体、私達がそこに描かれ
ていることを考えるべき時が来たということを示唆しているのでは
ないかと私は思う。





□ ヒビコレリンク

 『グッバイ、レーニン』

 『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々』


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<今日の作品:善き人のためのソナタ>

価格:¥ 3,904(定価:¥ 5,040)
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<今日のお勧め>

 「悪の凡庸さ」を考える。

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2007年09月24日

街のあかり

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沖縄から帰ってきました。
当初の予定では島に長期滞在というつもりだったのですが、台風の
余波で船が出ず、那覇に2日足止め、あまりにやることがなかった
ので、映画まで見に行ってしまいました。
映画館は桜坂劇場という沖縄唯一のミニシアター。なかなかいい作
品をやっています。ニーズの多様化に伴って地方(の中心都市)の
映画環境というのは近年飛躍的に向上していますね。
29日からは『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』、10月にはアフリ
カ映画特集、11月には『ミリキタニの猫』などをやるようなので、
沖縄にお住まいの方はぜひ劇場に足をお運びください。

というわけで見た作品はカウリスマキの『街のあかり』です。

沖縄といえば、トロピカルフルーツが魅力のひとつですが、今の旬
はドラゴンフルーツでした。
「ドラゴンフルーツって何じゃ?」と思う方もいるかもしれません
が、こんなんです。

赤と白とあって赤のほうが甘いと言われて人気がありますが、私は
さっぱりとした白のほうが好きでした。
皆さんもお試しあれ。
こちらは白のみ送料無料




-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 街のあかり

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − 街のあかり


--cinema2056------------

 街のあかり

 Laitakaupungin Valot
 2006年,フィンランド=ドイツ=フランス,78分


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<キャスト&クルー>

監督 アキ・カウリスマキ
脚本 アキ・カウリスマキ
撮影 ティモ・サルミネン
音楽 メルローズ

キャスト ヤフネ・フーティアイネン
     マリア・ヤンヴェンヘルミ
     マリア・ヘイスカネン
     イルッカ・コイヴラ
     カティ・オウティネン

<評価>

☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 警備会社に勤めるコイスティネンは同僚ともあまり付き合わず、
孤独な生活を送っていた。そんな彼がコーヒーを飲んでいると、ミ
ルヤという美女が話しかけてくる。彼女に夢中になったコイティネ
ンはデートを重ね、自分の仕事場も見せるが、彼女は実は強盗グルー
プの差し金だった…
 アキ・カウリスマキが『浮き雲』『過去のない男』に続く“敗者
三部作”の第3作と位置づけたドラマ。いつも通りの淡々とした雰
囲気で物語は進む。



<レビュー>

 重く雲が垂れ込めた灰色の空の下で展開されるアキ・カウリスマ
キの物語はいつものように暗く孤独である。主人公は警備会社に勤
めながら上司とも同僚ともうまくやっていくことができない不器用
な男。しかし、彼は警備員で終わるつもりはなく、いつか大物になっ
てやろうという意気込みも持つ。もちろん女性との出会いもなく、
触れ合う女性といえば屋台でソーセージを売るアイラくらい。アイ
ラのほうはコイスティネンに好意を持っているようだが、彼のほう
は興味を示さない。
 そんな彼がひとりの美女と知り合い、彼女に惚れてしまい、見事
にはめられて…と続くわけだが、私はどうもこの物語には違和感が
ある。それは、この作品が“敗者3部作”の1作、しかも完結編に
位置づけられていながら、他の2作品とは大きく異なるように見え
るからだ。その最大の理由は、この主人公のコイスティネンに「野
望」があることだ。前2作の主人公達はどこかで自分が敗者である
ことに甘んじ、それを多少なりとも愛していた。しかしコイスティ
ネンは自分の敗者としての境遇を恥じ、そこから抜け出すために、
(効果は眉唾とはいえ)起業セミナーにまで通うのだ。
 カウリスマキの作品の登場する人々は敗者であるけれど、負ける
が勝ちとでも言うような敗者の美学があり、それが魅力だった。勝
ち負けという価値基準を導入しながら、敗者の肩を持つそのあり方
が魅力的だった。しかし、この作品は敗者から勝者にのし上がろう
とする主人公が決してそれには成功しないという物語である。最後
まで彼は希望は捨てないというが、その先に希望がないことは明ら
かだ。彼が救われる道は敗者であることを甘んじ、敗者であるがゆ
えに勝つ道を探ることにしかないということは最初から最後までずっ
と明らかな事実としてある。
 まあ、それが結論と言われればそれまでだが、そのことを言うた
めにこの作品というのは3部作を1本としてみたときには意味があ
るが、1本の映画としてはどうだろうかと思う。
 カウリスマキ作品の例に漏れず、よくわからないけれどおかしい
というユーモアもあり、つまらない作品ではないのだけれど、どう
も腑に落ちないところがある。マフィア(?)のボスがポーカーを
している後ろでなぜか掃除機をかけているミルヤとそのボスの関係
とか、コイスティネンがミルヤを家に招いたときのぎこちなさとか、
そのあたりのおかしな雰囲気がもっとあればもっと何かが湧き出て
きたような気もするが、少々退屈してしまう部分もあった。

 この作品はチャップリンの『街の灯』へのオマージュであるとい
う。物語の展開はまったく違うが、敗者が敗者へ手を差し伸べると
いう構造(『街の灯』とは逆に主人公が手を差し伸べられる側とい
うことになるが)は共通していると思う。しかし、この作品ではそ
のことが前面に押し出されることはない。エゴが強い主人公の存在
感がアイラの「思いやり」を背景に押しやってしまっているのだ。
『街の灯』でのチャップリンの献身はそれでひとつのドラマとなり、
物語の中心をなしたが、この作品ではそうはならなかった。
 敢えて深読みをするならば、それは時代の変化の賜物であり、
チャップリンの時代のように敗者が敗者に手を差し伸べたとしても
それで救われることはないということをこの作品は示しているのか
もしれない。それを絶望と取るか、まったく別の考え方への契機と
取るかは人しだいだが、とりあえずそこに短絡的な希望はない。





□ ヒビコレリンク

 『浮き雲』

 『過去のない男』


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<今日の作品:街のあかり>

 『街のあかり』のDVD発売時期は未定です。


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posted by ヒビコレエイガ at 15:05 | TrackBack(0) | バックナンバー(移行中) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする