聖火が日本に来ましたが、ものすごい警備で見ることもままなら
ないとか、そんなら別にやらなくてもいいんじゃないの? とい
う気がするし、そもそも中国の政策に反対するのに聖火リレーの
邪魔をするという意味もわからない。平和的テロリズムですかねぇ?
しかも、聖火リレーってこんなんだったっけ?というのもありま
す。聖火リレーってくらいだから、アテネから北京までリレーで
聖火をつなぐのかと思ったら、飛行機やらバスやらで運んでちょっ
ともって走るだけ。これはリレーではなく興行では?
まあ、そんな騒動はともかく、水泳ではスピードの水着が凄いそ
うです。オリンピック出場選手が試してみて違いに驚いたという…
まあ、競技者でない限り必要ありませんが、15メートルの“けのび”で0秒7もタイムが短縮されたらしいです。日本のメーカー
も開発を急げ!
今日は明日公開の話題作『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』です。
■ 今日の映画 − ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
There Will Be Blood
2007年,アメリカ,158分
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<キャスト&クルー>
監督 ポール・トーマス・アンダーソン
原作 アプトン・シンクレア
脚本 ポール・トーマス・アンダーソン
撮影 ロバート・エルスウィット
音楽 ジョニー・グリーンウッド
キャスト ダニエル・デイ=ルイス
ポール・ダノ
ケヴィン・J・オコナー
キアラン・ハインズ
ディロン・フレイジャー
<評価>
☆☆(満点=5)
<プレビュー>
20世紀初頭、苦難の末石油を掘り当てたダニエル・プレインビュー
は数年後、いくつもの油井を持つ石油屋になり、息子のHWととも
に新たな石油を求めて旅をしていた。そこにポールという青年が石
油の情報を売りに来る。その情報を元にリトル・ボストンに着いた
プレインビューはそこでポールの双子の弟イーライに出会う…
原作はアプトン・シンクレアの1927年著の『石油!』。ダニエル・
デイ・ルイスがアカデミー主演男優賞を受賞。それはまあ納得でき
るが作品としては…
<レビュー>
映画を見ての感想はまず「よくわからん」し「あんまり面白くな
い」ということ、そして「アメリカ人が好きそう」ということだ。
舞台は20世紀初頭のアメリカ西部、主人公は金と権力への欲望をた
ぎらせた男、その男が自ら道を切り開いて金と権力を手に入れるこ
とをアメリカ人はアメリカン・ドリームと呼ぶ。しかし、彼の成功
は暴力と裏切りと欺瞞の上に成り立っている。成功するためにあら
ゆる人間を利用し、蹴落とした彼が成功した末に待っているのは孤
独だ。
私にはこの人物がまったく理解できない。彼が何を求めているの
か、彼の人生はいったいなんだったのか、彼はただ単に人を傷つけ
ることによって悦びを感じるサディストなのか。ダニエル・デイ=
ルイスは確かにこの<怪物>というべき冷血な人物を見事に演じて
いる。しかし、彼の演技が素晴らしいからといってこの作品が映画
として面白いということになるのだろうか。
確かに力強い映画ではある。ダニエル・レイ=ルイスしかり、映
像の持つ力しかり、観客を圧倒するパワーがこの作品にはある。
私がこの作品に面白さを感じたのは、ダニエル・プレインビュー
とイーライ・サンデーというふたりの人物の対比だ。方や石油によっ
て財と権力を手に入れようとする男、方や新興宗教の教祖となって
人々の尊敬と権力を手に入れようとする男、この物語の中心にある
のはこのふたりの男のリトル・ボストンという土地における権力争
いのさまだ。金によって人々の欲望を満たすダニエルか、神によっ
て人々の精神を満たすプレインビューか、この戦いが私にとっての
この映画の面白さだ。
金の亡者と狂信者、今のアメリカを動かしているのはこの2者だ
とこの映画は言っているのだろうか。もしそうだとしたら、この作
品は凄い作品だし、そう思ってアメリカ人がこの作品を賞賛してい
るのだとしたら、アメリカ人は凄い。それを肯定しているのだとし
たら恐ろしいし、それを批判的に見ているのだとしたら非常に自省
的で尊敬に値するが、どちらにしても凄い。
なんだかアメリカ人の分析になってしまったが、アメリカ人は権
力争いが好きだ。日本人も嫌いではないが、どこかで権力は汚いも
のだという意識が働いて、積極的にそれにコミットすることはしな
い。しかしアメリカでは大統領選挙のあの加熱振りを見ればわかる
ように権力を握るための争いというのはアメリカ人を熱狂させる。
金の亡者を資本家と言い換え、狂信者を思想家と言い換えれば、今
のアメリカにも十分にあてはまる。今の共和党と民主党の争いは、
いわば「資本家+軍人 vs. エリート+マイノリティ」の闘いだ。
見方は悪いが金と権力を手にした共和党と思想によってマイノリティ
を扇動する民主党ということではないか。
結局それは、単純化された構図の中で人々が権力に持つ意図に巻
き込まれ、思考停止させられてしまうということだ。この映画のパ
ワーが観客の感覚を麻痺させるように、現実の権力は人々の良識を
マヒさせる。この作品が圧倒的な力を持ちながら、どう考えても嫌
な作品なのはその制だ。
この作品しかり『ノー・カントリー』しかり、無表情に過剰な暴
力を振るう人間が今アメリカでは受けている。そのような人間の深
層心理を掘り下げることによって理由のない暴力への恐怖心を和ら
げようというのだろうか。2007年のアカデミー賞の作品賞、脚色賞、
撮影賞、主演男優賞、助演男優賞を独占したこの男くさい2本の作
品が象徴する今のアメリカとはいったい何なのか、私が感じるのは
なんともいえない恐怖だ。アメリカという国自体がダニエル・プレ
インビューのようになりつつある(あるいはすでになってしまって
いる)のではないか。
この作品を見て、ダニエル・レイ=ルイスをほめ、その力強さを
賞賛することは可能だ。そして、この徹底的に冷酷な人物から逃げ
ることも容易だ。しかし、本当にやらなければならないのはこの作
品とこの人物と向き合って自分の精神の忍耐力を試すことなのでは
ないか。現実においても権力の言いなりにならないために。
□ ヒビコレリンク
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』公式サイト
『ノー・カントリー』

