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エイプリルフールですが、冗談どころではありません。
映画『靖国』の上映中止は由々しき問題です。
国会議員向けの試写が行われたこと自体は問題がないと思います
が、それによって右翼を刺激して、街宣車などの威圧によって上
映が取り止めとは…
威力業務妨害でその右翼団体を取り締まることは出来ないんでしょ
うかねえ? そもそもその右翼団体は見てもいない映画にどうし
て反対できるのでしょうか? 映画を見た国会議員も決して反靖
国ではないとコメントしているわけだし、なんで上映を取りやめ
させなければならないのかわからん。
こういう圧力団体ってのは理性よりも感情で動いているからね。
ただ監督が中国人だってだけで反対しているんだろうねきっと。
この国には本当に表現の自由なんてものはないとつくづく思いま
す。
いろいろと考えて終戦記念日の靖国神社に行ってみた身としては、
あの光景を映画にするってことは意味があると思いますよ。終戦
記念日に靖国に行ける人なんて限られているから、情報としてだ
けでも意味があると思うし、それを見て何を感じるかは人それぞ
れだから、戦争について考えるために役に立つと思います。
私も見たいので、国なり何なりが措置を講じて、映画館も勇気を
持って上映してくれることを願います。
監督へのインタビューはこちら
靖国問題、対照的な立場の二書。
今日は『紙屋悦子の青春』です。
くしくも特攻隊もの。
-------- 目次 --------
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紙屋悦子の青春
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■ 今日の映画 − 紙屋悦子の青春
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紙屋悦子の青春
2006年,日本,111分
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<キャスト&クルー>
監督 黒木和雄
原作 松田正隆
脚本 黒木和雄
山田英樹
撮影 川上皓市
音楽 松村禎三
キャスト 原田知世
永瀬正敏
本上まなみ
小林薫
松岡俊介
<評価>
☆☆☆(満点=5)
<プレヴュー>
病院の屋上に座る老夫婦が昔を思い出す。昭和20年3月、鹿児島、
工場で働く技師の兄とその妻と3人暮らしの紙屋悦子は駅員として
働いていた。その悦子に兄が縁談を持ってくる。相手は悦子が密か
に思いを寄せる兄の後輩明石少尉の親友だという永与少尉、戦時と
いうこともあり、会うことに決めるが…
2006年惜しくも亡くなられた黒木和夫監督の遺作。原作は松田正
隆の戯曲。常に戦争を考察の対象とした黒木監督らしい遺作となっ
た。
<レビュー>
昭和20年3月鹿児島、それが特攻隊を意味するということを日本
人は忘れてはいけない。今、イスラム過激派の自爆テロが横行し、
それが“カミカゼ”と比較される。もちろん、一般人をも巻き込む
無差別テロと戦争の作戦として軍艦を狙う神風特攻隊とはその性質
は異なっている。しかし、それに参加する側、それを送り出す側か
らすれば、それは自分または自分の愛する人の身を犠牲にして敵に
損害を与え、魂は天国に行くという意味では変わらない。イスラム
過激派の自爆テロでは魂は神のもとに行き、特攻隊の魂は靖国に行
く。
この作品はその特攻隊という言葉を一切発することなくそのこと
を描く。悦子が昔から思いを寄せていた兄の後輩である明石、その
明石が悦子に持ってきた縁談。その訪問の際に明石も悦子を憎から
ず思っていることがわかれば、その明石の行動の持つ意味は明らか
だ。特攻に行く人間の心理、それをこの作品は静かにしかししっか
りと描く。物語はやわらかく穏やかだけれど、その底に存在してい
るのは非常に冷たく厳しい現実だ。
少し前に自爆テロの実行犯に選ばれた若者を描いた映画『パラダ
イス・ナウ』を見た。そこで焦点となっていたのはその行動が正し
いのかどうかということだった。それは宗教的にではなく、戦術と
して正しいのかどうか、その自爆テロによってその戦いが終結に向
かうのかどうかということだった。もちろんそんなことを表立って
口にすることは出来ないのだけれど、少なくとも主人公がそのよう
な悩みを抱えるという部分が描かれていた。
しかし、この作品にはそのような悩みは無い。特攻に行くことに
疑問を挟む余地はなく、周囲もただ武勲を祈るしかない。だが、そ
こに横たわっているのは『パラダイス・ナウ』と同じ疑問、同じ気
持ちだ。今、“トッコウ”に関する映画が作られるのは性質は異なっ
ていても、当事者の気持ちにはイスラム過激派の自爆テロと共通す
るものがあるからだ。
この作品は、そのトッコウに参加するに際して、自分が愛する人
のために何かをしようとする一人の男を描いたものだ。その行為に
対して疑問を投げかけるのではなく、その行為自体は受け入れてお
いて(ある意味ではあきらめて)、その上で何が出来るかを考える。
そんな男を描いたのだ。今から見ればそんなことを考えられる人ば
かりなら、戦争はあんなにもひどくならなかったのではと思えてな
らない。
この作品は最初の老夫婦となったふたりがどう見ても老人に見え
なかったり、昭和20年のシーンのセットやら服装やらなにやらかん
やらが妙にきれいだったり、まったく戦争末期の生活の苦しさが見
えなかったりとリアリティに欠けるといわざるを得ない部分は多々
ある。しかし、リアルな作品でなければ何かを語れないというわけ
ではない。戦争という抜き差しなら無い状況の中でであったふたり
が数十年後にともに老いを迎え、その当時を振り返る。そこで思い
出された一人の人物がとった行動の意味、その人物の数十年の不在
が二人を支えてきたということ、その意味を考えることに意味があ
るのだ。
平和ボケした日本人には理解し難い自爆テロ、しかしそのテロに
踏み切る人々も私たちと同じ人間なのだ。神風特攻隊という悲惨な
運命に身を任せた60年前の日本人が私たちにそれを教えてくれる。
□ ヒビコレリンク
『パラダイス・ナウ』
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<今日の作品:紙屋悦子の青春>
<今日のお勧め>
黒木和雄と戦争












