2007年12月23日

再会の街で【再送】

ホームページ「日々是映画」はこちら
http://www.cinema-today.net/



今日は『再会の街で』再送です。
http://blog.mag2.com/m/log/0000217098/109069138.html


-----
posted by ヒビコレエイガ at 15:04 | TrackBack(0) | バックナンバー(移行中) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月21日

ペルセポリス

ホームページ「日々是映画」はこちら
http://www.cinema-today.net/



今日は真面目な話です。

今月の初めですか、鳩山法相が死刑執行された死刑囚の氏名を
公表しました。死刑というのは、法律の名のもと、つまり国民の
名の下に行われるものなので、これまで氏名が公表されていな
かったおかしいわけで、そのこと自体は当然だと思います。
私たちは自分たちが国家の一員としてその死刑を執行している
のだという意識を持たねばなりません。

残虐な殺人事件がおきると、その被害者の遺族が「極刑」を求
めるということが、最近よくあります。その遺族の気持ちはわ
かりますし、そう求めることは間違ったことだとは思いません。
しかし、裁判は被害者のために行われるわけではなく、国民の
ために行われます。日本という国に住む人々が安心して暮らせ
るように犯罪を犯したものは罰する、それが裁判のシステムな
わけです。被害者の遺族がいくら望んでも、国民の総意が「極
刑」を望まなければ、その犯人を死刑にすることはできない。
それが法律です。
つまり、死刑を言い渡すということは、私たち日本国民がみん
なで「その犯人を殺す」ことを決めたということです。

なぜ、そんなことを書いたかと言えば、先日、国連が「死刑執
行の停止」を求める決議が可決されたからです。死刑の廃止で
はなく、死刑執行の停止、これは裁判が完全なものでは決して
ありえず、冤罪が常にありうるから取り消すことのできない死
刑という刑罰には問題があるからです。

これは非常に難しい問題です。でも考えなければならないので
す。クリスマス、年末年始と楽しい時間を過ごす前に、少し立
ち止まって考えてみてください。
参考書というのは難しいですが、根本的なところから考えるな
ら法哲学について学ぶのもいいかもしれません。
井上 達夫
価格:¥ 3,990(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:

井上 達夫
価格:¥ 3,675(定価:¥ 3,675)
おすすめ度:


今日の映画は明日公開『ペルセポリス』です。
イラン人の少女の物語。戦争が身近にある生活、考えさせられ
ます。




-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 ペルセポリス

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

------------------------ 




■ 今日の映画 − ペルセポリス


--cinema2119-----------

 ペルセポリス

 Persepolis
 2007年,フランス,95分


-----------------------


<キャスト&クルー>

監督 マルジャン・サトラピ
   ヴァンサン・パロノー
原作 マルジャン・サトラピ
脚本 マルジャン・サトラピ
   ヴァンサン・パロノー
音楽 オリヴィエ・ベルネ

キャスト キアラ・マストロヤンニ
     カトリーヌ・ドヌーヴ
     ダニエル・ダリュー
     サイモン・アブカリアン
     フランソワ・ジェローム

<評価>

☆☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 1978年のイラン、9歳の少女マルジはブルース・リーにあこがれ、
幸せな家庭で育っていた。しかし、王制に反対した反政府革命が勃
発、マルジと家族も革命に期待を寄せその活動に参加するが、革命
は内戦へと発展してしまう…
 パリ在住のイラン人マルジャン・サトラピの自伝グラフィック・
ノベルの映画化。映像はおしゃれでかわいいが、内容は重い。



<レビュー>

 これはまず非常に勉強になる映画だ。私たちは日々イスラム世界
のニュースを目にするけれど、その歴史についてはほとんど知らな
い。現在問題となっているイランという国についてもほとんど知ら
ない。この作品で描かれたイラン革命によって気づかれた国家体制
は今まで継続しているわけだが、その現在のイランという国がどの
ようにしてできたかということを私たちはたった30年前のことなの
にほとんど知らない。この作品はその“歴史”を一人の少女の目か
ら見ることができるということで非常に勉強になる。王様を素晴ら
しい人だと信じていた少女が革命思想に染まり、しかし革命がなさ
れると新しい政府はまた異なった弾圧を加える。それは世界中で繰
り返されてきたことだけれど、それが30年前のイランでも起こって
いたことを知るのは重要だ。
 そして、同時にそのような内戦状態の中でもマルジのような若者
が若者らしい生活を送っていたことを見られるのもうれしい。パン
ク少女のマルジがストリートで禁制品のアイアンメイデン(!)の
カセットを買う。それが犯罪に当たるかどうかはともかく社会の常
識に反抗するような行動を取ると言うのは若者の特権だ。アイアン
メイデンはヘビメタでパンクではないけれど、マルジは常にパンク
精神を持っていた。まさに“Punk is not Ded”(綴り間違いではあ
りません。マルジのパーカーのメッセージそのままです)だ。

 ただ、この主人公のマルジに共感できるかどうかは難しいところ
かもしれない。女子(女性というよりは女子)なら比較的共感しや
すいのだと思うが、客観的に見てしまうとちょっと疑問も残る。マ
ルジが国を出てそこで経験する苦難は理解できるし、そこで出会っ
た数少ない友達との関係もいい。しかしそれがあくまでも主観的に
描かれている以上、彼女の感情とその背後の社会との関係は今ひと
つ見えてこない。となると、果たしてこの物語は一人の少女を描き
たいのか、それともイランあるいはイスラムという社会を描きたい
のか、そのあたりがはっきりしなくなってしまうし、両方描こうと
しているのだとしたらどちらも描ききれていないと言わざるを得な
い。
 マルジはそもそも典型的なイラン人の少女と言うわけではない。
外国に留学することなどなかなかできなかっただろうし、彼女の家
はかなり裕福だ。しかし、彼女の家族はすごく魅力的だ。彼女には
父親と母親とそしておばあちゃんがいたからこそ、このような生活
を送ることができたし、その思想性をはぐくむことができた。
 見方としては社会的なテーマを持つものというよりは一人の少女
の私小説的な物語としてみたほうがいいのだろう。そうすればマル
ジとその魅力的な家族の物語に浸ることができるし、そこからその
家族を取り巻く社会に目を向けることもできる。そうすればこの映
画は非常な魅力を放つだろう。
 ただ、ここで描かれている事実を鵜呑みにするのはやめたほうが
いい。物事はここで描かれているよりはるかに複雑だ。当たり前だ
がマルジには見えていなかったこともたくさんあるに違いない。そ
のことを念頭において、これがひとつの見方に過ぎないと肝に銘じ
てみれば、そこから感じ取れる何かは非常に重く、しかし大切なも
のになるだろうと思う。
 原作も読んでみたいな。





□ ヒビコレリンク

 『ペルセポリス』公式サイト



□ DVD今日の買い!

<今日の作品:ペルセポリス>

 原作です。
マルジャン・サトラピ
価格:¥ 1,470(定価:¥ 1,470)
おすすめ度:


マルジャン・サトラピ
価格:¥ 1,575(定価:¥ 1,575)
おすすめ度:



<今日のお勧め>

 イラン女性は抑圧されているか?

価格:¥ 4,540(定価:¥ 4,935)
おすすめ度:

  レビュー

価格:¥ 3,990(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:

  レビュー

価格:¥ 8,400(定価:¥ 5,040)
おすすめ度:

  レビュー




-----
posted by ヒビコレエイガ at 15:04 | TrackBack(0) | バックナンバー(移行中) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月20日

トラブル・マリッジ カレと私とデュプリーの場合

ホームページ「日々是映画」はこちら
http://www.cinema-today.net/



政界がなんだかUFOで騒がしいです。
もしUFOに宇宙人が乗っているとして、恒星間飛行をできる
ような文明が地球を攻撃するとは私には思えないのですが、石
破防衛大臣はまじめに考えているようです。他にもっと考える
ことがあるだろ。と思いますが、まあ考えるだけなら自由です
から…
私は先日5次元に関する真面目な本を読んだんですが、
そこで思ったのは、宇宙人がもしものすごく小さくて軽かった
ら恒星間飛行も可能ではないかと言うことです。光ってのは重
さがないから速いわけで、重さがゼロのものは光と同じ速さで
進めるそうです。なら、重さがすごく小さかったら、かなりの
速さで進めるんではないかと。しかも、高速に近い速さで進め
ば、相対性理論から時間の経過が遅くなるわけです。
もし100光年の距離を光速の80%のスピードでいくとしたら125年
かかるわけですが、相対的な時間の進みが5分の1になるので、
時間の経過としては25年で行けるはずです(多分、、間違って
いたら誰か教えてください)。
よくわからないと言う人は、その5次元の本『ワープする宇宙―
5次元時空の謎を解く』を読んでみてください。
リサ・ランドール
価格:¥ 3,045(定価:¥ 3,045)
おすすめ度:



-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 トラブル・マリッジ カレと私とデュプリーの場合

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

------------------------ 




■ 今日の映画 − トラブル・マリッジ カレと私とデュプリーの場合


--cinema2118-----------

 トラブル・マリッジ カレと私とデュプリーの場合

 You, Me and Dupree
 2006年,アメリカ,109分


-----------------------


<キャスト&クルー>

監督 アンソニー・ルッソ
   ジョー・ルッソ
脚本 マイケル・ルシュール
撮影 チャールズ・ミンスキー
音楽 セオドア・シャピロ

キャスト オーウェン・ウィルソン
     ケイト・ハドソン
     マット・ディロン
     マイケル・ダグラス
     ボブ・ラーキン

<評価>

☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 ハワイで結婚式を挙げたカールとモリー、熱々の新婚生活を送る
はずだったが、カールの親友デュプリーが家と仕事を失って転がり
込んでくる。破天荒なデュプリーに翻弄されてふたりはギクシャク
し、カールは会社でも社長であるモリーの父トンプソン氏に悩まさ
れる…
 オーウェン・ウィルソン、ケイト・ハドソン、マット・ディロン
が出演したコメディ。なぜか日本では未公開だったが、見ればそれ
も納得?


<レビュー>

 オーウェン・ウィルソン演じる破天荒なデュプリーが巻き起こす
騒動を巡るドタバタ・コメディというところ。デュプリーはいい加
減な奴かと思ったら朝食作りがうまかったり、自転車にのめりこん
だり、ただいい加減だったり抜けていたりする人物ではないように
描かれているが、映画の中盤でそのデュプリーが「IQクラブ」の
会報を読んでいるシーンを見せることで、観客にヒントを与える。
 このデュプリーはいわゆる「昔神童、今ただの人」で、今は仕事
もなくぶらぶらしているわけだが、実は頭がよくって、やる気にな
れば器用にいろいろなことができる人物というわけである。
 このデュプリーのおかげでコメディとしては面白くなっているの
だが、この便利なキャラクターのおかげで物語のほうはなんとも中
途半端なものになっている。カールとモリーを中心としてカールの
親友デュプリーとモリーの父親トンプソンがふたりの関係を複雑な
ものにするという物語。縮めて言えば義父の嫌がらせにストレスを
受けたカールがモリーとデュプリーに当り散らすという話で、あま
り気持ちのいいものではない。
 この映画のシナリオの問題点は、カールとモリーが「愛し合って
いる」ということがそもそもの前提になってしまっていて、結局の
ところ何が起こっても展開に驚きがないということだ。しかも、カー
ルがそれほど魅力的な人物には見えず、その「愛し合っている」と
いうことが前提となっていることにどうも説得力がない。モリーは
社長の娘であるにもかかわらず、社長からまったく目もかけられて
いないカールという社員と結婚することに決めたわけだから、そこ
には実はカールがすごい魅力を持っているとか、モリーが父親に反
発心を抱えていて、それをカールと共有しているとか、そういった
前提が必要なのではないか。モリーは(知らないとはいえ)カール
を疎む父を疑うこともせず、むしろカールを非難する。
 そのモリーもどうも今ひとつ好感の持てない人物だ。愛する夫の
親友をあつかましかったり、だらしがないという理由だけで毛嫌い
し、自分が夫にあまりかまわれなくなるといつでもそこにいるデュ
プリーと親しくするのだから、社長の娘だけあって自分勝手だと言
われても仕方がない。

 この違和感というか、いやな感じは、ここに登場する人々がみな
自分勝手だからだろう。彼らの対人関係は常に要求から始まる。
「こういうことをしてあげよう」とか、「こんなことをしよう」と
いうことではなく、「こうしてくれ」とか、「何でこうしてくれな
いの」という要求を相手に突きつける。悩んでいるカールに対して
モリーは「どうして相談してくれないの」と言う。それは当然な疑
問ではあるが、悩んでいる相手に突きつけるべき要求ではない。
 もちろんこういう要求で衝突が起きないと、ドタバタ喜劇には至
らないから、物語上仕方がないといえば仕方がないのだが、そんな
不愉快な展開に頼らなければ物語を進めることができないシナリオ
はあまり面白いものとはいえない。唯一その自分勝手さから逃れて
いるデュプリーをもう少し生かせば、こんなとげとげしい映画には
ならなかったと思うのだが。
 オーウェン・ウィルソンはなかなか面白い役者だと思うのだが、
どうも出演作に恵まれていないのではないか。そういえば、オーウェ
ン・ウィルソンの弟ルーク・ウィルソンも『あなたにも書ける恋愛
小説 』でケイト・ハドソンと共演していたなぁ…






□ ヒビコレリンク

 『あなたにも書ける恋愛小説 』



□ DVD今日の買い!

<今日の作品:トラブル・マリッジ カレと私とデュプリーの場合>

価格:¥ 3,419(定価:¥ 3,800)
おすすめ度:




<今日のお勧め>

 弟に負けるな!オーウェン・ウィルソン

価格:¥ 1,340(定価:¥ 1,490)
おすすめ度:


価格:¥ 1,350(定価:¥ 1,500)
おすすめ度:


価格:¥ 1,215(定価:¥ 1,500)
おすすめ度:


価格:¥ 3,471(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:



-----
posted by ヒビコレエイガ at 15:05 | TrackBack(0) | バックナンバー(移行中) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月18日

家の鍵

ホームページ「日々是映画」はこちら
http://www.cinema-today.net/


ここ最近でウェブの世界はすっかり様変わりし、「Web2.0」が
当たり前の時代となってきました。
日々是映画のウェブサイトも時代に対応すべく大改造をひそかに
実行中です。これが終わると、見た目はあまり変わらないと思い
ますが、使い勝手が向上するはずです。
そのために、新しいソフト(というかバージョンアップ)を導入
しました。
価格:¥ 123,791(定価:¥ 126,000)
おすすめ度:

高い!
私はDreamweaverとFireworksだけで、バージョンアップなので、
そんな膨大な金額にはならないのですが…
価格:¥ 25,825(定価:¥ 26,000)
おすすめ度:

ソフトウェアって高いなぁ。マクロメディアがアドビに買収され
て初のバージョンアップ、新しいPhotoshopやIllustratorも欲し
いなぁ… こんなに高いからcrackソフトが蔓延するんだね。

今日はグラフィックやウェブサイトをいじらない人には関係のな
い話になってしまいました。
「Web2.0ってなんじゃ?」と思った方はこのあたりの本を読んで
みてください。
梅田 望夫
価格:¥ 777(定価:¥ 777)
おすすめ度:

小川 浩
価格:¥ 520(定価:¥ 520)
おすすめ度:

Web2.0への道は遠い…



-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 家の鍵

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

------------------------ 




■ 今日の映画 − 家の鍵


--cinema2117-----------

 家の鍵

 Le Chiavi di Casa
 2004年,イタリア=フランス=ドイツ,111分


-----------------------


<キャスト&クルー>

監督 ジャンニ・アメリオ
原作 ジュゼッペ・ポンティッジャ
脚本 ジャンニ・アメリオ
   サンドロ・ペトラリア
   ステファノ・ルッリ
撮影 ルカ・ビガッツィ
音楽 フランコ・ピエルサンティ

キャスト キム・ロッシ・スチュアート
     アンドレア・ロッシ
     シャーロット・ランプリング

<評価>

☆☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 ジャンニは生まれて以来15年間あっていなかった障害を持つ息子
パオロを育ての親から預かる。育ての親は父親と過ごすことで奇跡
が起きることを期待し、ジャンニは15年間の埋め合わせをいようと
ドイツの病院への付き添いをジャンニがすることになったのだ。そ
してジャンニはパオロと過ごす中で何かを見つけていく…
 感動的ではあるがつらく苦しくもあるドラマ。ジャンニ・アメリ
オはヴェネチアで金獅子賞を受賞した『いつか来た道』以来6年ぶ
りの監督作品となった。



<レビュー>

 イタリアで息子の付き添いを依頼され、15年間あっていなかった
息子とドイツに着いたジャンニは、そこで二重のディスコミュニケー
ションに悩まされる。ひとつは言葉の通じないドイツ人との間のディ
スコミュニケーション、そしてもうひとつはその意図や心理を理解
することができない息子とのディスコミュニケーションだ。ディス
コミュニケーションは人に恐れを抱かせる。意図が通じない相手と
の関係においては「何かしてはいけないことをしてしまったのでは
ないか」という恐れが常に付きまとう。
 互いにそれを認識している人の間では、相手もそう思っているの
だと考えて気を落ち着かせることもできるのだが、パオロとの関係
においてはジャンニはそのような気休めで自分を納得させることは
できない。ジャンニにはパオロの意図が読み取れないが、パオロは
そのことを勘案してはくれない。
 そこで救世主のように現れるのがイタリア語を解する障害児の母
ニコール(シャーロット・ランプリング)である。彼女はジャンニ
にドイツ語を通訳し、障害児への対処の仕方もさりげなく教える。
ジャンニは彼女を通じて二重のディスコミュニケーションを解消す
るが、それはあくまでも媒介者を通してのものでしかない。彼女が
いる間にジャンニはパオロとの関係の築き方を学びはするけれど、
彼女がいなくなりふたりになるとやはりどこにはディスコミュニケー
ションの壁が立ちふさがる。

 障害を持つ子供(あるいは大人)をモチーフにした感動作という
のは決して少なくない(たとえば『アイ・アム・サム』や『オアシ
ス』)が、この作品のように障害のもつ子供(あるいは大人)への
対処の難しさやいらだたしさを露骨に描き、そこから考えさせる映
画というのはなかなかない。
 ここに登場するパオロのような子供は他人として現れればわずら
わしく、いらだたしい存在である場合も多い。理性では理解し、受
け入れたいと考えるのだが、突飛な行動や言動を感覚的に拒絶して
しまうのだ。しかししっかりと対峙し、ゆっくりと交流すれば、表
現の方法が違うだけで同じ感情や考えを持っているということはわ
かるのだと思う。そしてそうすればうまく対話をし、分かり合うこ
ともできていくのだと思う。
 15年間会わないでいたジャンニにはその時間がなく、急に息子と
過ごすことになった数日間でそれを感じ取る。しかしそれでもやは
り簡単に分かり合うことはできず、簡単に信頼関係を築くことはで
きない。
 パオロは最初にジャンニに会ったとき、自分の家の住所や電話番
号、「やることがたくさんあること」を告げ、家に帰りたいという。
そして“家の鍵”をジャンニに見せるシーンでも“家”が彼のシェ
ルターであることを表明する。しかし、ふたりが少しずつ近づき、
ジャンニが「一緒に暮らそう」といったときパオロは「ボクの鍵で
ジャンニの家の扉が開くかなぁ」と言う。これは非常に感動的だし、
本当にうまいと感じさせるシーンだ。
 しかし、そのままスムーズには行かず、最後にまたむむっとうな
らされるシーンがあり、映画は幕を閉じる。このラストは本当にう
まい。

 ジャンニ・アメリオの作品は初めて見たし、日本ではあまり公開
されてもいないのだが、かなりうまい監督だと思った。確かに映画
としては単調で退屈な部分もあるが、その行間に語られることが多
く、いかにもヨーロッパの映画という風情がある。考えさせられる
大人の映画が好きな人にはぜひ見て欲しい作品だ。





□ ヒビコレリンク

 『アイ・アム・サム』

 『オアシス』



□ DVD今日の買い!

<今日の作品:家の鍵>

価格:¥ 3,206(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:




<今日のお勧め>

 イタリア映画、比較的ニュー・リリース

価格:¥ 3,640(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:


価格:¥ 3,917(定価:¥ 4,935)
おすすめ度:


価格:¥ 3,990(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:


価格:¥ 3,184(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:




-----
posted by ヒビコレエイガ at 15:05 | TrackBack(0) | バックナンバー(移行中) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月17日

迷子の警察音楽隊

ホームページ「日々是映画」はこちら
http://www.cinema-today.net/



今年もあと2週間。今週が終わればクリスマスの連休があり、
もう1週で年末年始の休みですので、頑張りましょう。
今年のお正月は休日の関係で9連休なんて方も結構いるようで
海外脱出組もいるのでは?
私はまったくそんな予定はなく、正月といえば寝正月、箱根駅
伝を見たり、せいぜい初詣をして、映画か寄席に行こうかなっ
て位のもんです。
あとはご馳走を…

皆さんもお正月のご馳走をお考えかと思いますが、この季節や
はりカニ!ってのはいかがですか?

1.6kgで4980円(送料込)、売れているようです。

3kgで8900円というのもあります。これくらいあったほうがね。

せっかくだから高級品をという方はこちら
本場越前がに1杯約30000円!!

メスのせいこがに1杯600円です。

なんだかカニ食べたくなってきたなぁ…



-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 迷子の警察音楽隊

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

------------------------ 




■ 今日の映画 − 迷子の警察音楽隊


--cinema2116-----------

 迷子の警察音楽隊

 Bikur Hatizmoret
 2007年,イスラエル=フランス,87分


-----------------------


<キャスト&クルー>

監督 エラン・コリリン
脚本 エラン・コリリン
撮影 シャイ・ゴールドマン
音楽 ハビブ・シェハデ・ハンナ

キャスト サッソン・ガーベイ
     ロニ・エルカベッツ
     サーレフ・バクリ
     カリファ・ナトゥール

<評価>

☆☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 イスラエルの空港に降り立ったエジプトのアレクサンドリア警察
音楽隊、演奏に呼ばれたはずが迎えはやって来ない。隊長は自力で
目的地に行こうと隊員の一人カーレドに行き方を聞かせるが、たど
り着いたのは目的地の“パタハ・ティクバ”と1字違いの“ベイト・
ティクバ”だった…
 イスラエルの小さな町に迷い込んだエジプトの警官隊の一夜をお
かしさいっぱいに描くエラン・コリリンの監督デビュー作。2007年
のカンヌ映画祭で国際批評家連盟賞、“一目惚れ”賞、ジュネス賞
を受賞した。



<レビュー>

 水色の制服に身を包み、大きな楽器を抱えたおじさんたちが異国
の地で途方にくれる。ただそれだけでおかしさがこみ上げてくる。
おじさんというのは大体頑固で、自分の非を認めようとしない。失
敗を失敗と認めず、取り繕おうとして傷口が広がる。この団長もそ
んなおじさんなのだけれど、そこか愛嬌があって憎めない部分もあ
る。そしてそんなおじさんをなぜか好きになってしまったらしいカ
フェの女主人、そこに生まれるドラマはおかしくてどこか切なく物
悲しい。
 イスラエルとエジプトとは隣国だけれど、戦争もしていたし、そ
の後も決して仲はよくなかった。しかし、最後にディナが言うよう
にイスラエルではエジプト映画が毎週放映され、人気を博していた
という。仲は悪くとも文化的には決して遠くなく、途中で流れるイ
スラエルの歌謡曲と音楽隊が演奏するエジプトの楽曲もどこかに通っ
ているようにも聞こえる。そして、イスラエルというとヨーロッパ
系という印象が強いが、この主演のサッソン・ガーベイのようにア
ラブ系ユダヤ人も決して少なくはない。さらに言えば助手のシモン
を演じたカリファ・ナトゥールと若い団員カーレドを演じたサーレ
フ・バクリはイスラエル在住のパレスティナ人である。
 こう書くとどうしても政治のにおいがしてきてしまうわけだが、
この作品にはまったく政治的な主張は登場しない。それはカフェに
は一タダ人が、壁にかかった戦車の写真のそっと帽子をかけるシー
ンに象徴されている。エジプトとイスラエルの間には思い出せば嫌
なこともたくさんあるが、今はそれを忘れて隣人として付き合おう
という意図が両方から感じ取れるのだ。
 そして、この作品は中盤以降エジプト人とイスラエル人との交流
が主題になっていく。もちろん中心は団長のトゥフィークとカフェ
の女主人のディナだが、それに加えてカーレフとカフェに住み込む
パピとの交流、シモンとイツィクの家族の交流、さらには恋人から
の電話を待つ男と大使館からの電話を待つ団員との公衆電話をはさ
んだ奇妙な交流、それらからはやはり個人と個人が交わるときには
国境は関係ないのだということが明らかになる。もちろん言葉も違
えば文化も違う、だから違いはある。しかし人間たるもの誰一人と
して同じ人間はいないのだから、言葉や文化の違いも、そんな差異
のひとつに還元できてしまうのだ。
 この作品は強いメッセージは打ち出さず、むしろオフビートで淡々
としたまま進む。それはどこかアキ・カウリスマキのフィンランド
を思い出させ、メッセージではなくイメージよって語ろうとしてい
るように思える。荒涼とした砂漠にポツリと立つ団地に象徴される
ベイト・ティクバと実際には登場しないけれどネオンに彩られた大
都会のアレクサンドリア、その対比はそれはあくまでも差異であっ
て断絶ではないということをイメージとして私たちに伝えるのだ。
 イスラエルとエジプトという提題からは小難しいようなイメージ
が浮かぶが、作品はそれを覆し、平和で和やかなイメージをわれわ
れに残す。古きよき時代といってしまえばそれまでだが、人間と人
間とが直接出会うときには今もこのような交流があることを信じた
いものだ。





□ ヒビコレリンク

 『迷子の警察音楽隊』公式サイト



□ DVD今日の買い!

<今日のお勧め>

 イスラエル映画

価格:¥ 2,953(定価:¥ 3,990)
おすすめ度:


価格:¥ 2,940(定価:¥ 5,040)
おすすめ度:


価格:¥ 9,350(定価:¥ 5,040)
おすすめ度:





-----
posted by ヒビコレエイガ at 15:04 | TrackBack(0) | バックナンバー(移行中) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする