2007年11月23日

マイティ・ハート -愛と絆-

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北海道、東北は大雪だそうで、本当にいきなり冬です。
今年の冬は寒暖の差が激しい予想だそうで、どんな冬になる
ことやら。これだけ雪が降ると、スキーやスノボをやる人に
はいいのかもしれませんね。
スノボウェア福袋なんてのも売り出されています。
でも、寒いからねぇ…
何年も雪山には行っていません…

映画は今日から公開の『マイティ・ハート -愛と絆-』です。



-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 マイティ・ハート/愛の絆

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − マイティ・ハート -愛と絆-


--cinema2096------------

 マイティ・ハート -愛と絆-

 A Mighty Heart
 2007年,アメリカ,108分


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<キャスト&クルー>

監督 マイケル・ウィンターボトム
原作 マリアンヌ・パール
脚本 ジョン・オーロフ
撮影 マルセル・ザイスキンド
音楽 ハリー・エスコット
   モリー・ナイマン

キャスト アンジェリーナ・ジョリー
     ダン・ファターマン
     アーチー・パンジャビ
     イルファン・カーン
     ウィル・パットン

<評価>

☆☆☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 共にジャーナリストのダニエルとマリアンヌのパール夫妻は9.11
のテロ後にパキスタンに入り取材を続けていた。帰国を控えた日、
ダニエルは最後にジラニ師へのインタビューをすることになってい
たが、約束の時間になっても帰ってこなかった…
 世界を震撼させたダニエル・パール事件をつづったマリアンヌ・
パールの原作にブラッド・ピットがほれ込み、自らのプロダクショ
ンで映画化した作品。



<レビュー>

 この映画にはふたつの要素がある。ひとつはマリアンヌの愛の物
語としての要素、もうひとつは社会派作品としての要素である。マ
イケル・ウィンターボトムの前作はテロリストとして捕らえられた
若者を描いた『グアンタナモ、僕達が見た真実』だったが、この
『マイティ・ハート』でもそのグアンタナモのニュースが流れ、収
監者の待遇改善が誘拐犯の要求となるなど、9.11のテロ以降のアメ
リカとテロリストとの関係をテーマにした連作と捉えることもでき
る内容になっている。
 イスラム過激派のテロリズムはいま世界でもっとも社会的な影響
が大きいトピックであり、それを映画化するのは意義深いことだ。
そしてさらにそこにムスリムとユダヤの関係、パキスタンとインド
の関係などが入り込み事態は複雑になる。あまりにさまざまなこと
が関係しすぎて容易には解きほぐせないこの問題を、世界的に注目
されたひとつの誘拐事件から描いていこうというのは意欲的であり、
わかりやすい方法論だと思う。この作品は、複雑に絡み合って奥の
見えない藪に懐中電灯の灯りを当てたようなものだ。とても奥まで
は見通せないが、手前にある枝の絡まり具合から、奥がどのように
なっているのかある程度予想はできる。ウィンターボトムはその中
でも特にグアンタナモに注目して、そこにアメリカとイスラム過激
派との関係がこじれる本質を見ているのだと思う。
 そしてもうひとつこの問題の複雑さを象徴しているのがアーチー・
パンジャビが演じるアースラである。パキスタンでアメリカの新聞
社の仕事をしているインド人である彼女はパイスタントアメリカ、
パキスタンとインドというふたつの穏やかではない関係を同時に抱
えている。しかもダニエルとマリアンヌが暮らしているのは彼女の
家であり、必然的に捜査本部が置かれるのも彼女の家になるのだ。
彼女はマリアンヌと信頼関係にありながら、パキスタン人からはイ
ンドのスパイと中傷される。ユダヤ人であるダニエルはモサドとつ
なげられ、アースラはインドとつなげられる。
 これはもはやアメリカとパキスタン、あるいはアメリカとイスラ
ム過激派の間だけの問題ではない。さまざまな国や勢力を巻き込ん
だ巨大な情報戦争なのだ。この作品はその難しさを見事に表現して
いる。

 もうひとつの愛の物語としての側面、これは非常にシンプルなも
のだ。愛する夫を理不尽な暴力によって奪われることへの恐怖と不
安、マリアンヌはその恐怖と不安と戦わなければならないのだ。こ
の作品が感動作となるのはこの愛の物語としての側面によってだ。
 そしてさらに、その感動を強くするのは、彼女がその感情表現を
抑制されざるを得ないという事実だ。この作品には二つの要素があ
ると書いたが、マリアンヌの中にもふたりのマリアンヌがいる。一
人は夫を愛する妻であり、もう一人はジャーナリストである。ジャー
ナリストとしての自分自身がいるために彼女は妻としての自分の感
情をすべて吐き出すことはできない。妻としての彼女は感情を爆発
させるが、ジャーナリストとしての彼女は非常に冷静で理知的だ。
もちろん互いが互いを支えているわけだが、ジャーナリストとして
の冷静さがあるがゆえに、感情を押し殺してしまう苦しさが彼女の
苦悩をより大きなものとしてしまっているのだ。
 ただ、その彼女が本当に感情を爆発させるとき、その感情の奔流
は見るものを感動させる。アンジェリーナ・ジョリーはそれを本当
によく演じている。彼女はアフリカで子供を生んだ後、アメリカに
帰ることなくインドに渡って撮影に望んだという。ほんの少し前ま
で妊婦だった自分と重ね合わせることで真に迫った演技ができたの
かもしれない。

 そして、この作品からさらに考えを進めようというときポイント
になるのは、パウエル国務長官の記者会見の映像だ。彼は被害者の
ことを気にかけているようでいながら、テロリストと交渉すること
は断固として拒否している。
 これは国家の政治のレベルからは個人が見えないことの一例だ。
個人のレベルでは現実に悲劇が起き、テロリストもテロリストでは
ないパキスタン人も顔を持った人間としてマリアンヌたちの前に姿
を見せるが、アメリカ政府にとって彼らは“テロリスト”という顔
のない集団に過ぎない。国家レベルの政治におけるテロリストと現
実の中で出会うテロリストの間には大きな違いがある。
 これを追求していくとどんどん映画から離れていってしまうので、
書かないことにするが、この話が行き着く先は個人と政治の乖離と
いう現代社会の問題である。『グアンタナモ…』もその問題を提起
した映画だった。この2作品によって9.11後の世界を深く考察する
ウィンターボトムが次の作品でさらに、この問題へと踏み込んでく
れることを期待したい。




□ ヒビコレリンク

 『グアンタナモ、僕達が見た真実』



□ DVD今日の買い!

<今日の作品:マイティ・ハート -愛と絆->

 『マイティ・ハート -愛と絆-』公式サイト
  
  いきなり予告編が始まります。


<今日のお勧め>

 アンジェリーナ・ジョリーですかねやはり

価格:¥ 345(定価:¥ 690)
おすすめ度:


価格:¥ 2,945(定価:¥ 3,980)
おすすめ度:

  なんと345円!!!

価格:¥ 2,310(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:




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2007年11月21日

みんなのしあわせ

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最近、ぶさ猫ブームなんだそうです。
その主役は、今店頭に並んでいる(はずの)クロワッサン
表紙にもなっている「まこ」という名前の猫。
写真集もとても売れているそうです。

ブログこちら

見ているとはまります…


-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 みんなのしあわせ

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − みんなのしあわせ


--cinema2095-----------

 みんなのしあわせ

 La Comunidad
 2000年,スペイン,106分


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<キャスト&クルー>

監督 アレックス・デ・ラ・イグレシア
脚本 アレックス・デ・ラ・イグレシア
   ホルヘ・ゲリカエチェバァリア
撮影 キコ・デ・ラ・リカ
音楽 ロケ・バニョス

キャスト カルメン・マウラ
     エドゥアルド・アントゥニャ
     マリア・アスケリノ
     エミリオ・グティエレス・カバ
     アントニオ・デ・ラ・トレ

<評価>

☆☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 不動産屋のセールスをするジュリアは売り物の豪華アパートで夫
と一夜を過ごすが、上の部屋から水が漏れ消防車を呼ぶと、上の階
の老人が死んでいた。住人の話からその老人が大金を隠し持ってい
たことを知ったジュリアは部屋に忍び込み、大金を手にするが、ずっ
とその大金を狙っていた住人たちに狙われることに…
 スペイン発の悪趣味ブラック・コメディ。どんどんエスカレート
していく住人とジュリアの戦いがなんとも面白い。



<レビュー>

 スペインのコメディというのは非常に独特である。ただブラック
ユーモアにあふれているだけでなく、グロテスクで悪趣味だ。もち
ろん、いわゆるハリウッド的なコメディもあるのだろうけれど、ス
ペインのコメディで面白い作品といえばそんな悪趣味なコメディと
いう気がする。以前は『バチ当たり修道院の最期』なんていうコメ
ディも撮ったアルモドバルもそうだった。
 そして、この作品もその悪趣味が炸裂。いきなり天井からゴキブ
リが降ってきて、死後2週間たった老人の部屋はごみで埋め尽くさ
れ、その老人の死体は見るも無残な姿になっている。しかもそれを
おどろおどろしく映し、主人公のジュリアもそれを恐る恐る覗き見
する。そして物語が盛り上がっていくにつれて、覗きシーンもあり、
殺人シーンもあり、仕舞いには胴体が真っ二つになる。
 そんなグロテスクなシーンが苦手という健全な人にはこの映画は
厳しいと思うが、まあ映画だからそんなシーンがあってもいいとい
う人にはぜひお勧めしたい映画だ。

 この作品のようなスペインのグロテスクで悪趣味なコメディが面
白いのは、それが単に文字通りの悪趣味(露悪趣味)に起因するも
のではないからだ。この映画の悪趣味さ、グロテスクさはこの作品
にリアリティを与える上で非常に重要なのだ。この映画は確かにコ
メディだ。しかし、コメディ映画こそリアリティが必要だ。コメディ
映画というのはただばかばかしいことをやっていればいいのではな
く、リアルな日常と非日常の間にギャップがあって初めて成立する
ものなのだ。
 この映画はそれを逆転させ、リアルな非日常と日常の間にギャッ
プを作る。天井からゴキブリが降り、人が次々殺され、胴体が真っ
二つになるような非日常がリアリティを持って伝えられることで、
日常との間のギャップが生々しく見えてくる。だから、ここに登場
する日常的な風景のほうが笑えるものになってしまうのだ。ジュリ
アが日常に戻りなんでもないようにフルまとうとするとき、見てい
るほうはついつい顔に笑みを浮かべてしまう。爆笑ではないが、そ
んなにやりとするような笑い、それがこの作品の面白さなのだ。
 もちろん、問題の金がどうなるか、ジュリアが住人とどう渡り合
うのかというプロットの面白さも重要だし、観客はそれによって物
語りに引き込まれるわけだが、この作品の肝はそのようなリアルな
非日常と日常のギャップにあるといえる。
 しかも、さらに言えば、この非日常というのは決してわれわれの
日常から隔絶された非現実的なものではない。この作品に描かれて
いる悪趣味さ、グロテスクさ、残酷さはおそらく人間の欲望の本来
の姿なのだろう。ここに描かれているのは欲望むき出しの人々だ。
欲望のたがが外れたとき人間はこのように残酷になれる。それはつ
まり、人間の欲望というのが本来的にそのような残酷さを備えてい
ることだ。
 この作品では繰り返し「自分のことしか考えない」という言葉が
出てくる。自分のことしか考えないとはつまり、自分の欲望に従う
人間のことだ。もし自分の欲望に従ったなら、他人のことなどどう
でもよく、他人に対しては残酷にもなれる。20年もの間、欲望をた
ぎらせてきた住人たちはその欲望のたがが外れてしまうと、もう歯
止めが聞かなくなってしまうのだ。
 しかし主人公のジュリアは少し違う。彼女にも欲はあるが、そこ
には一応の歯止めがある。だから彼女はこのアパートとという非日
常と外の世界との架け橋となりうるのだ。そしてもうひとり、自分
の欲望に対して盲目ではない人間が現れることで、物語は新たな展
開を見せていくわけだ…

 こういう映画は「とにかくだまされたと思ってみてみろ。」と言っ
て人に勧めたくなる。もちろん「だまされた」と思う人もいるだろ
うが、面白いと思えれば、その先にはこれまでの映画体験とはちょっ
と違った世界が待っているのではないかと思うのだが…
 





□ ヒビコレリンク

 『バチ当たり修道院の最期』



□ DVD今日の買い!

<今日の作品:みんなのしあわせ>

価格:¥ 4,025(定価:¥ 4,935)
おすすめ度:



<今日のお勧め>

 アレックス・デ・ラ・イグレシア監督作品

価格:¥ 3,000(定価:¥ 5,040)
おすすめ度:


価格:¥ 3,471(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:


価格:¥ 1,995(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:




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2007年11月20日

遠い道のり

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各地から初雪の便りが届いたり、木枯らし一号が吹いたりして、
あっという間に冬ですね。まあ、11月も終わりなので冬なのが当
たり前なんですが、直前まで暖かかったのでなんかね。

昨日はドラフト会議などもありまして、アメリカで頑張っていた
多田野選手が日ハムの1位で選ればれたのが結構驚きでした。
以前マック鈴木選手もドラフトで日本球界に入りましたが、ドラ
フトの制度っていまいちわかりませんね。
しかし、今年はなんだかいつになくドラフトが盛り上がったよう
な気がします。高校生ナンバー1の佐藤と大学ビッグ3のひとり
加藤を取ったヤクルトが一番の成功チームですかね。

取り止めがないですが、オシムが復帰できない場合の監督にオジェッ
クが内定したそうで、それも見てみたいなぁ…
浦和はその前にクラブ世界選手権がありますので、ぜひ勝ち上がっ
てACミラン戦を見たいです。超プラチナチケットになるでしょう
ねぇ…

あー、今日は『遠い道のり』というTIFFでやっていた映画。
公開されてもおかしくないと思いますが、まだ未定だそうな。


-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 遠い道のり

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − 遠い道のり


--cinema2097-----------

 遠い道のり

 最遙遠的距離
 2007年,台湾,110分


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<キャスト&クルー>

監督 リン・チンチェ
脚本 リン・チンチェ
撮影 ヤン・ウェイハン
   ソン・ウンゾン
音楽 

キャスト グイ・ルンメイ
     モー・ズーイー
     ジア・シャオグオ

<評価>

☆☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 新しいアパートに引っ越したシャオユンは不倫相手との関係に息
苦しさを感じていた。そんな彼女のところには何通も前の住人宛に
郵便物が届く。思い切ってその郵便物を開けてみるとそこには波の
音のテープが入っていた。その送り主シャオタンはその土地を音を
求めて旅をする録音技師だった。
 台湾の人気女優グイ・ルンメイが主演したロードムービー。ヴェ
ネチア映画祭「国際映画批評家週間」最優秀作品賞を受賞。


<レビュー>

 心にぽかりと穴が開いたとき、人は旅に出る。旅は何かを忘れる
ためのものであり、何かを求めるためのものだ。
 この作品で最も印象に残ったのは医師を演じたジア・シャオグオ
だ。少し禿げかかった頭に独特の風貌、男前ではないのだがなんと
もいえない味がある。そして声はかなり低いけれどよく響く。役柄
としてもかなり風変わりで、最初の登場シーンでは売春婦とホテル
に行き、自分が売春婦の役をやるからそれを締め上げる警察の役を
やれと迫るのだ。次のシーンでは夫の浮気に悩む女性を診察し、彼
女の心の中をずばりと言い当てて、彼女を追い込んでいく。前のシー
ンがあるからこれも何かのプレイかと思うが、彼の役柄は本当に精
神科医だった。
 そして、カメラもそんな彼の顔をクロースアップで映し続ける。
それはかなり異様な映像だ。顔に浮いた脂が光るその映像の彼の表
情はいたってまじめなものなのだが、おかしさがこみ上げてくる。
そして彼は旅に出る。

 この物語の主人公の3人はみな旅をするわけだが、まず録音技師
のシャオタンが旅に出る。旅に出るシーンはないのだが、シャオユ
ンに届くテープから彼が旅に出たことがわかる。そして、次に旅に
出るのは医師のアツァイだシャオタンとアツァイは田舎の小さな売
店で出会う。この出会いがまた強烈だ。シャオタンはその売店の売
り子が店の奥でカラオケを歌うのを録音するのだが、そこにやって
きたアツァイがそこに勝手に入っていく。相手と距離を置いて盗み
聞くシャオタンと、勝手に相手の領域にずかずか入っていくアツァ
イ、その対象が面白い。そして最後に旅に出るのがシャオユンだ。
彼はシャオユンの音に見せられ、彼の音と彼を追って旅に出る。
 この物語の主役は音を追って旅をするシャオタンとそれを追って
旅をするシャオユンだが、実は最も重要な登場人物は医者のアツァ
イだろう。シャオタンとシャオユンのふたりは心に傷や空虚を抱え
て旅に出る。このふたりだけの物語だったらあまりに退屈で曖昧な
ものになってしまうところにこのアツァイが入ることで物語りは充
実する。彼は直接的にシャオタンの心中を吐露させる役回りを演じ
ると同時に、人間の心の不安定さやもろさを示しもする。彼の突飛
な行動は抑圧された欲求の顕現の一端である。その顕れ方は奇妙で
突飛に見えるが、その行動のそれぞれに意味はある。何よりも突飛
な行動には人間を癒す効果がある。突然旅に出るというのもそうだ
が、日常とかけ離れた非日常的な行為をすることで人は癒されるも
のなのだ。
 アツァイの行動はそんな人間の心理を使って、自分の心を癒そう
という行為だ。傍から見て異様に見えれば見えるほどその非現実感
は増し、現実を忘れることができるのだ。

 この作品を見て思うのは、男は何かを忘れ、捨て去るために旅を
し、女は何かを求めて旅をするということだ。シャオタンは順を追っ
て思い出を整理し、それに思い切りをつけようとする。アツァイは
非現実を体験することでいやなことを忘れようとする。シャオユン
は音とシャオタンを追うことで新しい何かを求め、同時にその旅が
ささやかな非日常となる。
 彼らはみな傷つき壊れてしまった心を抱え、それを癒すために旅
に出る。そのやり方にはさまざまな形があり、あらゆる人や音や治
療がその助けになるわけだけれど、結局最終的に克服するのは自分
自身なのだということも言っている。崩れてしまった心を組み立て
なおし、開いてしまった穴をふさぐ。それができるのは自分しかい
ない。それを知っているアツァイはそのきっかけを探すために旅に
出る。最初にあてにしていた手がかりは空振りに終わるが、最後に
はそのきっかけを天啓のように見つける。それがどんなに異様に見
えても、彼にとっては「それ」なのだ。他の人からすればどれも同
じに聞こえる“音”がシャオユンの癒しのきっかけとなったように。






□ DVD今日の買い!

<今日の作品:遠い道のり>

 東京国際映画祭の詳細ページ


<今日のお勧め>

 グイ・ルンメイ出演作

価格:¥ 3,500(定価:¥ 2,625)
おすすめ度:


価格:¥ 3,780(定価:¥ 3,780)
おすすめ度:




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2007年11月19日

ツォツィ

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急に寒くなりました…
風など召さぬよう。
時間がないので、これで。

あ、寒くて冷に引きこもりたいなら、宅配レンタルをどうぞ



-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 ツォツィ

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − ツォツィ


--cinema2096-----------

 ツォツィ

 Tsotsi
 2005年,南アフリカ=イギリス,95分


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<キャスト&クルー>

監督 ギャヴィン・フッド
原作 アソル・フガード
脚本 ギャヴィン・フッド
撮影 ランス・ギューワー
音楽 マーク・キリアン
   ポール・ヘプカー

キャスト プレスリー・チュエニヤハエ
     テリー・フェト
     ケネス・ンコースィ
     モツスィ・マッハーノ
     ゼンゾ・ンゴーベ

<評価>

☆☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 南アフリカ、ヨハネスブルクのスラムで暮らす若者ツォツィは3
人の仲間とギャングじみた暮らしをしていた。ある日、金を奪うた
めに男を殺してしまったツォツィは仲間といさかいを起こし、その
ままひとりで車を奪う。しかしその車には赤ん坊が乗せられており、
ツォツィはその赤ん坊を連れて家まで帰るのだが…
 南アフリカの貧困と暴力を描いた感動作。2006年のアカデミー賞
外国語映画賞に輝いた。



<レビュー>

 このところ南アフリカを中心にアフリカ映画が日本にも入ってく
るようになった。その要因は世界が社会的なメッセージを持つ映画
に注目するようになり、その際たるものとしてのアフリカ映画が主
にヨーロッパで受け入れられるようになったからだろう。ヨーロッ
パで受け入れられれば、そこからアメリカや日本のマーケットへと
作品が輸入されるのも時間の問題だ。そして、この作品の監督ギャ
ヴィン・フッドはそんなアフリカ映画の世界進出を支える代表的な
作家のひとりだ。彼はアメリカでの評価が高く、『X−MEN』の
続編の監督に指名された。
 そんなギャヴィン・フッドが描くヨハネスブルクはなんと言って
も激しい貧富の差に包まれた世界だ。南アフリカはサッカーのワー
ルドカップをやるくらいだから、相当に工業化された先進的な国で、
都市の反映は先進諸国の大都市に近いものがある。しかし、その街
の中心部から少しはなれたところにはスラムがあり、貧しい人々と
が苦しい生活を続け、暴力と不正義がはびこる。この作品ではその
街とスラムとの間の断絶を荒涼とした空き地で表現している。ツォ
ツィが普段暮らしている場所から町に行くには荒れ果てた雑草しか
生えていない荒地を横切っていかなければならない。そこには道も
なく、もちろん明かりもない。その片隅の土管には孤児達が暮らし、
ツォツィも以前はそこで暮らしていた。
 その貧困の中にいるツォツィが街の裕福な人々と関わってしまっ
たとき、物語が展開する。その物語の展開は決して奇抜なものでは
ないが、しっかりと組み立てられていて面白い。しかし、この作品
で本当に面白いと思うのはツォツィというキャラクターの内面では
ないか。この作品にはツォツィの回想シーンが何度か挿入されるの
だが、ツォツィの心理を思い出と結びつけ、親との関係を拾った赤
ん坊との関係に結び付けていくそのやり方はなかなか秀逸なものが
ある。ツォツィが語ることと、彼の記憶として映像化されるものの
間には齟齬があり、そこに彼の複雑な心理状態が表れている。暴力
に満たされた世界で育った彼の心には、自衛のためにつかなければ
ならない嘘が詰め込まれ、その奥底にある彼の本当の心は決して表
には出てこない。
 それを赤ん坊が引き出すというのは少々できすぎにも見えるが、
赤ん坊の無邪気さ、純粋さには本当にそのような力があるのだと思
う。何かを守るべき立場になったことによって気が付くことがあり、
それは人間を成長させる。しかし、そのような変化は周囲にはわか
りづらいし、そもそも自分自身もなかなか気づかない。ツォツィは
自分おなかに生じた変化に戸惑い、何をすればいいのかわからなく
なってしまう。無防備な赤ん坊に無防備だった自分の子供時代を重
ね、それと今の自分を比べたときに沸き起こる当惑は彼を混乱させ
るのだ。

 この作品のDVDには別バージョンとして2つのエンディングが
収録されていた。2つともオリジナルの後に2分ほどの展開を加え
たものだが、その二つ目に収録されているものが私にはしっくり来
た。オリジナルのエンディングは静かにこの後の展開を観客に考え
させる形で終わる。それはそれでいいと思うのだが、その後の展開
は決して明るいものにはなりえない。ツォツィには決して明るい未
来はなっていないし、彼を取り巻く環境も変わらない。それは問題
を提起しはするけれど絶望的な終わり方でもある。それに対して選
ばれなかったエンディングのほうは絶望的な中にも彼の成長が実を
結ぶ余地がある。社会は変わらなくともツォツィは成長し、成長し
た彼は彼自身と自分の周りの人々を少し幸せにするのではないか、
そんな期待を持たせるエンディングなのだ。
 アフリカを描いた映画を見るたびに思うのは、社会として希望が
失われてしまっているという事実だ。いったいどうすれば明るい未
来がアフリカに訪れるのかまったくわからない。しかし、同時にそ
れらの映画は個人のレベルでの希望を描いてもいる。アフリカに必
要なのは正義や主義といった大義名分ではなく、個人が幸福を追求
することができる権利とそうするための意欲である。社会を変える
ことは難しいが、個人が変わればいつか社会も変わるという希望を
持つことはできる。
 物語にはあまり関係ないように見える車椅子の物乞いがツォツィ
の人生に実は非常に大きな影響を与えたのだということは、彼が人
間としての希望を決して失っていないというところからわかる。最
後にツォツィは彼にお金をあげ、彼も受け取る。そのツォツィの行
為こそ、彼が「目覚めた」ことの証なのだ。






□ DVD今日の買い!

<今日の作品:ツォツィ>

価格:¥ 3,652(定価:¥ 4,935)
おすすめ度:



<今日のお勧め>

 アフリカな映画

価格:¥ 3,652(定価:¥ 4,935)
おすすめ度:


価格:¥ 3,751(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:


 『ブラッド・ダイヤモンド』
  http://tinyurl.com/2y9cwz

価格:¥ 2,600(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:


価格:¥ 2,205(定価:¥ 2,980)
おすすめ度:




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2007年11月17日

ある一日

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突然ですがシャンパンは好きですか?
月曜まで伊勢丹で“シャンパーニュの祭典”というのを
やっているそうです。シャンパン3杯と前菜で2100円という
お得なセットもあるとか。

そして、楽天のランキングを見ていたら、なぜかシャンパンが
いくつか入っていました。
しかも3位にはドンペリ
9999円は確かに安いが…

そして、モエ・シャンドンがカリフォルニアで作るスパークリング
というのも人気なようでランキング入りです。

これはちょっと飲んでみたいかも。



-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 ある一日

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − ある一日


--cinema2095-----------

 ある一日

 1 journee
 2007年,スイス=フランス,95分


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<キャスト&クルー>

監督 ジャコブ・ベルジェ
脚本 ジャコブ・ベルジェ
   ノエミ・コシェール
撮影 ジャン=マルク・ファブル
音楽 シリル・モラン

キャスト ブリュノ・トデスキーニ
     ナターシャ・レニエ
     ノエミ・コシェール

<評価>

☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 ラジオのパーソナリティのセルジュは早朝、妻のピエトラを起こ
さないように出て行くが、直接放送局には行かず、向かいの棟の女
性の部屋による。そこから会社へと向かう途中車で何かをはねるが、
車から降りてもそれが何かわからない。それが波乱の一日の始まり
だった…
 モントリオール国際映画祭で監督賞を受賞したスイスの監督ジャ
コブ・ベルジェのサスペンスドラマ。



<レビュー>

 これは“秘密”にまつわる物語である。セルジュは早朝、出勤途
中(といっても自分の家の目と鼻の先)に愛人のマチルドの家によっ
て寝起きばなの彼女とセックスをする。これはもちろん妻には秘密
の情事である。そしてマチルドの家を出たセルジュはその途中で何
かを轢いてしまう。それが何かはわからないが、近くの草むらで何
者かが苦しげに呼吸する音を聞いたセルジュはそれが人ではないか
と考えて誰にもいえない。この二つの秘密から、セルジュの悪循環
が始まる。いつもとは違うセルジュの行動がさらなる秘密を生み、
それは彼の周りの人たちを巻き込んでいくのだ。
 そして、この作品を特徴付けるのは、それらの秘密に対して、そ
れを暴く“視線”が存在するということだ。父親が出かけるのを窓
から眺めていたヴラドは父が別の家に入っていくのを目にする。ピ
エトラは夫が自宅で浮気をした後また出かけるところを目にする。
それらの視線はその秘密を抱える本人からは隠されている。“秘密”
とそれを盗み見てしまった“視線”、それが複雑に絡み合い因果の
連鎖を引き起こしていく。そして最後にはそのすべてがジグソーパ
ズルのようにピタリとはまる。すべてがセルジュの浮気とそれが遠
因となった交通事故に起因する因果律に収まるのだ。
 だから、この作品にはサスペンス的な推理小説的な面白さもある。
基本的には人々の心理を描いたシリアスドラマだが、ばらばらに見
える物事がどうつながっているのかを推理するという知的な探検も
同時にすることができるわけだ。たとえばセルジュがわざわざ自分
の家で浮気をし、ピエトラに見つかってしまうことになるのは、お
そらく彼に事故現場から離れていたいという心理が働いたからだろ
う。そのようにすべての出来事が細い糸でつながっていくのだ。
 バスを追いかける東洋人(おそらく日本人)もかなりの謎だが、
ピエトラの乗ったバスに乗せてもらえず、それを必死で追いかける
その男も、最後まで見るとそれがピエトラの白昼夢なのではないか
という可能性を感じさせる。もしそうならば、それは夫との関係が
うまくいっていないと感じていたピエトラの無意識の願望の表れな
のだろう。そのようにして心理的な分析をしながら見るにはこの作
品はいい作品だ。

 ただ、この作品が今ひとつしっくり来ないのは、どうもここに描
かれている世界に実感が伴わないからだ。その大きな理由のひとつ
は3人の心理がほとんど描かれていないからだ。もちろん白昼夢の
ように間接的には描いているけれど、それは回りくどすぎて映画を
見ながら実感できるほど生々しくはないのだ。ピエトラはなぜヴラ
ドに自分のことを「変?」などと聞くのか、セルジュはなぜ浮気を
するのか、決してうまくいっていないわけでもなさそうな過程にな
ぜこんなことが起きるのか? ヴラドが奇妙な行動をとるのはなぜ
か?
 一つ一つの行動の心理的な遠因は描かれているが、すべての出来
事の根本となる心理的要素が描かれていないことでこの映画はどこ
か空虚なものに感じられる。ひとつの事件を契機として様々なこと
が起きるが、それはただ起きるだけなのだ。私達はその事件に翻弄
される3人を眺めるだけで、それが持つ意味を、それが彼らに何を
もたらすかを感じることができない。そこには映画にリアリティを
加える何かが決定的に欠けているのだ。
 だから私にはこの映画は運命をもてあそぶインテリのゲームにし
か見えない。確かに知的な刺激はある。しかし、それが何に結びつ
くのか、その部分が欠けているのだ。





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posted by ヒビコレエイガ at 15:04 | TrackBack(0) | バックナンバー(移行中) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする