2007年10月30日

カット&ペースト

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http://www.cinema-today.net/



10月ももう終わりかぁ…
早い!
が、さっき蚊に刺されました。暖かいからねぇ。
沖縄では、例年夏に流行るインフルエンザの流行がまだ収まら
ないとか。
これですぐに地球温暖化とはいえないと思いますが、どうも
着実に暖かくなっている気はしますねぇ。

とりあえず今日で東京国際映画祭ものは一区切りにしようかと
思っています。
見た作品でメルマガに載せていないものをどうするかはこれから
考えますが、まあネタがないときにチョコチョコ載せるかもしれ
ません。
公開が決まっているものは、公開に合わせてレビューをお届けし
ます。
今日はエジプト映画の『カット&ペースト』です。




-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 カット&ペースト

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − カット&ペースト


--cinema2084------------

 カット&ペースト

 Kas wa Lask
 2006年,エジプト,105分


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<キャスト&クルー>

監督 ハーラ・ハリール
原作 ハーラ・ハリール
脚本 ハーラ・ハリール
撮影 ターリク・アッティルミサーニー
音楽 ターメル・カラワン

キャスト ハーナン・トルク
     シェリーフ・ムニール
     ファトヒー・アブトゥルワッハーブ

<評価>

☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 パラボラアンテナを設置する仕事をしているユーセフは仕事に行っ
た先で古物商のガーミラと出会う。兄が結婚するため家を出なくて
はならないユーセフは、ガーミラがニュージーランドへの移住のた
めに頑張っていると聞き、自分も移民を考えるが、移民のための条
件をふたりとも満たすことができない。そこでふたりは偽装結婚し
てそのための条件を満たそうと考えるのだが…
 長編デビュー作『ベスト・タイム』(04)で認められたエジプト
の女性監督ハーラ・ハリールのロマンティック・コメディ。



<レビュー>

 なんだか懐かしい感じがする。移民というトピックはエジプトの
奥に事情を反映していつ感じではあるが、偽装結婚という題材は使
い古されているといってもいいほどに繰り返し使われてきたものだ。
なんといってもまず思い出されるのは『グリーン・カード』だし、
比較的最近のドイツ映画『愛より強く』はドイツのトルコ人が親か
ら逃れるために偽装結婚する話だった。他にもいくつも思いつくく
らいだから、偽装結婚をモチーフにした映画というのは世界中に、
そしてもちろんエジプトでも今までにあっただろう。しかも、偽装
結婚したはずの男女が結局恋に落ちてしまうというのは、偽装結婚
を題材とした物語のお決まりのプロットだ。
 この作品はそんな使い古された題材をお決まりのプロットで料理
して、それ以上のことは何もしない。何か新しい工夫を加えたり、
新たな展開を用意したりはしないのだ。そのお決まりの物語はまる
で60年代の日本のプログラム・ピクチュアのように結末を予想させ
る。美人女優も出てくるし、何も考えなくても見られるし、娯楽映
画というのはこうでなきゃいかんという見本のような映画なのだ。
それはつまり同じような作品であっても繰り返し見ることができる
大衆のための娯楽であり、古き善き時代の映画の姿である。
 アメリカ、インド、エジプトに次ぐ映画大国といわれるエジプト
ではもちろん世界に通用する新しい感覚の作品も作られているだろ
う。しかし、同時にこの作品のような牧歌的というか懐かしい感じ
の“いい”作品も作られ続けているのだろう。このような作品が作
られ、流通する国の映画産業には活気があるのだと思う。このよう
な作品が作られるということは同じような作品がいくつも作られて
も、観客がそれを受け入れるということだからだ。これは多少形は
違うが韓国にも当てはまることかもしれない。
 同じような題材で映画が繰り返し作られても観客がそれを受け入
れる。そんな幸福な国から喜多映画はあまり面白いとはいえなくて
もそれなりに楽しめる。なぜならそこにはひとつの文法があり、そ
の文法に乗りさえすれば、一通りの面白い映画ができるからだ。
 ハリウッドや日本のスターを起用しない限り、ようにどんどん新
しい刺激を生み出さなければ観客をひきつけることができない国の
映画は作品はどんどん生まれるが、その映画界が活況かどうかは疑
問が残るところだ。そこからは新しいものが生まれてくることも確
かだが、“ハズレ”も多くなってしまう。
 この作品ののどかな笑いを眺めながら感じるのは、エジプト映画
の暖かさだ。こんな作品も時々は日本に入ってきて欲しい。






□ ヒビコレリンク

 『愛より強く』


□ DVD今日の買い!

<今日の作品:カット&ペースト>

 『カット&ペースト』のTIFFでの上映情報はこちら
  http://www.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=117


<今日のお勧め>

 http://tinyurl.com/2uynyg






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2007年10月29日

ファラフェル

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11月3日は「アロマの日」だそうで、明日から1週間は「アロマ・
ウィーク」だそうです。
私はアロマにはまったく親しみがありませんが、現代のストレス
社会では結構アロマというのは重要なもののような気もします。
これを気にはじめてみようかなぁ… などと思った方はこちら
どうぞ。
せっかくだからアロマテラピーの資格も取っちゃおうかなという
方はこちら
ちなみに、男性のためのセットというのもあります。
ストレスフルな日常を送っている方、ぜひどうぞ。

さて、
東京国際映画祭のグランプリは『迷子の警察音楽隊』になりま
した。この作品も見てはいましたが、私としてはちょっと意外。
ほかにもっと面白い作品はあったのに。しかし、映画祭向きの
作品というのがあるのも確かで、イスラエルに来たエジプトの
警察音楽隊という設定と、程よい社会性とほどよいユーモア、
映画としての質の高さを考えるとまあ、納得できる結果ではあ
ります。この作品はすでに公開が決定(12月中旬から)してい
るので、レビューはそのころにお届けします。

映画祭は終わりましたが、今日もその中からレバノン映画の
『ファラフェル』です。
http://www.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=115
日本公開予定のない作品を紹介してきましたが、その中から何
本が公開されることになるでしょうね。




-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 ファラフェル

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − ファラフェル


--cinema2083------------

 ファラフェル

 Falafel
 2006年,レバノン,83分


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<キャスト&クルー>

監督 ミシェル・カンムーン
脚本 ミシェル・カンムーン
撮影 ミュリエル・アブールース
音楽 タウフィーク・ファッルーフ

キャスト エリー・ミトリー
     イーサム・ブーハーリド
     ミシェル・フラーニー
     ガブリエル・ボウ・ラシェド
     ヒヤーム・アブーシャディード

<評価>

☆☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 ベイルートの大学生トゥはバイトを終え、友人宅でのパーティー
に向かう途中、ファラフェル屋で不思議な話を聞く。パーティへと
やってきた彼はそこで繰り広げられるごたごたに戸惑いながら、想
いを寄せるヤスミンに視線を送るが…
 内戦が終結して15年、平和に見えるベイルートで暮らす若者たち
の一夜を描いた青春ドラマ。見ればとりあえずファラフェルが食べ
たくなる。



<レビュー>

 トゥが突然目撃する誘拐事件。トゥはこれに驚くがそれに対して
何もするわけではない。さらに、車に当てられたというちょっとし
たトラブルで持ち出される銃、一見平和に見える大学生の日常に見
え隠れする不穏な空気、トゥは殴られた相手に仕返しをするために
銃を手に入れる。その銃のアル中の密売人はレバノンについて、中
東のスイスなどといわれているが、その実、圧制と暴力の国である
と言う。この密売人の言葉がまさしくこの夜のベイルートを表して
いる。若者たちが遊ぶ姿は先進国とそれほど変わらない。しかし、
その背後には暴力と暗さが常にある。
 そのような国に生きる若者たちを描くことで浮かび上がってくる
のは平穏さと閉塞感だ。彼らの日常はごく当たり前の平和なものだ。
主人公のトゥはアルバイトをして夜は友達と遊ぶ当たり前の大学生、
パーティーでは惚れたはれたが話題の中心である。酒を飲んで時々
はドラッグもやる。しかし無茶はせず、バイトも友人も恋も大切に
する。
 しかし彼の希望はどこにあるのか。そんな平穏な日常を送ってい
る彼だが、どこかあきらめの表情が常に浮かんでいるように見える。
それは若者らしいツッパリと見ることもできるのかも知れないが、
それにとどまらない好奇心や意欲の喪失がそこにあるように見える。
そんな彼にファラフェル屋の主人が語るエピソードがじんわりと沁
み込む。飢餓に苦しむ村に空からファラフェルが降ったという話、
何百個に一個浮かないで沈むファラフェルがあるということ、それ
ははっきりとではないが、希望は常にあるということをトゥに思い
出させる。

