2008年02月14日

市川崑監督追悼 細雪

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市川崑監督が亡くなりましたね。
先日も『私は二歳』を見たばかりですが、私の好きな監督のひとり
です。余裕があれば、追悼特集でも組みたいですね。
いい作品が本当にたくさんあります。
『ビルマの竪琴』
『黒い十人の女』
『野火』
『おとうと』
などなど
最近はDVDで手に入るものも多いので、こちらをご覧ください

ご冥福をお祈りいたします。

というわけで今日は代表作の『細雪』を長いバージョンでお届け
します。かなり長いです。

プレゼント企画実施中です。
詳しくはテキスト版で。



-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 細雪

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − 細雪


--cinema1375------------

 細雪

 1983年,日本,140分

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<キャスト&クルー>

監督 市川崑
原作 谷崎潤一郎
脚本 日高真也
    市川崑
撮影 長谷川清
音楽 大川新之助
    渡辺俊幸

キャスト 岸恵子
     佐久間良子
     吉永小百合
     古手川裕子
     石坂浩二
     伊丹十三
     岸部一徳
     桂小米朝
     江本孟紀
     細川俊之
     三宅邦子
     小林昭二
     上原ゆかり
     仙道敦子

<評価>

☆☆☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 時は昭和十三年、京都に花見にやってきた蒔岡家の四人姉妹と次
女の婿の貞之助。長女・鶴子は銀行員の辰雄を婿にとって本家を守
り、次女・幸子は百貨店で働く貞之助を婿にとって分家を作って、
雪子と妙子というふたりの妹を引き取っていた。もっぱらの話題は
雪子の縁談だが、そこに「5年前の事件」が暗く影を落とす…
 大阪の旧家を舞台に、四姉妹のそれぞれの一年を描いた谷崎の同
名小説の映画化。四姉妹それぞれのキャラクターに時代がこめられ、
それを市川崑が一風変わった雰囲気の映画に仕上げている。



<レビュー>

 この映画は全てが「おかしい」のではないかと思う。それは面白
くないということではなく、とにかくおかしくて、それが面白いと
いうことである。昔に読んだ原作の印象ではそのような「おかしさ」
は感じなかったような気がする。しかし、谷崎の小説には常にどこ
かに「おかしさ」が漂い、それが艶やかな魅力ともなっていること
を考えると、この原作にも「おかしさ」があったのだろう(谷崎の
作品という先入観でそのおかしさは読む前から中和されてしまって
いたのかもしれない)。しかし、映画化されることによってその
「おかしさ」は加速度的に増しているように思える。
 それを象徴的に示すのが映画の始まり方である。映画は花見のシー
ンから始まるが、原作ではそうではなかったはずである。
 ただ、そもそも原作は4年以上に渡る物語であるのに対し、映画
のほうはおよそ1年の物語であるし、物語そのものも変えられてい
るから比較することに特に意味はないということも言っておきたい。
重要なのは、原作と違うということではなく、花見のシーン(原作
では何度もある)を冒頭に持ってきたということなのだ。
 この花見のシーンの桜は美しいというものを超え、恐ろしいほど
の色彩を放つ。桜という花が狂気を象徴する(人を狂わせる)花で
あることを言うまでもなく、この桜のシーンからは狂気の匂いが漂っ
てくる。そして、さらに雪子の見合いの相手の母親が精神病である
というご丁寧なエピソードまで挟まれるのだ。これを見ただけで、
この映画には狂気が付きまとうのでは、という予感がよぎる。
 そしてモチーフとしての狂気ということに加え、この映画のいっ
とう最初のシーンが幸子と妙子の真正面からのクロース・アップ
ショットの切り返しの繰り返しであることで、映画としての「おか
しさ」を感じる。真正面から人の顔を捉えた切り返しというのは非
常に居心地が悪いのだ。なぜなら、そのふたりが向き合っていると
したら、観客である私はそのふたりの真ん中に挟まれて小人のよう
にちじこまって巨人であるふたりを見上げているかのような感覚を
覚えざるを得ないからである。そんな居心地の悪さを映画の冒頭か
ら味あわされ、これは「おかしな」映画であると確信するのだ。

 そのような予感は裏切られることはなく、映画は一貫しておかし
いまま進んでいく。そのおかしさの最大の要因は、映画の流れが非
常にギクシャクしているということである。スムーズに流れていた
映像や会話の流れが、まったく関係ないカットや言葉によってブツ
リと断ち切られる。そのような断絶がたびたび繰り返され、そのた
びに私は言いようのないおかしさを感じ、ニヤリとしてしまうのだ。
よく考えてみれば、この「おかしさ」というのは映画の内容とはまっ
たく関係がない。映像上の、あるいは脚本上のいたずらである。そ
のいたずらが原作の世界に加わることによってこの映画は名作になっ
たのだともいえるのではないか。そして、それこそが監督・市川崑
の天才たるゆえんだともいえるのだと思う。

 ということだが、もちろん内容たる物語も面白い。戦争の足音が
聞こえる昭和10年代も後半、凋落していく名家の姿。名家が凋落し
ていく姿と言えば、太宰の「斜陽」を想い出すが、この作品はそれ
とはまた違った形で時代の変化を切り取っている。彼女たちが名家
の伝統を引きずっていることは確かだ。明確に言葉にされる「本家
へのこだわり」ということだけではなく、たとえば女中に対する態
度ひとつからでも、その伝統の残滓を嗅ぎ取れる。そんな中、末娘
の妙子/こいさん(ちなみに「こいさん」とは良家の末娘を呼ぶ関
西地方の言葉、特に大阪の商家でよく使われていたらしい)だけは、
その伝統を振り払っている。その妙子には啓造(啓ボン)が対照さ
れ、啓造の家の元番頭である板倉がその対照をさらに引き立ててい
る。そのことで妙子という存在が、特に長女の鶴子と比較されてい
ることが明らかになる。そんな中、幸子は伝統にかなり引きずられ
ているが、中立的な存在となる。さて雪子は、ということになるが、
この雪子というのがかなり厄介な存在なのである。
 物語は雪子の縁談を中心として展開していくわけだから、基本的
には雪子が主人公なわけだが、まったく何を考えているのかわから
ないのだ。電話恐怖症で、普段はぼやんとしていて、しかし意固地
なところもある。実は非常に計算高いのかもしれないとも取れるわ
けだが、本当のところはどうなのかわからない。
 この雪子についてひとつ気になるところがあった。それは、東谷
との見合いの後、東谷が雪子を梅田で食事をしないかと電話をかけ
てくるシーンである。このとき幸子は家を出ていて、雪子は女中の
春に幸子を呼びにいかせる、幸子は急ぎ戻ってくるのだが、ときす
でに遅し、電話を切った後だった。そこで、雪子は「都合が有りま
すからと言って断った」といい、幸子もそれを受け入れる。しかし、
しばらく後のシーンで唐突に雪子が受話器を持って呆然としている
カットが挿入されるのだ。果たしてこのシーンが意味するものは何
なのか?
 映画の序盤では「5年前の事件」というものが謎として提示され、
雪子にとってそれがある種のトラウマになっているような描かれ方
をしている。しかし、その謎が明らかになり雪子にはそれほど関わ
りのないことだったことが明らかになる。しかし雪子はまだどこか
おかしいのだ。そこで、電話恐怖症に何かのトラウマがあるのでは
と考えてしまったわけだが、それがゆえに雪子は結局東谷からの電
話に出ることが出来ず、一方的に切られてしまったのではないかと
邪推する。そして、幸子には嘘をついたのではないかと。そう考え
たところでそれにいったいどんな意味があるのかと問われるとわか
らないのだが、そこには雪子という不思議な存在の心の底にあるヌ
ルリとしたものが浮かび上がってきているのではないかという気が
するのだ。
 その雪子のおかしさを吉永小百合は見事に演じきっていると思う。
5年前の事件のその時以外には台詞らしい台詞もあまりなく、ただ
ポヤンとしているだけという役をなかなか魅力的に演じているのだ。
この映画は誰の映画化といわれれば、吉永小百合の映画だと答えら
れるほどに、見事だと思う。

 もうひとつ、この映画の魅力といえば着物であるだろう。演出上
でも帯のクロースアップがあったり、雪子のために誂えられたとい
う花嫁衣裳一式がゆっくりと映し出されたり、帯がキューキューな
るというエピソードがあったりと、かなり意識的に着物を使ってい
る。この映画が撮られたの80年代であり、着物はすでに生活からほ
とんど消えてしまっていた。そんな中で日常着としての着物にスポッ
トを当てる。それは谷崎が象徴する日本的なるものへの回帰なのか。
時代設定がしっかりしてしまっていることで、着物というものは違
和感を生じせしめない。着物は「おかしさ」を生む源泉とはなって
いないのだ。とすると、着物とはこの映画で唯一まっとうなものだっ
たのかもしれない。生活から失われてしまったからこそ、まともに
正面から描く。
 そこに生じる現実とのギャップはこの映画が描く世界を現実から
切断してしまう。それは谷崎の世界を観客が生きる80年代の世界か
ら切断してしまうということを意味する。しかし映画は「おかしさ」
を通じて観客とつながってしまう。われわれ観客は映画を観終わる
ことで、現実とは切断された谷崎の世界からは抜け出すことが出来
るが、「おかしさ」によって表現された世界からは抜け出すことが
出来ない。それはヌルリとした塊となってわれわれの心に残ってし
まうのだ。
 そのことは、ラストシーンの不可解さによっても強調される。こ
の映画のラストシーンは、雪子が嫁に行ったことで貞之助が落ち込
み、料亭でひとり酒をあおるというシーンである。貞之助は幸子の
夫で、確かに映画中でも雪子に気があるようなそぶりを見せ、幸子
はそのことで夫を非難するし、雪子を夫から離そうともする。しか
し結局、ふたりはどうにもならないし、雪子のほうは何のアクショ
ンも起こさない。にもかかわらず、貞之助は雪子が嫁に行ったこと
で、どうにもやるせない気持ちになってしまうのだ。その不可解さ
はどうしても解決することが出来ない。
 そしてさらにそれが映画の決定的な最後に来てしまうということ。
そのことで貞之助のもやもやとして心持は浮かび上がってくるが、
そもそもうやむやだった映画の主題は暗闇にも等しい霧の中へと投
げ込まれてしまうのだ。
 「いったい何についての映画だったのか…」そんな戸惑いを残し
たまま、彼らは遠くへ去ってしまったのだ。




□ ヒビコレリンク

『ビルマの竪琴』
『黒い十人の女』
『野火』
『おとうと』



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<今日の作品:細雪>

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<今日のお勧め>

 もちろん市川崑です

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2008年02月13日

陽気なギャングが地球を回す

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さて、明日はバレンタインデー、今日は手作りチョコの準備なん
て方もいるかもしれませんね。
私は手作りチョコは作ったことはありませんが、ガトーショコラ
は焼いたことがあるなぁ… もちろんバレンタインデーのためで
はなく、自分が食べたかったからですが、成功したかどうかは記
憶にありません。
お菓子はそもそも余り得意ではないので。でも料理は好きです。
料理本も結構好きでいろいろ見るんですが、先日見つけたイタリ
ア料理のこの本↓
米沢 亜衣
価格:¥ 1,995(定価:¥ 1,995)
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は面白かったです。
写真がきれいでおいしそうだし、単なるレシピ本ではなくてそれ
ぞれのレシピに関する思い出なんかも語られていて、それぞれの
料理に思いが込められているようでいいです。ついつい熟読して
しまいました。
ただ、分量なんかはかなりアバウトで初心者向きではないので、
読むよりも作るのに力点をおきたいという方は、同じ著者のわか
りやすいほうの本をどうぞ↓
米沢 亜衣
価格:¥ 1,995(定価:¥ 1,995)
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ここに載っていた「鯛のクスクス」を作ってみましたが、ものす
ごくおいしかったです。今度はぜひ手作りパスタを作ってみたい
ものです。



-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 陽気なギャングが地球を回す

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − 陽気なギャングが地球を回す


--cinema2153-----------

 陽気なギャングが地球を回す

 2006年,日本,92分

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<キャスト&クルー>

監督 前田哲
原作 伊坂幸太郎
脚本 長谷川隆
   前田哲
   丑尾健太郎
撮影 山本英夫
音楽 佐藤“フィッシャー”五魚

キャスト 大沢たかお
     鈴木京香
     松田翔太
     佐藤浩市
     大倉孝二
     加藤ローサ
     古田新太

<評価>

☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 四人組の銀行強盗、人質たちを集めて演説を始めた饗野が風変わ
りな話をしている間に、他のふたりが金を集め、時間ぴったりに銀
行を出て車で逃げる。しかし、警察から逃げ切ったとたん目だし帽
の4人組に襲われ、盗んだ4000万を奪われてしまう…
 演説上手の饗野、スリの名手久遠、人の嘘を見破る成瀬、正確な
体内時計を持つ運転の名手雪子、変わった四人組の銀行強盗をめぐ
るサスペンスコメディ。


<レビュー>

 最初の強盗シーンはなかなかのスピード感があり、それぞれの登
場人物の特徴もそれなりに描けていて面白い。しかし、原作を読ん
でいないと成瀬が人の嘘を見破れるとか、饗野の演説が人を引き込
んでしまうということはわからないかもしれない。それでもまあこ
の4人組の雰囲気はうまく伝わっていると思う。
 しかし、いいのはここまで。この後のCGを駆使したカーチェイ
スの出来の悪さで作品のリアリティは台無しになり、何度も入る文
字のインタータイトルは物語の流れを邪魔する。
 長編を原作にした映画というのは小説の物語を短縮して1時間半
ないし2時間の映画にしなければならない。そのとき、原作を丁寧
に映画化するとしたら核となる物語以外の余計な部分をどれだけそ
ぎ落とせるのかが重要になってくるはずだ。しかし、この作品は物
語を伝えることよりも映画として格好つけることにばかり気を取ら
れてしまって肝心の物語がおろそかになってしまっている印象だ。
運転の名手雪子が警察から逃げる部分なんてのはさらりと流して、
他の部分に力を入れるべきだと思った。
 それに、この作品は映像でイメージを伝えられるという映画の特
性を利用することが出来ておらず、逆に映像で伝えるがために大事
な伏線がネタばれしてしまうという危険を冒している。肝心の黒幕
も盗聴している男もその正体が簡単にわかってしまう… これでは
サスペンスの最後のカタルシスを演出ことが出来ず、尻すぼみになっ
てしまう。出だしがなかなかよかっただけに、どんどん尻すぼみに
なっていく展開はなんとも残念でならない。原作うんぬんを言わな
くてもこれは平凡な作品だが、原作が素晴らしいだけに完全な失敗
作となってしまったという印象は否めない。映画を見て逆にもう一
度原作を読み直したくなった。

 しかし、佐藤浩市と大倉孝二はよかったと思う。佐藤浩市は破天
荒なキャラクターを見事に演じ、演説のシーンでも饗野のキャラク
ターにあった説得力のある話し方を疲労する。おかしな格好もなぜ
だか板についているし、仕草や表情でうまく内面を表現していると
思った。
 大倉孝二のほうは脇役だが、その癖のある演技で予定調和の物語
にひとつ楔を打ち込んでいるように見えた。この映画の主人公4人
はみな善人というわけではないが、好感を持てるキャラクターたち
ばかりだ。そんな4人だけでは退屈しがちな物語を大倉孝二がうま
くかき乱していた。本当は松田翔太が演じた久遠も多少その役割を
担うべきだったのだろうが、そこは役者としての力量の差だろうか。
 大沢たかおと鈴木京香は可もなく不可もなくというところだろう
か。ふたりともちょっと入り込みすぎていてこのキャラクターに対
してはミスキャストという印象もあるが、まあそれほどひどくはな
い。
 原作の物語の面白さと佐藤浩市で何とか及第点という感じだが、
この監督はちょっと… これまでの作品を見てみると『パコダテ人』
とか『棒たおし!』とか… 脚本・監督を換えてもう一度映画化し
てくれないだろうか…





□ ヒビコレリンク

 『パコダテ人』
  


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<今日の作品:陽気なギャングが地球を回す>

価格:¥ 1,480(定価:¥ 4,935)
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<今日のお勧め>

 原作は面白いだよ!原作は!

伊坂 幸太郎
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伊坂 幸太郎
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 伊坂幸太郎の映画/ドラマ化作品

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2008年02月12日

ウルトラ・ヴァイオレット

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-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 ウルトラ・ヴァイオレット

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□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − ウルトラ・ヴァイオレット


--cinema2252------------

 ウルトラ・ヴァイオレット

 Ultraviolet
 2006年,アメリカ,87分


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<キャスト&クルー>

監督 カート・ウィマー
脚本 カート・ウィマー
撮影 アーサー・ウォン
   ジミー・ウォン
音楽 クラウス・バデルト

キャスト ミラ・ジョヴォヴィッチ
     キャメロン・ブライト
     ニック・チンランド
     ウィリアム・フィクトナー

<評価>

☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 兵士の能力増強の研究から生まれたウィルスが超人的な能力を持
つ人々“ファージ”を作り出した。政府はファージの一掃を図った
が一部が地下にもぐり抵抗運動を開始、激しい抗争が展開された。
ファージ組織の一員であるヴァイオレットは人間が開発したファー
ジ絶滅兵器を盗むべく政府機関に潜入する。
 ミラ・ジョヴォヴィッチ主演のSFアクション。アクションはい
いが、話がわかりにくく物語りに入り込めない。


<レビュー>

 この話の設定はウィルスによってファージという“人種”が生ま
れ、“人間”はそれを根絶しようとし、ファージ側はそれを阻止し
ようとしているというものなわけだが、その設定自体かなり無理が
あり、さらに超人的能力を持つとされるファージの能力がいったい
どんなものなのかが明らかにされていないので、ファージの存在の
恐怖がよくわからない。ヴァイオレットの様子を見ると彼らは単に
超人的な力を手に入れただけではなく、寿命も短いようだから、普
通に考えたら隔離してどうやったら治療できるかを研究すればいい
だけの話しだし、ファージの中にも研究者はいるだろうから、彼ら
自身も研究すればいいと思うのだが…
 そんな設定だから、話がよく飲み込めず、いったいなぜ彼らは争っ
ているのかもよくわからない。果たして彼らは何を巡って争ってい
るのか。ヴァイオレットは「人間かファージかどちらかが全滅する
まで戦いは続く」とか言っているが、ファージは人間を絶滅させた
としても生き残ることはできないのではないのだろうか。
 というどうにも無理がある話なところでこの作品は完全に失敗だ。

 そんな話の無理さを覆い隠そうとするがごとくこの作品はとにか
く人を殺して殺しまくる。ヴァイオレットは超人的な能力で数十人
単位でどんどん人を殺していく。ワイヤーたっぷりCGたんまりの
アクションでただただ人を殺していくというのがこの作品の肝であ
る。それはまるでゲームのようでその手のゲームが好きな人なら爽
快感を感じるのだろう。そしてその大量殺戮のみそは殺される人々
の顔が見えないというところだ。殺される人たちのほとんどはヘル
メットやら何やらをつけていて人間なんだかロボットなんだかわか
らないようになっている。だから、ヴァイオレットがばったばった
と人を殺しても残虐さは全然無いし、殺される側についてはまった
く描かれないわけだ。
 この作品の見所ははっきり言ってミラ・ジョヴォヴィッチだけだ。
最近はすっかりアクション女優となってしまった彼女が人型をした
“モノ”をばったばったとなぎ倒す、そのアクションだけが見所だ。
『バイオハザード』シリーズでミラ・ジョヴォヴィッチにほれ込ん
でしまった人なら、まあ見てもいいと思うが、それ以外の人にはオ
ススメしない。





□ ヒビコレリンク

 『バイオハザード』

 『バイオハザードII アポカリプス』



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<今日の作品:ウルトラ・ヴァイオレット>




<今日のお勧め>

 ミラ・ジョヴォヴィッチは…



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2008年02月10日

私は二歳

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連休の中日です。
動かない祝日の建国記念日が月曜日というのはいいですね。
今年はGWもただの3連休で今ひとつですが、こういうことも
あります。
連休といえば、前にもちらりと書いたことがある気もしますが、
来年は9月の敬老の日が21日で、秋分の日が23日ということで、
それにはさまれた22日が休日となり、5連休になります。これ
は5月4日を休日とするために生まれた「祝日と祝日にはさま
れた日は休み」という規定がはじめて適用されるためです。
何でもいいけど休みは多いほうがいい!
来年の秋の計画はお早めに。



-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 私は二歳

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − 私は二歳


--cinema2251------------

 私は二歳

 1962年,日本,88分

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<キャスト&クルー>

監督 市川崑
原作 松田道雄
脚本 和田夏十
撮影 小林節雄
音楽 芥川也寸志

キャスト 船越英二
     山本富士子
     鈴木博雄
     浦辺粂子
     渡辺美佐子
     岸田今日子
     中村メイコ(声)


<評価>

☆☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 団地住まいの若い夫婦の間に生まれたひとり息子の太郎(ターちゃ
ん)はいろいろといたずらをして怒られながらも、両親の愛情を浴
びて元気に育ち、やがて2歳に。
 松田道雄の育児書を原作に、2歳の子供の視線から作った異色の
家族ドラマ。子育ての悩みは昔も今も変わらず、子供に翻弄される
両親を船越英二と山本富士子が好演。おばあちゃん役の浦辺粂子も
とてもいい。


<レビュー>

 市川崑といえば巨匠にも手が届くかという有名監督だが、彼の作
品にはむらというかバリエーションというかぶれがある。凄く面白
い作品もあれば、今ひとつ失敗作なんじゃないかと言うのもある。
それはやはり彼がこの日本映画が量産されて時代にまだまだ若く、
職人的に次々と作品を送り出して言ったからだろう。数を作れば、
製作会社の以降によっては駄作も生まれてしまう。それは仕方の無
いことだ。
 しかし、彼の夫人である和田夏十(当初は市川崑との共同のペン
ネームだったが、51年から夫人の単独ペンネームとなり、共同ペン
ネームとしてはそれ以降「久里子亭」を使用)が脚本を書いたもの
にははずれが無い。映画を見ていて脚本家の違いに気づくことはな
かなか無いのだが、和田夏十が書いた市川崑の作品には他の作品と
は違う瑞々しさがある。この作品もそうで、なんとは無い物語で、
船越英二も山本富士子も決して名優というわけではないのだが、そ
れでも作品には生き生きとした雰囲気が出るのだ。
 そしてこの作品が描く“育児”という題材は時代を超えて面白い
題材だ。TVが庶民の手にはなかなか入らないような時代でも、育
児に対する親の悩みは変わらない。ちょっとした不注意が深刻な事
態を引き起こすかも知れず、子供に振り回される。しかし船越英二
演じる五郎が言うように「子供の顔を見るといやなこともすべて忘
れる」のだ。嫁と姑の確執は子育てに対する認識の違いから生じ、
その対立は決して看過できるものではない。しかし子供に対する愛
情はおんなじで、その表れ方が違うというだけのことだ。子供がそ
の関係を難しくしているのだけれど、同時に子供が結び付けてもい
る。昔から「子は鎹」というけれど、まさにその通りだ。
 とくに2歳くらいの子供はいたずらをしても罪がなく、ほのぼの
として気持ちで見ることができる。親の心配やいらだちをうまく表
現しながら、同時にほのぼのとさせる演出もなかなかのものだ。

 山本富士子といえば元祖ミス日本、昭和30年代には本当に売れっ
子だった。しかし、この人は美人だがやはりどうも演技はうまくな
い。この作品でも台詞回しも仕草も今ひとつうまいとはいえない。
しかし、時々妙にリアルな表情を見せたり言葉を発したりして、そ
れが効果的だったりする。
 船越英二のほうも決して演技がうまいわけでは無い。しかも妻に
「エゴイスト」といわれるくらいでこのキャラクターは今ひとつ性
格もよくない。少々抜けてもいるが子供に対する愛情にあふれてい
るということは表情からにじみ出ているようで、彼の出演シーンが
一番ほのぼのしているといえるだろう。
 その決してうまくは無い二人が作った雰囲気に浦辺久美子がのっ
てなんともいえない空気感が生まれ、それがこの作品を面白くした
のだろう。平凡なはずの映画がいろいろな要素によってちょっと面
白くなった。そんな映画だと思う。

 ところで、小耳に挟んだので豆知識を。山本富士子は「とんでも
ございません」という言葉をはじめて使った人物といわれているら
しい。「とんでもございません」という言葉は本来は誤った日本語
なのだが(「とんでもない」は一語なので「ない」の部分だけが敬
語になることは無い)、良家の子女でもあり、ミス日本でもある山
本富士子が使ったことによってみなに認められ使われるようになっ
てしまったという。(蛇足)




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<今日の作品:私は二歳>

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<今日のお勧め>

 山本富士子はやはり美人なのです。

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価格:¥ 4,158(定価:¥ 4,725)
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価格:¥ 4,111(定価:¥ 4,725)
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価格:¥ 3,471(定価:¥ 3,990)
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2008年02月09日

かつて、ノルマンディーで

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今日は今日から公開『かつて、ノルマンディーで』です。
何本か取り上げてきたニコラ・フィリベールの新作。

しかし、ノルマンディーってどこ?
フランスの地名っていろいろと聞くのですが、よく考えるとフラ
ンスのどのあたりなのかよく知りません。
ノルマンディーとブルターニュは近かったような、ブルゴーニュは
また別で…
と思って調べたら、ノルマンディーとブルターニュは隣のようです。
ブルターニュのほうが西でイギリスに近い半島。どちらもシードル
が名産です。
ブルゴーニュは内陸パリからややドイツよりでした。
知っている人には当たり前の情報ですが、そうだったんだね。

ということで、今日はシードルを紹介しておきます。何がいいか
わからないのですが、やはりオーガニックがいいですね。
ヴァル・ド・ランス
ビオロジーク

あと気になるのは、ロングヴィル社というところのものかな。
本格的っぽいですが、安いです。



-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 かつて、ノルマンディーで

□ ヒビコレリンク

□ DVD今日の買い!

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■ 今日の映画 − かつて、ノルマンディーで


--cinema2250------------

 かつて、ノルマンディーで

 Retour en Normandie
 2007年,フランス,113分


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<キャスト&クルー>

監督 ニコラ・フィリベール
撮影 カテル・ジアン
音楽 アンドレ・ヴェイユ
   ジャン=フィリップ・ヴィレ

キャスト 


<評価>

☆☆☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 ノルマンディーの小さな村、そこに住む人々は30年前に映画に出
演したことがあった。19世紀に実際にこの土地で起きた家族殺しを
題材にした映画に助監督として参加したニコラ・フィリベールが30
年ぶりにこの地を訪れ、当時の映画に出演した人たちから話を聞く。
 フィリベール監督は自分のキャリアの出発点を見直し、そこで暮
らしてきた普通の人々の物語も紡ぎ出す。


<レビュー>

 この映画はとても地味だ。ドキュメンタリーというのはドラマ
ティックな演出が無いだけにとかく単調になりがちだけれど、多く
はテーマ性や映像的な工夫でそれを回避しようとする。しかし、こ
の作品(の特に序盤)は単調になることを恐れずに、地味にノルマ
ンディーの片田舎に住む人々の生活を淡々と映し、彼らに30年前の
映画についてインタビューをする。
 このかなりマイナーなこの映画(もちろん日本未公開)を見てい
る人が観客の中にほとんどいないであろうことはフィリベール監督
も想定しているのはずで、しかしその作品の説明を最初からしよう
とはせず、まず人々の話によって映画を組み立てていく。そこで語
られている映画の全貌も見えないから、それぞれの人が自分の映画
に対する思い出を語ってもそれが理解できず、はっきり行って退屈
だ。
 しかし、30年前の映画『私ピエール・リヴィエールは母と妹と弟
を殺害した』の映像がはさまれながら、ここにいる人々の姿が30年
前と重ね合わせれられ、そこからそれぞれの人の30年の歳月が紐解
かれていくと、映画はぐんぐんと魅力を増していく。

 ここに登場する人たちは本当に普通の人たちだ。30年前にミシェ
ル・フーコーに触発された映画監督がその土地で起こった事件を題
材に、そこに住む人々を役者として映画を撮ろうと考えたために、
たまたま映画に出ることになった人たち。その人たちの人生を、そ
の映画の助監督としてロケハンや出演交渉を行ったニコラ・フィリ
ベールが30年後に振り返る。彼らに共通するのは映画に出たことは
いい思い出だけれども、それで何か人生に大きな変化があったわけ
ではないということだ。彼らは短い撮影の間だけ役者となり、すぐ
にもとの生活に戻って30年間を過ごした。しかし、彼らのその30年
の話を聞くと、その歳月は決して平穏ではなく紆余曲折があり、波
乱万丈があり、どの人の30年も1本の映画にでもなりそうなドラマ
を孕んでいる。
 そして彼らは30年前の出来事をその波乱万丈の人生の中のいい思
い出のひとつとして抱え続ける。それによって彼らはひそやかにフィ
リベール監督とつながり続け、30年という歳月を容易に飛び越えて
再び結びつく。兄弟であったり、近所に住んでいたりする人々でも
30年の間には疎遠になったりもするが、フィリベール監督が再訪す
ることで彼らの人生はそこで再び交差し、複数の30年間がひとつの
時間として撚り合わされていく。

 ごく普通の人たちがごく普通の生活の中で経験していくドラマに
はすごくリアリティがあるし、そのドラマは私達にすごく近いもの
に感じられる。そのドラマを丁寧に描いていっているところがこの
映画の非常に優れている点だ。途中、行方知れずの主人公を演じた
青年を探すというエピソードが盛り込まれ、少し映画の展開がしま
りはするが、それでも最後まで普通の人たちのそれぞれのドラマに
よって映画を組み立てるという姿勢は変わらず、ある意味では退屈
なまま映画は終わる。しかし、その平均化してしまえば平凡で退屈
な普通の人の人生もひとりひとりに注目してみれば、それはドラマ
ティックで退屈とは対極にあるということもわかる。
 この映画を見ていると、ここに登場する人たちの一人一人がみな
哲学者であるかのようにも見えてくる。それぞれが自分の人生に対
して哲学を持ち、それをしっかりと抱えている。フランス映画には
哲学的な会話がよく出てくるが、それは作られたものではなく、非
常に日常的なことなのだということがよくわかる。
 ニコラ・フィリベールは人々の手から離れてしまいそうになって
いる映画を私達の元に留めようとしてこのような映画を作っている
のではないかとふと思った。ハリウッドの娯楽大作か、大言壮語の
社会派ドラマばかりが作られる昨今、映画はどこか私たちのいると
ころから離れた世界のものになってしまっているような気がする。
しかしニコラ・フィリベールの作品はそのような映画と私たちの間
にあいた間隙を埋める、そんな映画なのではないだろうか。




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posted by ヒビコレエイガ at 15:06| Comment(0) | TrackBack(0) | ヨーロッパ2000年以降 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする