http://www.cinema-today.net/
このところDVの話題がいくつかありました。昨日はバラバラ殺人
の裁判でDVが原因として挙げられ、数日前にはDVに関する講演
会が反対運動によって中止になったりしました。
日本はまだDVに対する認識も対策もまだまだという気がします。
DV法に反対する気持ち(目撃者がいないから離婚を有利にするた
めの方便などに使われる)もわかりますが、DVによる物理的な被
害とDVを語った場合の被害を比べればそれは比較の意味も無いく
らいのもの。DVの被害を訴える人は無条件にまず保護されなけれ
ば、意味はありません。DVだといわれる側にも言い分はあるでしょ
うが、それは保護されたあと裁判なり何なりで決めればいいことで
は無いかと思います。
アメリカではちょっと小突いただけでもすぐに捕まります。しかも
男性ばかりでなく、女性によるDVもかなりの数に上るということ。
興味がある方はぜひフレデリック・ワイズマンのドキュメンタリー
『DV』『DV2』を見てください。
2月29日にアテネフランセで上映があります。2本で6時間ですが、
見る価値はありますよ。
今日は明日から公開の『潜水服は蝶の夢を見る』です。
これはかなりオススメです。
明日公開は首都圏のみですが、来週以降けっこうなかずの劇場で
やるみたいですので、ぜひどうぞ。
http://www.chou-no-yume.com/theater.html
-------- 目次 --------
■ 今日の映画
潜水服は蝶の夢を見る
□ ヒビコレリンク
□ DVD今日の買い!
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■ 今日の映画 − 潜水服は蝶の夢を見る
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潜水服は蝶の夢を見る
Le Scaphandre et Le Papillon
2007年,フランス=アメリカ,112分
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<キャスト&クルー>
監督 ジュリアン・シュナーベル
原作 ジャン=ドミニク・ボビー
脚本 ロナルド・ハーウッド
撮影 ヤヌス・カミンスキー
音楽 ポール・カンテロン
キャスト マチュー・アマルリック
エマニュエル・セニエ
マリ=ジョゼ・グローズ
アンヌ・コンシニ
パトリック・シェネ
<評価>
☆☆☆☆1/2(満点=5)
<プレヴュー>
突然、病室で目覚めたボビーは目はぼんやりとしか見ることがで
きず、体の自由はまったく利かない。少しずつ記憶をよみがえらせ
た彼はドライブの途中であったことを思い出す。自分が病院で麻痺
状態にあることを知った彼は自暴自棄になるが、やがて言語療法士
の協力を得て生きる意志を取り戻していく。
ELLEの元編集長ジャン=ドミニク・ボビーが左目の瞬きだけで綴っ
た奇跡の自伝の映画化。素晴らしい物語と言葉そして映像、ジュリ
アン・シュナーベルはカンヌ映画祭で監督賞を受賞した。
*各映画賞の結果はまだでていませんが、アカデミー賞、インディ
ペンデント・スピリット賞、セザール賞で監督、脚色、撮影などで
ノミネートされています。
<レビュー>
この映画の始まりは非常にいらだたしい。焦点の定まらないぼや
けた映像、光線は強すぎ、目の前にいる人の顔すらまともに見えな
い。しかし、この始まりこそがこの映画の素晴らしさのひとつであ
る。主人公ジャン=ドーの感じた苛立ちと戸惑い、それを数週間も
昏睡し続け、ようやく目を覚ました彼の目に映るそのまま(と想像
されるよう)に再現する。そこに私たちが見るいらだちは、まさに
彼が感じたいらだちであり、私たちはそれを追体験するのだ。
そしてこの作品はさらに彼の視線を再現し続け、彼の夢をも映像
化する。その夢もなかなか理解し難い悪夢的なものだ。しかし映像
は素晴らしい。それは必ずしも整ったものではなく、ゆがみやひず
みがあり、しかしそこには美が宿り、力がある。
しかもずっとジャン=ドーの主観で進めるのではなく、時に彼を
外側から見つめることもある。このとき、私たちが感じる解放感は、
クローズド・シンドロームの彼には決して感じることのできない解
放感なのだということも、この作品に深みを与えている。
そのような状況の中で、彼は本を書くのだ。「自分を憐れむのは
やめた」というその一言で、彼は再び歩み始める。想像や思い出に
逃避するだけでなく、“今の自分”と向き合い、言葉を瞼からひね
り出していく。そしてその言葉がまた素晴らしい。私はその最初の
ほんの数行を聞いただけで原作を読みたくなってしまった。詩的で、
思慮深く、少しの皮肉の効いた言葉、それは衝撃的ですらあった。
そしてこの作品を見ながらずっと思ったのは「愛はどこからやっ
てくるのか」ということだ。この作品はあらゆる言葉、あらゆる仕
草に愛があふれている。彼の言葉を我慢強く書き留め続けたクロー
ドが彼に対して感じたのは“愛”に他ならないではないか。療法士
のアンリエットも子供たちの母親のセリーヌも彼に愛を感じている。
それは同情ではない。愛は突然ふらりと出現しわれわれを捕らえる。
この作品はそのような愛にあふれているのだが、それはいったいど
こから来るのか。
この作品が感動的なのは何故か。ジャン=ドーの「自分を憐れむ
ことをやめた」勇気と周囲のひとの愛情、その愛が彼を勇気付けた
のか、それとも彼の勇気が人々の愛をひきつけたのか。それともど
ちらでもないのか。大きなポイントとなるのは「死にたい」と綴っ
たジャン=ドーに対して療法士が怒るシーンだろう。彼女の怒りは
彼に対する周囲の愛情の顕れである。愛は彼に生きるよう強いる。
彼はそれに答えて生きる。それならば愛が先であり、その愛こそが
この作品に感動をもたらすものということになるのだが、やはり残
る疑問は「愛はどこからやってくるのか」ということだ。
どんどん突き詰めて考えていけば、もしかしたら答えを見つけ出
すことができるのかもしれない。しかし、それはこの作品とは関係
の無いことのような気がする。この作品にとって重要なのは、この
作品が「愛はいったいどこから来るのか」と考えさせるほど愛にあ
ふれた映画だということだ。これは決して幸福な作品ではない。し
かしそこには愛がある。愛は人を強くする。愛は自分勝手でもある。
愛は行き違う。愛は奪う。しかし人は愛に生かされる。
この作品が素晴らしいのはその愛が画面からにじみ出てくるから
だ。もちろん原作も素晴らしいが、脚色も、映像も、演出も素晴ら
しい。見ればどっぷりと世界に浸ることができ、愛を分けてもらう
ことができる。こんな作品はなかなか無い。これ以上、この作品に
ついて解説するのは無粋というものだ。見ればおのずと感じること
ができることをわざわざ書きたてることは無いだろう。
□ ヒビコレリンク
『潜水服は蝶の夢を見る』公式サイト
□ DVD今日の買い!
<今日の作品:潜水服は蝶の夢を見る>
原作本:「潜水服は蝶の夢を見る」
http://tinyurl.com/ypxy79
<今日のお勧め>
ジュリアン・シュナーベルを。
『夜になるまえに』
http://tinyurl.com/2eapuq
『バスキア』
http://tinyurl.com/2dekyp
『スケッチ・オブ・フランク・ゲーリー』(出演)
http://tinyurl.com/yvdj38