 しかしもちろん、そう簡単に彼の閉塞感が和らぐわけではない。
出口を求める彼の鬱憤は暴力を振るわれた怒りにそれを見つける。
彼の鬱憤は怒りから暴力への衝動に変化し「因縁をつけた男」への
復讐に向けられる。これは彼の閉塞感の根深さを示しているのだろ
う。ファラフェル屋の話から感じたほのかな希望だけでは決して拭
い去ることのできない閉塞感、それは長きに渡る内戦がベイルート
に残した傷が15年という時間では拭いきれていないこと無関係では
ない。そのような社会で育った彼に希望を持てということはそう簡
単なことではないのだ。
 それは彼にファラフェルが空から降ってくるという小さな奇跡が
訪れてもほとんど変わらない。それでも彼は銃を持って「因縁をつ
けた男」のところに行こうとする。しかし、彼はそれに親友のオタ
ク男アブーディを連れて行こうとし、家族と暮らす家により、結局
その復讐は果たしえない。
 彼にはなぜアブーディが必要だったのか、あるいは彼は復讐をや
め、別の何かをしようとしていたのか。それは最後までわからない
が、見終わったときに強く感じるのはその疑問よりも何もなくてよ
かったという安心感だ。すっきりとはしないが、これが現実であり、
このような結末でよかったと思わせる。
 何かが起こりそうで何も起こらない。しかし、何も起こらないこ
とのほうが貴重なこともある。学生が簡単に銃を買えてしまう社会、
そんな社会が平和であるというのは奇跡のようなものだ。ファラフェ
ルはっ平和と平穏と安心の象徴である。それが当たり前にあること
の貴重さをもっと噛みしめろとこの映画は言っているような気がす
る。15年という歳月は平和をもたらした変わりに忘却ももたらす。
ファラフェルが貴重であったころを忘れず、平和であることに感謝
しなければならないのだ。それはかつて戦争を経験したことのある
あらゆる国(つまり世界のあらゆる国)に当てはまることである。





□ DVD今日の買い!

<今日の作品:ファラフェル>

 『ファラフェル』のTIFFでの上映情報はこちら
  http://www.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=115


<今日のお勧め>

 今日は在庫一掃セール品を。

 『Ray / レイ 追悼記念BOX』
  http://tinyurl.com/2elqzo

 『キング・コング プレミアム・エディション』
  http://tinyurl.com/235g4b

 『ウォンビン・セット』
  http://tinyurl.com/2554k5






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2007年10月28日

ワルツ

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先週は映画を見すぎてさすがに疲れたのか、起きたら午後2時
でした。しかも突然ディスプレイの電源が入らなくなり、パソ
コンも使えず…
今は古いノートパソコンをセッティングしなおして使っていま
す。とりあえず使えますが、いろいろと不自由もありまして、
ディスプレイを修理に出すのはいいけれど、新しいのも買おう
かな、でもお金がないな。などと考えているところです。
液晶17インチ、安くても2万円ちょっとするかー…

いっそもっとでかいのに…


さて、
東京国際映画祭のほうは、ちょうど2時からサクラグランプリ
のインターネット中継があります。
受賞作品の上映は7時からなので、発表を見てから渋谷に駆け
つけても間に合いますね。

今日もそのコンペティション部門の作品から『ワルツ』です。
受賞の可能性もないわけではないと思います。
http://www.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=23
全編1カットという意欲作。



-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 ワルツ

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − ワルツ


--cinema2082------------

 ワルツ

 Valzer
 2007年,イタリア,85分


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<キャスト&クルー>

監督 サルバトーレ・マイラ
脚本 サルバトーレ・マイラ
撮影 マウリツィオ・カルヴェージ
音楽 ニコラ・カンポグランデ

キャスト ヴァレリア・ソラリーノ
     マウリッツィオ・ミケリ
     マリーナ・ロッコ
     グラツィアーノ・ピアッツア
     エウジェニオ・アレグリ

<評価>

☆☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 ナポリのとあるホテル、今日が最終日のメイドのアスンタのとこ
ろに初老の男が尋ねてくる。その男が「ルシアの父親だ」というと
アスンタはショックを受けた様子を見せる。アスンタが食事を運ん
だスイートでは、サッカーチームのオーナーと次期監督の間で密約
が交わされる…
 あるホテルでの1時間半の出来事を全編1カットで撮ったイタリ
アの俊英サルバトーレ・マイラの意欲作。技術におぼれることなく
深みのあるドラマを作り上げた。



<レビュー>

 1カット90分のこの作品は、ひとつのホテルでの出来事をリアル
タイムで追いながら、そこに過去の時間を滑り込ませていく。カメ
ラはホテルの中を被写体と時間を変化させながら流れるように移動
する。そのカメラの動きがまるでワルツのように滑らかだから、こ
んな題名がつけられたのかと思う。
 物語の骨格を成すのは主人公のアスンタと友達のルシアの父との
会話である。その会話から少しずつ明らかになっていく秘密が過去
を解き明かし、その過去の再現がカットをきらないまま現在の時間
に滑り込んでくる。そこにこの作品が1カットで撮られた理由があ
るのだろう。過去を現実と断絶した時間としてではなく現在と連続
した時間として捕らえること、この場所を離れようとしているアス
ンタにとって今日は過去と決別すべき日なのかもしれない。そこに
ルシアの父親が現れることで、決定的な一日が訪れるのだ。
 そして、この1カットという制作手段は別の効果も生む。絶えず
カメラに導かれながら空間を移動する観客は用意にカメラと一体化
する。これはカット割によって構成される映像が、そこに一定の空
間を作り出すのとはまったく対照的な効果だ。観客は、さまざまな
視点から、今描かれている場所を頭の中で構築するのではなく、一
個の“目”となって空間と時間を自由に旅する。そこに生まれるの
は空間ではなく移動である。このダイナミズムこそこの作品の狙い
であり、最大の面白さだ。

 ここで語られる物語はそれなりに面白いが、それ自体はそれほど
奇抜なものでも、強いメッセージを持つようなものでもない。サッ
カーにかかわる一連のシーンなどは、一体何が言いたいのかよくわ
からなくもある。それにもかかわらずこの作品は一気に見れてしま
う面白さがある。それはやはりこの作品にスピード感があるからだ。
この1作品1カットという仕掛けはテーマパークの乗り物のように
それ自体がひとつのエンターテインメントなのだと私は思う。もち
ろん、その乗り物にはさまざまな意味を込められるし、メッセージ
を載せられる。しかし、それがなくともただ乗るだけで楽しめてし
まうのだ。作り物だからもちろんあちこちにほころびが見えること
もあるけれど、ある種、非日常のその体験は体験自体で面白いもの
なのだ。
 この作品が本当に1カットかどうかは疑問がないわけでもないが
(カメラが柱を通過したときにカットを割るのが可能な瞬間はあっ
た)、確実に1カットのシーンの中での早変わりや場面転換の面白
さは十分に楽しめる。1作品1カットの映画といえばソクーロフの
『エルミタージュ幻想』が思い出される。この作品はコスチューム
プレイで数多くの出演者、エキストラが登場し、1カットで歴史を
描いていた。この作品も面白かったが、この『ワルツ』にもそれと
はまた違った面白さがあると思う。

 最後に一応、物語にも触れておく。この作品は一人の女性の人生
にとって重要なある一日を描いた物語だ。偽りの手紙と偽りの自分、
それを見つめなおすことによって、本当の自分、偽り続けていた自
分の本当の姿を見つめなおすことが物語の核になっている。未来へ
の一歩が踏み出せなかった主人公が、決断の日を迎え、そこで様々
な驚きや失望を経験する。その中で何かが変わっていく。それはす
ごくリアルで面白いと思う。
 どうしても1カットという技術的なほうに目がいきがちだが、一
人の女性の現実と記憶を捕らえることで、彼女が考え決断する90
分を描いた作品としても十分に面白いものだと思う。





□ ヒビコレリンク

 『エルミタージュ幻想』


□ DVD今日の買い!

<今日の作品:ワルツ>

 『ワルツ』のTIFFでの上映情報はこちら
  http://www.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=23


<今日のお勧め>

 今日もベストセラーを(邦画編)

価格:¥ 2,953(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:


価格:¥ 4,292(定価:¥ 5,800)
おすすめ度:


価格:¥ 3,730(定価:¥ 5,040)
おすすめ度:


価格:¥ 3,730(定価:¥ 5,040)
おすすめ度:




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2007年10月26日

ラッキー・マイル

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東京国際映画祭もいよいよあと2日となりました。
ここまで21本を見まして、出色は『再会の街』と昨日見た
『潜水艦は蝶の夢を見る』でしょう。
『潜水艦〜』のほうは特別招待作品で、お正月公開が決まってい
るので、そのときに改めて紹介しますが、かなり面白かったです。
『再会の街』のほうも上映は終わってしまいましたが、私の予想
ではおそらくグランプリを撮るので、日曜日の受賞作品上映に行
けば見れるはずです。
まあ、こちらも公開が決まっているので、もちろん公開されてか
ら見てもいいのですが。

今日はまだ上映がある作品の中から『ラッキー・マイル』です。
土曜日の20時からあります。
http://www.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=105

ホームページのほうも随時更新していますので、ご覧ください。
http://cinema-today.net/feature/tiff2007.html


-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 ラッキー・マイル

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − ラッキー・マイル


--cinema2081------------

 ラッキー・マイル

 Lucky Miles
 2007年,オーストラリア,105分


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<キャスト&クルー>

監督 マイケル・ジェームズ・ローランド
脚本 マイケル・ジェームズ・ローランド
   ヘレン・バーンズ
撮影 ジェフ・バートン
音楽 トマス・ブルーマン

キャスト ケネス・モラレダ
     ロドニー・アフィフ
     シーサック・サックプラサート

<評価>

☆☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 密入国船に乗ってオーストラリアにやってきたカンボジア人とイ
ラク人12人だが、下ろされた場所は何もない砂漠でそれぞれ分かれ
て当てもない旅をすることに。その中でカンボジア人のアランとイ
ラク人のヨシフがひとり集団から離れることになる。そしてふたり
は出会うのだが…
 異なる国からやってきた3人が繰り広げる奇妙な道中をユーモラ
スに描いた社会派コメディ。監督のマイケル・ジェームズ・ローラ
ンドはこれが長編デビュー作となる。



<レビュー>

 浜辺に下ろされた12人の密入国者たち、彼らが眼にするのは果て
しなくなにもない荒野、しかし彼らに選択の余地はなく、カンボジ
ア人とイラク人の二つのグループはそれぞれ充てもなく歩き始める。
その台地はあまりに広大すぎて人間の姿はちっぽけでおかしく思え
てくる。主人公のふたりアランとヨシフはわけあってそれぞれのグ
ループから離れることになり、一人旅を続けざるを得なくなる。一
人ぼっちの人間にとってこの荒野は絶望的過ぎ、であったふたりは
不安から仕方なく道連れになる。
 この荒野の中でふたり(後に3人)はあがき、小さな希望にすがっ
て歩き続ける。しかしやはりこの荒野は広大すぎ、その先には絶望
しかまっていないように思える。アランの当てにならない地図も、
ラメランの根拠のない自信もはかない希望を保つための方便でしか
ない。しかし、このちっぽけな人間はこの絶望の中でも希望を捨て
ず、一喜一憂を繰り返す。この姿がなんともおかしく、ほほえまし
くていい。もちろん極限状態では人間のいやな部分も出てくるけれ
ど、人間は絶望の中の本のわずかな希望でも幸福になれるものなの
だということもわかる。

 こういう物語では、だいたい彼らの間に友情が生まれるもので、
この作品もそんな作品のように見えるのだが、私は必ずしも彼らの
間に芽生えた感情は友情ではないように思えた。それは友情を含め
た人間関係、人間と人間とのつながりについて考えさせられるもの
だが、友情というよりは運命共同体としての共感、自己愛の投影と
しての愛情がそこにはあるのではないかと思うのだ。
 ここで出会うのはまったく異なる環境でまったく異なる生活をし
てきた人間同士である。そのような人間同士が出会ってまず生まれ
るのは拒否/拒絶である。それは相手を理解できないことから来る。
オーストラリア人の兵士達が彼らの不可解な行動を見て、スパイで
はないかと的外れな想像をしたように、相手の行動の真意が理解で
きないのだ。間違った素材から生まれた想像は大体的外れだ。自分
とはまったく異なる基盤を持った人について、自分自身を基準にし
て想像してしまってはそれは的外れなものになってしまう。しかし
人間はそのようにして先入観を抱き、相手を警戒するものだ。この
2人/3人の間でも最初はそのような警戒心が生じる。
 しかし、この極限的な旅の中で同じ行動をすることによって共通
する部分を見出し、少しずつ相手のことが想像できるようになる。
そのようにして始めて相手を受け入れることができ、自分のことを
思うように相手のことを思ってそこにつながりが生まれるのだ。
 あらゆる人間関係には常に先入観と誤解が入り込む。この作品は
それを最大限に誇張したものだ。ここまで極端な拒絶や誤解が生ま
れ、それが劇的に瓦解するということは日常ではないわけだけれど、
その小さなバージョンは日々繰り返し起こっているのだ。
 この作品はコメディというか、基本的に喜劇だけれど、そのおか
しさは私達が日常的に他者と接する中で感じるおかしさを拡大した
ものである。背景にはさまざまな政治情勢があるのだが、それはまっ
たく感じさせず、ユーモアあふれる人間ドラマに徹したことでこの
作品はいい作品になったし、考えようと思えばその先(1990年のカ
ンボジアとイラクについて)を知るきっかけにもなる。
 彼らはみな難民として受け入れてもらえたのだろうか。日本だっ
たらおそらく本国に強制送還か、よくても第3国に出国という形に
なったのではないかと思う。移民国オーストラリアなら、彼らを受
け入れてくれたのではないかと願いたい。







□ DVD今日の買い!

<今日の作品:ラッキー・マイル>

 『ラッキー・マイル』のTIFFでの上映情報はこちら
  http://www.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=105


<今日のお勧め>

 今日はベストセラーを







価格:¥ 2,953(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:






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2007年10月25日

トリック

ホームページ「日々是映画」はこちら
http://www.cinema-today.net/




一昨日、スーパーで変な歌を聴いて気になったのですが、
それは「メロンパンのうた」という歌でした。
価格:¥ 1,000(定価:¥ 1,000)
おすすめ度:

小学校4年生の女の子のオリジナル曲ということですが、これは
ヒットの予感が…
食べ物系の歌はヒットしやすいので、これもきっと売れます。団
子3兄弟ほどは売れないでしょうが、冷凍みかんくらいは売れる
はずです。
記事はこちら

今日は『トリック』というポーランドの作品。
今日の夕方と27日に上映があります。
http://www.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=19

それから今日の15:50から『ウォーダンス』という作品があります。
これもお勧めですので、お時間のある方は今すぐ六本木に向かっ
てください。



-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 トリック

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − トリック


--cinema2080------------

 トリック

 Sztuczki
 2007年,ポーランド,95分


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<キャスト&クルー>

監督 アンジェイ・ヤキモフスキ
脚本 アンジェイ・ヤキモフスキ
撮影 アダム・バイェルスキ
音楽 トマシュ・ガッソフスキ

キャスト ダミアン・ウル
     エヴァリナ・ヴァレンジャク
     ラファウ・グジニチャク
     トマシュ・サプリック
     ヴァナ・フォルナルチック

<評価>

☆☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 姉と母と3人で暮らす少年ステフェクは姉についていった駅のホー
ムで見かけたおじさんを顔も見たことない父親だと思い込む。駅や
線路で過ごしたり、姉のボーイフレンドと遊んだりしながらもステ
フェクはそのおじさんのことが気になってしょうがない…
 のどかな町に暮らす少年の日常の冒険を描いたドラマ。不思議な
おかしさともどかしい感じの展開に独自の味わいがあって面白い。


<レビュー>

 この不思議な雰囲気はほかの映画ではあまり見ない感じだ。ポー
ランドといえばすぐに思いつくのはキェシロフスキだが、フランス
映画に近いヨーロッパらしさを持つ彼の映画とは明らかに違い、ど
ちらかといえば北欧の雰囲気に近い映画だろうか。
 この映画の中心はなんと言っても主人公のステフェクだ。夏休み
だかなんだかわからないが、毎日町をぶらぶらしているステフェク
は駅で見かけたおじさんを幼いころに出て行ってしまった父親だと
思い込むわけだが、別にだからといって何をするわけでもない。彼
の生活は駅にいったり、線路に人形を置いて電車が通過するときに
倒れるかどうかを試したり、足の悪い爺さんが飼っている鳩を飛び
たせることができるかどうかを試したり、姉のエルカの就職活動に
ついていって成功するように手を結んで待っていたりということで
費やされる。
 そんな中エルカはステフェクに“トリック”を見せる。一番はな
かなか売れないりんご売りのりんごを見事にみんな売らせてしまう
トリックだ。これは見ていてなかなか感心するやり方で面白い。
 そんなことがありながらもステフェクの生活は平穏に続いていく。
しかし、おじさんはやはり気になり、姉の反応からみても本当に父
親なのかもしれないという可能性は感じさせる。そこでステフェク
も“トリック”を使おうとし始めるのだが、彼のやっていることは
今ひとつ狙いがわからず、「なんだろな」と思わせるだけで、何か
が起こりそうで何も起こらないまま映画は進んでいくのだ。このあ
たりが北欧っぽいのだが、全体的には光もあふれ、暖かさもあって
カウリスマキに代表される北欧の重く暗い雰囲気はない。

 終盤は、実際にステフェクのトリックが功を奏し、おじさんが本
当に父親かどうかがわかっていくという展開になるのだが、この作
品の本質はその謎解きにあるのでも、そのトリックにあるのでもな
い。この映画はあくまでもこのステフェクという少年の日常と心情
を描いたものなのだ。彼の子供らしい散漫な注意や強い思い込み、
その中で姉に対しては信頼感をもち、まだ見ぬ父に憧れを抱く。そ
んな少年の日常を淡々と描いたのがこの作品なのだ。
 ステフェクの日常はほほえましくも少し哀しい。でもお姉さんや
お母さんやお姉さんのボーイフレンドや近所の人のおかげで彼は日々
楽しく過ごせている。その日常を見つめることから見えてくるのは、
当たり前の日常の中にある小さなドラマだ。平凡な日常の中にもド
ラマはある。それは本当に小さなものだけれど、ひとつひとつは大
事なものだ。代わり映えがしないように見て、一日一日は必ず違っ
ている。だから一日一日を楽しく、しかしチャレンジして過ごせば
いい。
 淡々としながらも、少し笑って、少し勇気付けられて、ほっとす
る。そんな映画だ。





□ DVD今日の買い!

<今日の作品:トリック>

 『トリック』のTIFFでの上映情報はこちら
  http://www.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=19


<今日のお勧め>

 ポーランドといえばやはりキェシロフスキ

価格:¥ 9,261(定価:¥ 10,290)
おすすめ度:


価格:¥ 17,955(定価:¥ 19,950)
おすすめ度:








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