2007年10月15日

麦の穂をゆらす風

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禁煙というのは難しいものですが、今の時代タバコを吸う人は
やはり肩身が狭いものです。私はタバコを吸いませんが、タバ
コの煙はいやだと思う反面、タバコを吸う人はかわいそうだな
と少し思ったりもします。
それに、タバコ代は1日1箱すって1年間で10万円、低所得時
代にはかなりの出費。
と言うわけで、“本気の”禁煙セミナーというののご紹介。
「本気で禁煙をお考えでない方はお断りします!」と言い切っ
て、やめられなければ全額返金という力の入れよう。“本気で”
禁煙を考えている方はぜひどうぞ。



さて、今日から東京国際映画祭のコンペティション部門の試写が
始まりまして、それに行っていたので、レビューが書き終わらず
こんな時間になってしまいました。




-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 麦の穂をゆらす風

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − 麦の穂をゆらす風


--cinema2071------------

 麦の穂をゆらす風

 The Wind That Shakes The Barley
 2006年,イギリス=アイルランド=ドイツ
     =イタリア=スペイン,126分


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<キャスト&クルー>

監督 ケン・ローチ
脚本 ポール・ラヴァーティ
撮影 バリー・アクロイド
音楽 ジョージ・フェントン

キャスト キリアン・マーフィ
     ポードリック・ディレーニー
     リーアン・カニンガム
     オーラ・フィッツジェラルド
     メアリー・オリオーダン

<評価>

☆☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 1920年、アイルランドでは長く支配を続けてきたイギリスからの
独立の気運が高まっていたが、イギリス軍による弾圧はさらに激し
さを増していた。そんな中ロンドンに医者の勉強をしに行こうとし
ていたデミアンも駅でのイギリス軍の振る舞いを見て、ついに義勇
軍に加わることを決意する…
 ケン・ローチがテディとデミアンという兄弟を軸に激動の時代の
アイルランドを描いた社会派ドラマの力作。2006年のカンヌ映画祭
でパルムドールを受賞。



<レビュー>

 アイルランドといえば現在もIRA(アイルランド共和軍)が存
続しており、国家は北と南に分断されている。そこからはイギリス
による迫害の歴史をうかがい知ることはできるけれど、興味を持っ
て知ろうとしなければ、その詳しい歴史を知ることはない。この作
品はアイルランドが「アイルランド自由国」が成立した1921年前後
を描くことで、アイルランド独立戦争の一面をまず紹介した作品と
見ることができる。
 作品はアイルランドの一地方におけるアイルランド共和軍の一部
隊の活動によって語られる。その部隊の指導者はこの物語の主人公
デミアンの兄テディである。彼らは自分たちの土地でのイギリス軍
の横暴(17歳の若者が名前を英語で言わなかったというだけで殴り
殺される)に反発しイギリス政府に対する憎しみを深める。ロンド
ンに渡り医者としての勉強を深めようとしていたデミアンも出発し
ようとした駅でイギリス軍のめちゃくちゃな要求によって運転士や
駅員が乱暴されるのを目にして自分が必要とされていることを痛感
する。
 かくして物語は進む。前半部分ではイギリス軍が悪、アイルラン
ド共和軍が善というわかりやすい構図が基本的はとられ、その中で
戦争の理不尽さや残酷さが描かれるという構造になっている。主人
公は裏切った仲間を殺さなければならないことで葛藤し、戦争が人々
の人生もたらす悲劇を審らかにする。その後の展開も眉間に皺がよ
るようなつらく厳しいものだ。戦争がもたらす悲劇、と書いてしま
うと陳腐だが、この作品が描いているのはまさにそのことだ。時に
はステレオタイプ的過ぎると思われる描写もあるけれど、リアリティ
は失われない。

 この作品で重みを持つのは言葉だ。仲間を殺さざるを得なかった
ときに主人公が言う「自分の中で何かが死んだ」という言葉、ダン
が裁判の結果を無視しようとするテディたちに言う「共和国軍は貧
乏人の敵になってしまった」という言葉。言葉は無力であり、武力
のように短時間で物事を変えることはできないけれど、武力が憎し
みを増長し、人々の感情の部分にしか働きかけないのに対して、言
葉は人々の理性にしみこんでいく。言葉は物事を変えるのに時間が
かかるが、その変化は人間の頭の中に長く残る。武力は簡単に物事
を変えるが、その変化は人々の感覚に一瞬残るだけだ。
 結局デミアンも武器を取ったわけだが、彼は武力で何かを解決し
ようとしていたのではなく、武器を持ち対等な立場に立つことから
始めようとしていただけなのだ。デミアンはアイルランド自由国を
成立させた条約に対する投票結果が「人々の恐怖によって歪められ
た」と言っている。これはつまり、武器を持った勢力と武器を持た
ない勢力の間に対等な関係はありえないということだ。しかし、や
はり彼のやり方は間違っていたのかもしれない。武器を持つことで
もはや話し合いによる解決の道は閉ざされてしまったのかもしれな
い。
 しかしそれでもここからメッセージは浮かび上がってくる。武器
は親しい人を遠ざけると言うことだ。自衛のためであれ何のためで
あれ、(人に向けるための)武器を持つと言うことは親しい人を遠
ざけることになるのだ。その親しい人を守るために武器を手に取っ
たはずなのに、最後には逆の結果を招いてしまうのだ。
 物語の最後にデミアンはもうひとつ印象的な言葉を言っている。
それは「誰のために戦っているのかを覚えておくのは難しい」と言
うような言葉だ。これは、武器を持った戦いは極限的な状況におか
れることでその戦い自体が目的化してしまい、その戦いに足を踏み
入れたそもそもの目的を忘れてしまいがちだと言うことだ。それが
悲劇を生み、戦いを泥沼化していく。そのような現象は、ベトナム
でも、ユーゴスラビアでも、パキスタンでも、アフガニスタンでも、
イラクでも繰り返されてきた。いま世界中で武器を取って戦ってい
る人たちはいったい何のために戦っているのか、戦っている当人た
ちが心からそのことを考えたなら、その戦いの大半は無益なもので
あることが明らかになるはずだ。
 ここに描かれているのは80年以上前のアイルランドという小さな
一地方の物語でしかないが、それは時間と場所を超越したすべての
戦争に当てはまる物語でもあるのだ。




□ ヒビコレリンク

 『男の敵』



□ DVD今日の買い!

<今日の作品:麦の穂をゆらす風>

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<今日のお勧め>

 ケン・ローチ監督作品

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posted by ヒビコレエイガ at 17:21 | TrackBack(0) | バックナンバー(移行中) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする