2007年12月30日

キング 罪の王

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どうも。
今年も残すところ今日を含めてあと2日となりました。
すでに海外にいる方、まだ仕事をしている方、規制ラッシュの
渋滞に捕まっている方、家で大掃除をしている方、年賀はがき
を前に途方にくれている方、いろいろいると思いますが、忙し
くしていても、ボーっとしていてもあと2日でお正月は来ます。
お正月くらいはのんびり過ごしましょう。
メルマガも年末年始は休み休みになると思いますが、どうぞよ
ろしく。

今日は『キング 罪の王』です。
いまいち… これでは今年の見納めにはならんなぁ…


-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 キング 罪の王

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − キング 罪の王


--cinema2123------------

 キング 罪の王

 The King
 2005年,アメリカ,105分


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<キャスト&クルー>

監督 ジェームズ・マーシュ
脚本 ジェームズ・マーシュ
   ミロ・アディカ
撮影 アイジル・ブリルド
音楽 マックス・エイヴリー・リクテンスタイン

キャスト ガエル・ガルシア・ベルナル
     ウィリアム・ハート
     ペル・ジェームズ
     ローラ・ハリング
     ポール・ダノ

<評価>

☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 海軍を除隊となったエルビスはコープス・クリスティという小さ
な町にある教会にやってくる。そしてその牧師デビッド・サンダウ
に自分が何者であるかを告げる。デビッドは家族にエルビスと関わ
らないよう言うが、エルビスはデビッドの娘マレリーに近づく…
 ガエル・ガルシア・ベルナルが無表情な主人公を好演。監督はヤ
ン・シュワンクマイエル作品の共同監督などをしているイギリス人
のジェームズ・マーシュ。



<レビュー>

 物語の意図はわかる。まだ見ぬ父を求める青年が、その父親に拒
絶されたとき、どのような行動をとるかということだ。しかも、そ
の父親は前衛的な教会の牧師となってそれなりの財を築き、二人の
子供も持って幸せに暮らしている。一方エルビスのほうは母も亡く
し、軍隊を経験し、決して恵まれた暮らしとはいえない。そんなエ
ルビスが父デビッドの家庭に入り込もうとするとき、そこには秘密
と憎悪と愛情とが複雑に絡み合った複雑な物語が出現する。
 しかし、この映画はただそれだけなのだ。自分のほうを振り向い
てくれない実の父と曲がりなりにも関わるためにその娘マレリーに
エルビスは近づき、それは徐々に悲劇へと摩り替わっていく。それ
を見せられたからといって、だからなんだという感じ。その物語の
展開に面白みがあるわけでもなく、主人公の心情が克明に描かれて
いるわけでもない。むしろ無表情な主人公の心情は観客から隠され
ており、彼の意図は不気味な雰囲気の裏に隠されてしまっているの
だ。
 これでは、観客はいったいどこに自分の位置を定めていいのかわ
からなくなってしまう。逆恨みに近い復讐を果たそうとする主人公
か、それとも自分の体面のために自分の過去を振り返ろうとしない
父か、何も知らない娘か。
 これが現代アメリカの抱える問題のいったんであるということは
わかる。家庭環境の複雑化と、宗教の顕在化。宗教はビジネスとな
り、人々を安易に救う免罪符になってしまった。
 中にデビッドの息子ポールが学校に対して進化論の代わるカリキュ
ラムを組むように要請するというシーンがある。これは実際に今で
もアメリカではあることで、進化論を信じていない人たちもたくさ
んいる。この宗教的偏屈さはアメリカにさまざまな問題を生み出し
ているだろう。
 デビッドはエルビスの問題に対して、「すでに神の赦しを得た」
と言い放つ。その神は彼の神であり、エルビスにはまったく関係の
ない神だ。しかし彼はそう信じ、それがエルビスにも当てはまると
考えてしまう。そのような独善的というか一方的な決め付けは絶対
的な存在である神を前提としてしまうと容易に他者をないがしろに
できてしまう。それが人々の感情を傷つけ、反目させ、悲劇を生む。

 まあ、じっくりと考えればそのような問題がここには描かれてい
るということがわかるのだが、この作品の時間のすすみ方は、あま
りに遅く、しかも退屈で、物語の展開としても映画がすすんでいる
間にそのようなことを考えさせるような展開にはなっていない。
 もう少しうまくすれば含蓄のある面白い作品になっていたような
気もするのだが、おそらく映像の使い方が単調すぎたり、不必要に
凝ったショットを使いすぎたりしているせいで全体が凡庸なものに
なってしまっているのではないか。
 ただ、ガエル・ガルシア・ベルナルはやはり魅力的な俳優だ。こ
の作品では妙に背が低く見えるが、それが弱々しさを演出し、不気
味な怖さを生み出している。作品としてはあまり面白くないが、ガ
エル・ガルシア・ベルナルのファンなら観てもいい作品だと思う。





□ DVD今日の買い!

<今日の作品:キング 罪の王>

価格:¥ 3,227(定価:¥ 3,990)
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<今日のお勧め>

 ガエル・ガルシア・ベルナルで。

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価格:¥ 3,651(定価:¥ 4,935)
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価格:¥ 2,913(定価:¥ 3,990)
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2007年12月28日

ギャザリング

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ブット元首相暗殺ですか…
イスラム教国で女性の政治指導者という貴重な存在だったのに…
おそらくイスラム過激派がやったのだと思いますが、彼らはもは
や自分達の首を絞めているだけでは?
巨大なパワーに対して暴力で対抗するのならまだ正当化のしよう
もありますが、自国の政治指導者を暗殺するというのは、ただ暴
力によって相手にいうことを聞かせようという暴挙でしかないは
ずです。
ご冥福と、パキスタンの平和をお祈りいたします。



-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 ギャザリング

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − ギャザリング


--cinema2122-----------

 ギャザリング

 The Gathering
 2002年,イギリス,101分


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<キャスト&クルー>

監督 ブライアン・ギルバート
脚本 アンソニー・ホロヴィッツ
撮影 マーティン・フューラー
音楽 アン・ダッドリー

キャスト クリスティナ・リッチ
     ヨアン・グリフィズ
     スティーヴン・ディレイン
     ケリー・フォックス
     ブレア・プラント

<評価>

☆☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 ふたりの若者が穴に落ちて死んでしまう。その穴からは1世紀ご
ろの遺跡が発見され、研究者のサイモンと近在の神父が調査に乗り
出す。一方、サイモンの妻マリオンは若い女性キャシーを車で轢い
てしまう。キャシーは大事には至らなかったが、記憶を失いサイモ
ンの家に滞在することになる…
 クリスティナ・リッチがイギリスで主演したサスペンス・ホラー。
なかなかスリリングで驚きのある佳作。


<レビュー>

 最初こそホラー映画を思わせる展開だが、そのあとは基本的には
ホラーというよりはサスペンスという色彩のほうが強い。突然人が
現れたり、大きな音がしたりして観客を驚かすというホラーチック
な演出はあるけれど、その裏には常に謎があり、その謎を解くこと
が映画の主プロットになっているのだ。
 そしてその謎は事故によって記憶を失ってしまったクリスティナ・
リッチ演じるキャシーを中心に展開される。記憶を失ったキャシー
が見る幻覚、それが彼女が滞在している家の息子マイケルの夢とリ
ンクする。そもそもキャシーは事故にあった直後、知らないはずの
マイケルの名前をポツリと口にする。そして、彼女の幻覚は夢に留
まらず、現実に会っている人たちにも及んでいく。
 さらには、彼女が街中で見かける不気味な人たちも大きな謎を投
げかける。なんとなく青白い顔をした不気味な人々、彼ら(何人い
るか分からないが結構いる)はどうもキャシーのことを気にしてい
るようで、彼女に付きまとうがそれがなぜなのかわからない。
 そして、遺跡の謎もある。サイモンと神父が解き明かそうとする
遺跡の謎、神父はそこにある何かが妙に気になっているようなのだ
が、それが何なのかはなかなか明らかになっていかない。
 それらの謎によってこの映画はなかなか面白い展開を見せる。そ
して、最後にはそれらがひとつに収束していくというカタルシスも
ある。

 私はこの映画を見ながら、どこかで聞いたような話だと感じた。
というより、同じような映画を見たことがあるような気がした。こ
の作品自体は見たことがないはずなので、デジャブかと思ったが、
調べてみたところ、この話のモチーフはレイ・ブラッドベリの短編
「群集」に非常に通っているということがわかった。物語的にはか
なり異なっているので原作というわけではないのだが、モチーフが
同じなので、既視感があったのだろう。
 『10月はたそがれの国』という短編集に収められたこの話を私は
読んだことがあり、いわれてみればかなり印象に残る話だった。詳
しいことを描くと映画のネタばれになってしまうので書かないが、
その印象が映像として私の頭の中に残っていたのだろうと思う。こ
の短編自体も映像化はされているようだが、それもおそらくは見た
ことがない。
 なぜこんなことを書くのかといえば、そのように印象に残るモチー
フを扱った映画だったからなかなか面白く見ることができたのだろ
うということだ。しかも、このように繰り返し物語化されるモチー
フというのはやはりどこかに魅力というのがあるもので、同じモチー
フを扱った作品には同じように魅力がある。
 この作品はクリスティナ・リッチ以外に特に“売り”のない作品
だが、見て損のない作品に仕上がっているのはそのモチーフのおか
げだろう。それがいったい何なのか、気になったら映画を見て、つ
いでにレイ・ブラッドベリの小説も読んでみて欲しい。




□ ヒビコレリンク

宇野 利泰
価格:¥ 987(定価:¥ 987)
おすすめ度:



□ DVD今日の買い!

<今日の作品:ギャザリング>

価格:¥ 2,952(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:



<今日のお勧め>

 レイ・ブラッドベリは映画でも面白い?

価格:(定価:¥ 1,000)
おすすめ度:


価格:¥ 1,297(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:


価格:¥ 16,800(定価:¥ 16,800)
おすすめ度:


価格:¥ 1,340(定価:¥ 1,500)
おすすめ度:



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2007年12月27日

ウェルカム・バクスター

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先日「大人の科学マガジン」という雑誌を始めて手にしました。
万華鏡とか、カメラとかいろいろなものが付録で付いているあれ
です。昔から模型とか作るのは好きなので興味はあったんですが、
今までは手を出していませんでした。
しかし、買ってみるとこれがかなり面白い。付録ももちろんです
が、おまけのように付いている本がかなり本格的で「ほ〜」っと
いう内容なのです。
お正月暇をもてあましそうな方はぜひ。
最新号は風力発電キットです!
価格:¥ 2,300(定価:¥ 2,300)
おすすめ度:

プラネタリウムなんてのも面白そうだなぁ…



-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 ウェルカム・バクスター

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − ウェルカム・バクスター


--cinema2121-----------

 ウェルカム・バクスター

 Desert Blue
 1998年,アメリカ,90分


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<キャスト&クルー>

監督 モーガン・J・フリーマン
脚本 モーガン・J・フリーマン
撮影 エンリケ・シャディアック
音楽 ヴィタス・ナジゼッティ

キャスト ケイト・ハドソン
     クリスティナ・リッチ
     ブレンダン・セクストン三世
     ケイシー・アフレック

<評価>

☆☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 父親に付き合って世界最大のアイスクリームコーンを見ようとバ
クスターという田舎町にやってきた女優志望の少女スカイ、そのバ
クスターには砂漠にビーチを作ろうとしているブルー、爆破マニア
のイーリイ、バギーを乗り回すピートら変わった若者達がいた。通
り過ぎるだけの予定だったが、ひょんなことから村に滞在すること
になり…
 ケイト・ハドソンのデビュー作。共演もクリスティナ・リッチ、
ケイシー・アフレックと豪華。


<レビュー>

 ど田舎の町に、都会からしゃれた女の子がやってきて、田舎町の
若者とすったもんだになるという、ありがちな題材だが、“エンパ
イア・コーラ”という怪しげなコーラ会社のトラックが事故を起こ
したことからその少女スカイは足止めを食ってしまい、もしかして
町が汚染されているのではないかという危惧で話は少し面白い展開
を見せる。さらに、スカイが町でであったブルーという青年の父親
の死にまつわる謎も影を落として、サスペンスめいた展開にもなる。
 まあ、ほのぼのとした町で、ほのぼのとした映画だから、そんな
に深刻な事件が起こることはないと予想できるのだが、それでも謎
が提示されると、物語と言うのはぐっとその魅力を増す。町の汚染
と父親の死の謎、この2つの謎に支えられてこの映画は面白くなる。

 ただ、この映画の眼目は町の変わった住人達だ。砂漠の中にビー
チリゾートを作ることを夢見るブルー、爆弾を作るのが得意で始終
何かを爆発させているイーリイ、バギーを乗り回すピートなど5人
の若者達、彼らの行動がかなり変わっていて笑える。しかも町の住
人はほとんどこの5人の家族、本当に住人が少ない町らしい。
 中でも面白いのは、クリスティナ・リッチが演じたイーリイだ。
町の保安官の娘なのに、爆弾マニアで、内緒で材料を買って次々と
爆弾を作る。ブルーのビーチのカヌーを爆破するだけならいいが、
この彼女の爆破技術が後々物語の鍵になってくる。この映画は一応
ケイト・ハドソンが主演ということになっているが、一番魅力的な
のはクリスティナ・リッチだ。これがデビュー作のケイト・ハドソ
ンとは違って、子役から経験十分のクリスティナ・リッチは演技も
板についているし、変わった少女という役柄を演じさせたらこの頃
のクリスティナ・リッチにかなう十代の役者はいなかったろうと思
う。
 クリスティナ・リッチはこの作品と同時期に『200本のたばこ』
(ここでもケイト・ハドソン、ケイシー・アフレックと共演してい
る)、『バッファロー'66』、『I love ペッカー』などに出演して
いる。最近は年齢にそぐわぬ童顔が災いしてか今ひとつ作品に恵ま
れていない気がするけれど、弧役のイメージが払拭できれば、演技
派の女優としてしっかりと復活するのではないかと思う。

 こういうティーンズの映画を公開されてから10年という時間が過
ぎてから見ると、現在の姿と比べて(ゴシップも含めて)いろいろ
と考えてしまう。この作品で主役の一人を演じたブレンダン・セク
ストン三世は『I love ペッカー』でクリスティナ・リッチと共演
していたが、今はまったく姿を見なくなってしまった。いったい何
をしているのだろうか。
 この作品は、いわゆるティーンズ映画と同様に、恋愛が物語の中
心になっている。しかし、その恋愛の部分ははっきりいってまった
くどうでもいい。まったくどうでもいい物語なのだが、それ以外の
部分が面白いのでそれなりに見れる作品になっているのだろう。
 なんとなく気持ちが軽くなるような作品を見たいという時にはピ
タリと来る作品だろう。あまり真面目に期待してみると拍子抜けし
てしまう。



□ ヒビコレリンク

 『200本のたばこ』

 『バッファロー'66』


□ DVD今日の買い!

<今日の作品:ウェルカム・バクスター>

 『ウェルカム・バクスター』
  http://tinyurl.com/2qfuos


<今日のお勧め>

 ケイト・ハドソン特集。

 『あなたにも書ける恋愛小説』
  http://tinyurl.com/2s2ho4

 『スケルトン・キー』
  http://tinyurl.com/3y7s95

 『プリティ・ヘレン』
  http://tinyurl.com/2kqsg9

 『ル・ディヴォース ~パリに恋して~』
  http://tinyurl.com/2ptlyn

 『10日間で男を上手にフル方法』
  http://tinyurl.com/2je8wq

 『あの頃ペニー・レインと デラックス・ダブルフィーチャーズ』
  http://tinyurl.com/2momq5

 『トラブル・マリッジ カレと私とデュプリーの場合』
  http://tinyurl.com/2br3hl






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2007年12月25日

マッチポイント

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寒いですね。
こう寒いとやはり暖かい飲み物でも飲んでほっとしたくなります
が、先日やっとこさ電気ケトルを買いました。
ティファールではなくラッセル・ホブスにしたのですが、その理
由は、見た目がいいのと、ステンレスというのと、注ぎ口が細い
ことですね。
注ぎ口が細いのは、コーヒーを手で入れる私にはとてもいいです。
それから、注ぎ口が下のほうについているのでポットをあまり傾
けずに注ぐことができて、楽です。
大容量1.7リットルというのもありまして、こちらもなかなかしゃ
れたデザインです。オフィスなんかにいいかもしれません。

とにかく、沸くのがはやいのがいいですね。電気ポットはもちろ
ん、ガスよりも早いと思いますよ。
ティファールでいいやという方はこちら




-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 マッチポイント

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − マッチポイント


--cinema2120------------

 マッチポイント

 Match Point
 2005年,イギリス=アメリカ=ルクセンブルグ,124分


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<キャスト&クルー>

監督 ウディ・アレン
脚本 ウディ・アレン
撮影 レミ・アデファラシン
音楽 

キャスト ジョナサン・リス・マイヤーズ
     スカーレット・ヨハンソン
     エミリー・モーティマー
     マシュー・グード
     ブライアン・コックス

<評価>

☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 元テニスプロのクリスは高級テニスクラブでコーチを始める。そ
こで知り合った裕福な家の息子トムと親しくなり、その妹クロエと
付き合い始める。しかし、トムの家で彼の婚約者ノラと出会い、彼
女に惹かれてしまう…
 ウディ・アレンがニューヨークを離れ、ロンドンで撮影を行った
サスペンス・ドラマ。かなり単調な作品だが、その裏にスリルを感
じさせるものがひっそりとある感じ。



<レビュー>

 前半はかなり退屈だ。元テニスプロの若者が金持ちの息子と懇意
になって、その妹と付き合いながら、その婚約者に惚れる。そこで
は何かが起こりそうなのだけれど、何も起こらない。そんな感じの
まま1時間ほどが過ぎていく。
 ただ、その中で目を引くのは、序盤に主人公が読んでいる『罪と
罰』と、それに関してクリスがはじめてトムの家に行ったときにト
ムの父親がクリスに関して発する「ドストエフスキーの新たな解釈
が…」という言葉だ。この二つの言及によって、『罪と罰』とその
新たな解釈がこの作品に何らかの意味を持つことが明らかにされる。
それならば『罪と罰』を読んだことがあれば、どこかで殺人がおき、
それが物語を展開していくことになるだろうと予想することになる。
それによってこの物語は何も起こらない退屈なものでありながら、
何かが起きるという緊張感を常に孕んだものとなりうる。
 もうひとつ、極端に少ない音楽の使い方も緊張感を生む。この作
品で使われる音楽は、オペラのみで、それもかなり短いフレーズが
短い場面のBGMとして使われるだけだ。このような使われ方をす
ると、音楽は(意識的にしろ無意識的にしろ)注意の対象となり、
音楽がかかるシーンに意味が与えられる。
 このような周到な構成によって観客の興味を何とかつなぎとめ、
最終的にはやはり殺人が起きる。『罪と罰』でラスコーリニコフは
老婆を殺そうとして、そこに居合わせた妹を殺してしまったが、そ
れと外見的には同じようなことがここでも起きる。
 果たしてこの物語はやはり『罪と罰』の解釈に、ウディ・アレン
版『罪と罰』になるわけだが、これがもしウディ・アレンの解釈だ
としたら、ウディ・アレンはまったく持って鼻持ちならない人間だ
ということになる。この作品と『罪と罰』に共通しているのは主人
公の身勝手さである。身勝手な主人公が殺人を犯す。しかし、決定
的に違うのは、ラスコーリニコフが身勝手ながらある種の信念を持っ
ていたのに対して、クリスはあくまでも卑近な理由で人を殺すとい
う点だ。傲慢さと罪と罰と、その結びつきが決定的に異なっている
のだ。それによってこの物語は『罪と罰』と似てはいるが、完全に
似て非なる物語となっている。そこには苦悩はなく、保身と悪運が
あるだけだ。その物語があとに残すのは、“運”という現代人を翻
弄する悪しき神だけだ。

 ただ、私にはこれがウディ・アレンの『罪と罰』の解釈だとは思
えない。ウディ・アレンはひねくれて入るが悪人ではない。私はわ
ざわざ彼がイギリスで、上流階級を題材にこのような物語を撮った
からには、この作品はそのイギリスの上流階級に対する皮肉である
はずだと思う。主人公のクリスは上流階級にあこがれるアイルラン
ド出身の田舎者、その彼が取る行動は上流階級の暗部を照らし出す。
そして、その別世界に送り込まれたウディ・アレンの世界からの使
者スカーレット・ヨハンソンは明確に対立することでその世界の醜
さを明らかにする。さらに、不自然な土砂降りや、明らかに作りも
のの雪によって、映画全体を作り物じみた感じにすることによって、
それが描く世界の誤謬と欺瞞をほのめかすのだ。
 つまり、ウディ・アレンは『罪と罰』を使い、そのイギリス上流
階級流の解釈(と彼が勝手に解釈するもの)によってそのイギリス
上流階級を皮肉るのだ。彼らが体面を保つために殺すもの、それを
クリスの殺人によって明らかにする。彼らは自分たち以外の者の犠
牲と悪運によって、その高慢な体裁を保っている。そんな彼らの姿
をウディ・アレンは描こうとしたのだろう。

 わざわざ『罪と罰』なんという思わせぶりなモチーフを持ち出し
て、作り物の解釈を提示し、結局何も言わない。本当にウディ・ア
レンはひねくれている。しかし、それが彼の作品に他の映画にはな
い何かをもたらしているのだとも思う。興味深いけれど好きにはな
れない。私にとってウディ・アレンはそんな人だし、この作品もそ
んな作品だった。でもある瞬間に好きになることもあるのかもしれ
ないなどとも思う。




□ ヒビコレリンク

 『罪と罰』のあらすじなど

工藤 精一郎
価格:¥ 660(定価:¥ 660)
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<今日の作品:マッチ・ポイント>

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<今日のお勧め>

 当然ウディ・アレンですが。

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2007年12月24日

スモーク

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--cinema:s1-01-----------

 スモーク

 Smoke
 1995年,アメリカ,113分


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<キャスト&クルー>

監督 ウェイン・ワン
原作 ポール・オースター
脚本 ポール・オースター
撮影 アダム・ホレンダー
音楽 レイチェル・ポートマン

キャスト ハーヴェイ・カイテル
     ウィリアム・ハート
     ストッカード・チャニング
     フォレスト・ウィテカー
     ジャンカルロ・エスポジート

<評価>

☆☆☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 毎朝自分の店の写真を撮る煙草屋の主人オーギー(ハーヴェイ・
カイテル)、なじみの客で小説家のポール(ウィリアム・ハート)、
ポールに助けられる少年ラシード(ハロルド・ペリノー)という3
人を中心としてブルックリンの人々の日常を描いた。
 ポール・オースターの原作・脚本だけあって、物語には深みがあ
り、現実とも虚構ともつかない語りに味わいがある。決してハラハ
ラドキドキする物語ではないが、みるものを引き込む魅力に満ちた
ストーリー。


<レビュー>

 なんだかよくわからないけれど面白い、ついつい何度も見てしま
う映画というのはそういう映画が多い。私にとってこの『スモーク』
はそんな映画だ。ドラマらしいドラマが立ち現れそうになると、ふっ
と静かな間が挟まれて、アンチクライマックスになる、その繰り返
しであるこの映画にはよくわからない魅力が溢れている。
 この映画の主人公は誰かではなく、ブルックリンという街である。
だから、オーギーはこの街を毎日写真に撮る。それはそこを歩いて
いる人を撮っているわけではなく、街そのものを撮っている。ポー
ルが「みな同じだ」といい、オーギーが「ゆっくり見るんだ」とい
うとき、それが意味するのはその場所がやっぱり変わっていないと
いうことに対する喜びであり、その街の持つゆったりとした時間の
流れのよさである。
 だから、この物語はその街の時間の流れに合わせるようにゆっく
りと進行する。しかし、他方でこの街には生き急ぐギャングのよう
な若者もいて、時間の流れは一様ではない。
 そして、この映画を見ながら思うのは、そのような時間の流れの
違いを生むのは、お金や地位や名誉といった外からの評価に対して
どのような態度をとるのかというスタンスの違いではないかと思う。
オギーやポールもお金を欲しがっていないわけではないけれど、そ
れを第一には考えない。彼らはお金や地位や権力よりも、自分自身
が満足するということを重要視している。そこには友達や自分の周
りにいる人々との関係も含まれるわけだが、何かに向かって突き進
んで行くというよりは、その時々の悦び、タバコのような刹那的な
快楽も含めた一瞬の楽しみをより大事にしているのだ。ポールが語っ
たデカルトだか誰かがタバコの巻紙がなくって自分の論文を丸ごと
吸ってしまったというエピソードなどは、そのような価値観を端的
にあらわしている。彼は自分が論文によって構成の人にどのように
評価されるのかということより、今この瞬間にタバコをすうことの
ほうを重要だと考えたのだ。
 そして、ラシードがそれを信じないのは、彼が若者でそのような
刹那的な悦びよりも未来を重視しているからだ。だからポールやオー
ギーとラシードとは本当には交わらない。しかし、それはそれでい
いのだ。

 この映画のもうひとつの面白さは、普通に考えたらおかしいよう
なことがまったく普通の事として行われていることだ。「タバコを
やめなきゃ」といっているオーナーが当たり前のように大きな葉巻
の箱を2箱も持って行く。ルビーは義眼を「失くした」といとも簡
単に言う。
 当たり前に過ぎてゆく時間の中に紛れ込む不思議なおかしさ、そ
れもこの映画が魅力的である大きな理由のひとつであると思う。
 そして、その当たり前に過ぎ行く時間というのは、基本的に繰り
返しの時間である。オーギーが毎日写真を撮ることに象徴される繰
り返し、それはポールが毎日、同じ時間に起きてタイプライターに
向かうということ、タバコ屋という同じものが並んでいる空間、映
画の公正もほぼ同じ長さの5つのエピソードで構成されている。こ
の繰り返しは、その一つ一つが同じことの繰り返しのようで少しず
つ違っている。その小さな変化に悦びがあり、だから日常に満足す
ることが出来る。
 この『スモーク』という映画を見るということも、そのような少
しずつ違う繰り返しなのではないか。何度見ても煙にまかれるよう
にその本質はするりと見るものの手を逃れて行ってしまうけれど、
そのたびごとに違う面白さが見えてくる。だから、この作品を繰り
返し観てしまうのだと思う。

価格:¥ 4,780(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:



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